質問内容)
① 相談種別: 永住
② 申請種別: 永住許可申請
③ 状況概要: フィリピン国籍のレイと申します。現在「技術・人文知識・国際業務(技人国)」で5年在留しています。先日、会社都合による解雇を通告されました。在留期限が迫っているため、まずは就職活動のための「特定活動」ビザへ変更する予定ですが、将来の永住申請への影響が心配です。
④ 質問:
転職活動のために「特定活動」ビザを挟むことで、永住要件である『就労資格で「引き続き」5年以上在留』のカウントはリセットされてしまうのでしょうか。
行政書士からの回答とアドバイス
レイ様、ご相談ありがとうございます。会社都合での退職という大変な状況の中、将来を見据えて動かれているのは非常に大切なことです。
結論から申し上げますと、就職活動のための「特定活動」ビザに切り替えた場合、永住申請に必要な「就労資格5年」のカウントは、原則としてリセットされる可能性が高いです。
その理由と、今後意識すべきポイントを解説します。
1. 永住要件における「就労資格」の定義
永住許可を得るためには、原則として「引き続き10年以上日本に在留し、そのうち就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していること」が求められます。
- カウント対象の資格: 技人国、経営管理、高度専門職などの「就労ビザ」、または配偶者ビザなどの「居住ビザ」です。
- 特定活動(就職活動)の扱い: 就職活動のための「特定活動」は、次の就労ビザを得るまでの準備期間であり、本来の就労資格には該当しません。そのため、この期間は「就労資格での在留期間」としてカウントされません。
2. 「引き続き」の継続性が途切れるリスク
永住審査では「引き続き(継続して)」という点が非常に厳格に審査されます。
- 資格の断絶: 技人国から特定活動へ変更した時点で、「就労資格による継続的な在留」が一旦途切れたとみなされるのが実務上の一般的な扱いです。
- リセット後の再スタート: 新しい就職先が決まり「技人国」に戻したとしても、そこから改めて「5年」のカウントをやり直す必要がある、と考えるのが安全です。
3. 今後のための具体的なアドバイス
将来の永住申請を成功させるために、今から準備できることがあります。
- 速やかに就労ビザへ復帰する: 特定活動の期間を最小限に抑え、一日も早く「技人国」等の就労ビザに戻すことが、将来「在留の継続性」を主張する際の材料になります。
- 解雇理由の証拠を保管する: 今回が「会社都合」であることを示す離職票や通知書は必ず保管してください。数年後の永住申請時、一時的に特定活動になったのは「本人の責任ではない、やむを得ない事情だった」と説明するための重要な証拠になります。
- ハローワークでの求職活動の記録を保管してする:在留資格の取消事由に該当する、活動は行っておらず、求職活動に専念していたことの証明となるハローワークでの求職者の認定手続きや28日毎に求職活動期間中の求職活動について認定してもらっていた書面の保管は非常に重要です。
- 公的義務の履行を継続する: 収入が不安定になる時期ですが、年金・保険・税金の支払いを1日でも遅らせないでください。ここで未納や遅延が発生すると、居住要件以上に永住審査へ悪影響を及ぼします。
4. 行政書士からのメッセージ
「カウントがリセットされる」という判断は厳しいものですが、会社都合という正当な理由がある以上、その後のリカバリー次第で審査官の裁量に訴えかける余地はゼロではありません。まずは安定した職を得て、再び就労実績を積み上げていきましょう。
※ 本記事は記事公開時点の情報に基づいて作成されています。最新の情報は必ず出入国在留管理庁の公式ウェブサイト等でご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースに対する法的なアドバイスではありません。具体的な手続きや判断については、必ず専門家にご相談ください。

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