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夫婦どちらもフリーランスで年収に変動がありますが、永住許可申請は可能ですか?

作成者: FESO|Aug 13, 2025 1:27:15 AM
 

 質問内容)

①相談種別:永住許可申請

②申請種別:永住許可

③状況概要: はじめまして、カナダ国籍のエリン・ジョンソン(35歳)です。夫もカナダ国籍のジェームズ(36歳)です。夫婦ともに日本でフリーランスのウェブデザイナーとして活動しており、日本での生活は10年以上になります。 私の年収は2000万円以上あり、夫の年収も1000万円以上です。しかし、プロジェクトの受注状況によって年収に変動があり、安定しているとは言い難い状況です。社会保険や年金は、国民健康保険と国民年金に加入し、滞納はありません。交通違反歴もありません。

④質問: 夫婦どちらもフリーランスで年収に変動がある場合でも、永住許可申請は可能でしょうか?また、申請にあたり、年収が変動することをどのように説明し、生計の安定性を証明すれば良いでしょうか?

 

行政書士からの回答)

エリンさん、この度はご相談いただきありがとうございます。夫婦ともにフリーランスとして日本で10年以上ご活躍されているとのこと、素晴らしいですね。年収が2000万円以上という状況での永住許可申請について、ご不安な点をお持ちのことと存じます。

結論から申し上げますと、フリーランスで年収に変動がある場合でも、永住許可申請は十分に可能です。 永住許可の審査において、年収の「変動」そのものよりも、「総合的な生計の安定性」が重視されます。

1. フリーランスの永住申請で重視される「安定性」の証明

会社員の場合、毎月の給与が安定しているため、生計維持能力の証明は比較的容易です。しかし、フリーランスや個人事業主の場合は、年収に変動があることが一般的です。入管は、そのような年収の変動があっても、申請者(と扶養家族)が将来にわたって安定した生活を送ることができるかどうかを、以下の点から総合的に判断します。

(1) 収入の安定性・継続性

  • 過去数年間の収入実績: 過去5年間、または永住申請の要件を満たす3年間の確定申告書の控えを提出し、安定した収入があることを証明する必要があります。エリンさんの場合、年収が2000万円以上と高額ですので、この点は非常に有利です。
  • 事業の継続性: 継続的に仕事を受注し、事業が安定して継続していることを示す必要があります。取引先との契約書や、実績を示すポートフォリオなどを提出することも有効です。

(2) 資産の証明

  • 預貯金: 年収に変動があっても、十分な預貯金があれば、急な出費や万一の事態にも対応できる経済力があると判断されます。夫婦合算で、まとまった預貯金があることを証明する預金残高証明書を提出しましょう。
  • 不動産: 日本国内または海外に不動産を所有している場合、その資産価値も考慮されます。

(3) 公的義務の履行

  • 納税: 永住申請では、納税義務を完全に履行していることが必須です。確定申告書の控えに加え、納税証明書(所得税、住民税、消費税など)を提出し、税金を滞納していないことを証明する必要があります。
  • 社会保険: 国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を滞納なく納付していることは、公的義務をきちんと果たしていることの証明になります。

2. 年収の変動をカバーする具体的な対策と理由書の記載

年収が変動することを理由に審査で不利にならないよう、以下の対策を講じることをお勧めします。

(1) 理由書での丁寧な説明

年収に変動があること自体は、フリーランスの特性であり、正直に記載して問題ありません。重要なのは、その上でいかに安定しているかを説明することです。

  • 収入変動の理由: なぜ年収に変動があるのかを具体的に説明します(例:プロジェクトごとの単価や期間が異なるため、繁忙期と閑散期があるためなど)。
  • 変動があっても安定している理由: 年収の最低ラインが十分高く、変動があっても生活に支障がないこと、十分な預貯金でそれをカバーできることなどを説明します。
  • 夫婦の協力体制: 夫婦ともにフリーランスであるため、収入源が分散しており、どちらかの仕事が減っても、もう一方の収入で生活を維持できることなどを強調します。
  • 今後の事業計画: 今後も安定して事業を継続していくための具体的な計画(例:新たな取引先の開拓、専門分野の拡大など)を記載することで、将来の安定性を示すことができます。
  • ご夫婦ともに母国の年金受給権や年金額、更に日本の国民年金の受給資格と65才から受給が始まることが想定される年金給付額を其々示す。

(2) 客観的な補強資料の提出

  • 預金残高証明書: 夫婦合算で、十分な預貯金があることを証明する預金残高証明書。
  • 過去の確定申告書: 過去5年間(または3年間)の確定申告書の控えをすべて提出し、安定した収入実績を示します。
  • 国民年金・国民健康保険の納付記録: 滞納がないことを示す証明書。
  • 事業の契約書: 複数の取引先との契約書や、業務委託契約書などを提出し、事業活動の実態と継続性を示します。
  • 顧客からの推薦状: 顧客からの推薦状があれば、事業の信頼性を高める上で有効です。

3. まとめとエリンさんへのアドバイス

エリンさんの場合、フリーランスとしての年収が非常に高額であり、過去の在留実績も十分であることから、永住許可を得る可能性は非常に高いと考えられます。

重要なのは、年収の「変動」を恐れることなく、それがフリーランスの特性であると割り切った上で、預貯金や夫婦の協力体制など、他の要素を含めて「総合的に安定している」ことを説得力のある形でアピールすることです。

ご自身での申請も可能ですが、フリーランスの永住申請は、会社員と比べて準備すべき書類や理由書の作成がより複雑になる傾向があります。

ご不安な点があれば、私たち行政書士のような永住申請の専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。エリンさんご夫婦が安心して日本で生活できるよう、私たちも全力でサポートさせていただきます。