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米国から障害年金を受給し、国民年金が全額免除です。この場合永住ビザは取得できますか?

作成者: FESO|Oct 14, 2025 12:51:19 AM

 質問内容)

①相談種別:永住許可申請

②申請種別:新規申請

③状況概要: 私は米国籍のトッド(40代)です。日本人女性と結婚しており、「日本人の配偶者等」のビザで滞在しています。子供が2人います。 私は元々アメリカ海軍(Navy)に勤めていましたが、怪我をして退役したため、現在、米国から障害年金(Disability Benefit)を受給しています。 そのため、日本での収入(給与)はなく、国民年金保険料は全額免除を受けています(過去も現在も免除)。

④質問内容: 永住ビザの要件として、国民年金保険料を支払っていないと永住は取れないと理解しています。私のように障害があり日本で働けず、アメリカから障害年金を受け取っているといった理由がある場合、国民年金保険料の免除が許可される特別な例外はあるのでしょうか?

 

行政書士からの回答)

トッドさん、ご相談いただきありがとうございます。元Navyでのお怪我、お見舞い申し上げます。国際結婚をされ、永住権をご検討とのこと、日本での長期的な生活を設計する上で重要な問題ですね。

ご質問の核心である「国民年金免除と永住許可の可否」について、詳しく解説させていただきます。

 

1. 永住許可申請における公的義務履行の原則

永住許可の要件の一つである「素行善良要件」や「生計維持要件」において、公的義務の履行(納税、公的年金・医療保険料の納付)は、現在、最も厳しく審査されるポイントです。

原則として、国民年金保険料や国民健康保険料に未納や滞納がある場合は、永住許可は非常に困難となります。

 

2. 「国民年金保険料の免除」は未納・滞納と見なされるか?

トッドさんのケースのように、正規の手続きを経て国民年金保険料の「全額免除」を受けている場合は、単純な「未納」や「滞納」とは区別されます。

  • 免除の扱い: 国民年金保険料の免除制度は、経済的に困難な状況にある方に対し、国が保険料の納付を猶予する制度です。この免除申請が適正に承認されている期間については、納付義務が「免除されている」状態であり、「納付を怠った(未納・滞納)」状態ではないと見なされます。
  • 重要な点: 免除を受けていたとしても、国民年金制度に加入し、免除申請という公的な手続きを適切に行ってきた事実が重要になります。

 

3. 米国の障害年金受給者としての「特別例外」

トッドさんのケースは、以下の2点から「生計維持の安定性」が認められ、永住許可の可能性が十分にある特殊な事例です。

  1. 1.安定した海外年金収入:
    • 永住審査では、日本での収入(給与)がない場合でも、国外からの安定した年金収入や障害年金、または資産がある場合は、「独立の生計を営む能力がある」と認められます。
    • トッドさんが受給している米国の障害年金は、今後も継続的に安定して得られる収入源として、非常に強力な証明材料となります。
  2. 2.国民年金免除の合理的理由:
    • 怪我により働けず、収入がないために免除を受けているという合理的かつ客観的な理由が明確に存在します。これは、納税や年金加入を意図的に避けた「素行不良」とは判断されにくいです。

 

4. 永住申請に向けた対応策

国民年金免除を受けているトッドさんが永住申請を行うにあたっては、以下の書類と説明を徹底することで、許可の可能性を最大限に高めることができます。

  1. 1.国民年金保険料の「納付状況」の証明:
    • 免除を受けていた期間が明確にわかるように、年金事務所で「国民年金保険料の納付状況を証明する書類」(納付・免除期間が記載されたもの)を取得し提出します。
    • これにより、免除申請という公的義務を履行していたことを証明します。
  2. 2.障害年金受給の証明:
    • 米国の障害年金(Disability Benefit)の受給証明書(金額、継続期間がわかるもの)を提出し、その日本語訳を添付します。
    • これが、日本での安定した生活を支える収入源であることを明確にアピールします。
  3. 3.理由書での詳細な説明:
    • 「なぜ日本で働いていないのか」「なぜ国民年金保険料の免除を受けているのか」という経緯を、正直かつ丁寧に記述した理由書を作成します。
    • 怪我の状況、米国からの年金受給に至った経緯、そしてその年金だけで夫婦と子供2人の生活が十分安定して維持できることを、具体的な金額をもって説明します。
  4. 4.納税証明書:
    • 日本の税金(住民税、所得税など)については、免除ではなく、適切に申告・納付していることが必要です。非課税の場合でも、住民税の課税証明書・納税証明書を提出し、税務上の義務は全て履行していることを証明します。

 

まとめとトッドさんへのアドバイス

トッドさんのケースは、米国の安定した障害年金という強力な経済基盤と、国民年金免除という合理的な理由が揃っているため、永住許可を得られる可能性は十分にあると考えられます。

  • 国民年金免除は、このケースでは不利に働くよりも、むしろ「やむを得ない事情」として人道的に考慮される要素となります。
  • 重要なのは、「経済的な安定性(年金)」「公的義務の履行(免除申請)」「家族の扶養能力」を、客観的な書類で抜け目なく証明することです。

ご不安な場合は、私たち行政書士のような専門家にご相談ください。トッドさんの日本での永住が叶うよう、全力でサポートさせていただきます。