①相談種別:ビザ
②申請種別:永住
③状況概要: はじめまして、渡邊と申します。 永住申請を検討している知り合いの中国籍の男性についてのご相談です。今年の1月にご本人が自ら永住申請を行いました。4月に日本人と婚姻し、配偶者の課税・納税証明書などの追加書類を入国管理局から提出するよう求められています。 しかし、7月末で前職を退職し、8月からは退職した会社と業務委託契約を締結して個人事業主として仕事を始めました。この業務委託契約による収入が月17万円ほどに下がってしまったため、生活を安定させるために知人の会社でも正社員として就業し、月8万円ほどの収入を得ています。 永住申請時より年収が50万円以上ダウンしており、かなりマイナス要素になるように感じています。
④質問: 永住申請中に転職(業務委託+副業)となりました。この場合、「所属機関の変更の届出」以外に、就労状況が変わった旨の説明や活動内容、事業内容を明らかにする書類などを入国管理局に追加資料として提出した方が良いでしょうか?また、提出に際して注意点などございましたら、ご教示いただけますと幸いです。
行政書士からの回答)
渡邊様、ご相談いただきありがとうございます。永住申請中にご自身の状況が大きく変化されたとのこと、ご依頼者様もご不安なことと存じます。このようなケースは、特に慎重な対応が求められますので、詳しく解説させていただきます。
1. 永住申請中の状況変更は審査に影響するか?
はい、今回の状況変更は永住審査に影響を与える可能性が非常に高いです。
永住許可の審査では、申請者の「安定した生計を営む能力」と「日本での定着性」が最も重要視されます。申請中に以下の状況が変化したため、入国管理局はこれらについて再審査する必要があると判断します。
- 就労形態の変更: 会社員から個人事業主(業務委託)および副業に変わったこと。
- 収入の大幅な減少: 申請時よりも年収が50万円以上ダウンしていること。
- 婚姻: 永住申請後に日本人と結婚したこと。
2. 所属機関の変更届出と追加書類提出の必要性
ご質問の「所属機関の変更の届出」だけでなく、就労状況が変わった旨の説明や活動内容、事業内容を明らかにする書類などを入国管理局に追加資料として提出すべきです。 提出しない場合、入国管理局は審査の途中で情報不足と判断し、不許可となるリスクが高まります。
提出すべき追加資料の例
- 現在の就労状況を証明する書類:
- 業務委託契約書: 新しい会社との契約内容を明確に示す書類。
- 個人事業主の開業届: 税務署に提出した書類の控え。
- 在職証明書: 副業先の会社からの証明書。
- 収入状況を証明する書類:
- 直近の給与明細や支払調書: 業務委託と副業、両方の収入が分かるもの。
- 預貯金通帳のコピー: 申請者の財産状況が安定していることを示すため。
- 説明資料:
- 理由書(経緯説明書): 永住申請後に就労状況が変わった経緯と、それでも日本で安定した生活を送れる理由を詳細に説明します。
- 事業内容説明書: 個人事業主としての業務内容、今後の収益見込み、事業の継続性などを具体的に記述します。
3. 提出に際しての注意点
追加書類を提出する際には、以下の点に特に注意してください。
- 1.誠実な説明を徹底する:
- 就労状況が変わったこと、収入が減ったこと、結婚したことなど、全ての事実を正直に、かつ丁寧に説明することが不可欠です。隠蔽しようとしたと判断されると、審査官からの信頼を失い、不許可となる可能性が非常に高まります。
- 2.収入の安定性をアピールする:
- 年収がダウンしたことはマイナス要素ですが、「それでも安定した生活を送れる」ことをアピールすることが重要です。
- 業務委託と副業を組み合わせることで、収入が多角化され、安定性が高まったというポジティブな側面を強調します。
- ご主人の預貯金や資産、今後の収益見込みなどを具体的に示し、生計維持能力に問題がないことを証明します。
- 日本人の配偶者の仕事や給与収入、預貯金、不動産や金融資産なども重要な補強材料となります。
- 3.日本人配偶者との婚姻生活をアピールする:
- 永住申請後に結婚したという事実は、永住申請を有利にする要素です。
- 日本人配偶者が申請をサポートしていることや、二人で安定した生活を送っていく意思を理由書で示しましょう。
- 配偶者の収入・納税状況を示す書類も忘れずに提出してください。
- 4.専門家との連携を推奨:
- 今回は、「永住申請中の就労形態変更」「収入の大幅な変動」「婚姻」という3つの重要な変化が同時に起こっています。
- ご自身で全てを適切に説明し、必要な書類を揃えることは非常に困難です。入管手続きの専門家である行政書士と連携し、審査官が納得できるような説得力のある追加資料を作成することをお勧めします。
まとめと渡邊様へのアドバイス
渡邊様、ご依頼者様の状況は複雑で、慎重な対応が求められます。
- 「所属機関の変更の届出」は義務ですので、速やかに提出してください。
- それに加えて、就労状況が変わったことや結婚の事実を詳細に説明する追加書類を、自主的に提出するべきです。
- 特に、年収がダウンしたことのマイナス要素を、個人事業主としての安定性や副業による多角的な収入、そして日本人配偶者との婚姻生活というプラス要素でいかにカバーするかが鍵となります。
ご不安な点があれば、当事務所でも申請内容を詳細に分析し、最適な対応策を共に検討させていただきます。ご依頼者様の永住許可が無事に下りるよう、全力でサポートさせていただきます。