質問内容)
① 申請種別: 永住(高度人材ポイント特例)
② 相談種別: 永住許可申請
③ 状況概要: ノルウェー国籍のヤニーと申します。日本の大学院を2025年3月に卒業し、同年4月に日本の国内大手企業に新卒として入社しました。
現在(2026年5月)、改めて高度人材ポイントを計算したところ、大手企業での年収や学歴(日本の大学院卒)などの加点が響き、80点以上を満たしていることが分かりました。
しかし、ちょうど1年前の入社直後(2025年4月)の時点を振り返ると、当時はまだ社会人としての収入(年収見込み)が確定しておらず、学生時代の経歴だけでは70点しかありませんでした。
④ 質問内容: 永住の「1年特例」を使いたいのですが、「1年前の時点で80点未満(70点)だった」という場合、現時点(2026年5月)では80点での永住申請要件を満たしていないという私の判断で間違いないでしょうか?また、今後の最短ルートを教えてください。
行政書士からの回答)
ヤニー様、ご相談ありがとうございます。日本の大学院を卒業し、国内の大手企業で大いに活躍されているとのこと、素晴らしいですね。新卒1年目で自ら高度人材ポイントを計算し、法律の仕組みを正しく把握しようとされている姿勢は非常に聡明です。
結論から申し上げますと、ヤニー様の「現時点では80点特例での永住申請はできない」というご判断は、正解です。非常に正確に制度を理解されています。
なぜその判断が正しいのか、そしてヤニー様がこれから永住権を最短で獲得するための「具体的なロードマップ」を詳しく解説します。
1. 高度人材ポイント特例(80点)の厳格なルール
日本の永住審査における「高度人材ポイント特例」は、通常10年必要な在留期間を劇的に短縮できる素晴らしい制度ですが、その条件は非常に厳格です。
- 「継続性」の原則: 80点特例を使って「1年」で永住申請をするためには、「申請を行う現在」と「そのちょうど1年前」の2つの時点のどちらも、確実に80点以上を維持していなければならないというルールがあります。
- ヤニー様の現状: 2026年5月(現在):80点以上(クリア)
- 2025年4月(1年前):70点(不適合)
ヤニー様が気づかれた通り、1年前の時点で80点に達していなかった以上、現時点(2026年5月)で「1年の特例」を使って永住申請を出すことはできません。仮に今申請しても、1年前のポイント不足を理由に不許可になってしまいます。
2. なぜ新卒1年目は「1年前のポイント」が低くなるのか?
ヤニー様のように、日本の大学院を卒業してすぐに大手企業に入社された方に、このケースは非常によく見られます。原因は「年収加点」の仕組みにあります。
高度人材ポイントの「年収」項目は、これから1年間でもらう予定の「将来の年収見込み」で計算します。 2025年4月の入社直後は、会社から提示された新卒の給与ベースでの「年収見込み」しかありません。また、学生時代は当然ながら収入が低いため、過去の年収実績もありません。
社会人として1年が経ち、2026年5月現在になって「実際の昇給」や「ボーナスの実績」、「役職の付与」などが確定したことで、初めて年収ポイントが大きく跳ね上がり、合計で80点を超えたのだと考えられます。これは順調なキャリアアップの証拠です。
3. ヤニー様が永住権を勝ち取るための「2つの最短ルート」
現時点で申請できないからといって、がっかりする必要は全くありません。ヤニー様には、これから永住権を狙うための非常に有利なルートが2つ残されています。
ルートA:【本命】2027年5月まで「80点」をキープして申請する(あと1年待つ)
これが最も確実で、かつ現実的な最短ルートです。
- スケジュール: 2026年5月の現在、すでに80点に到達しているのですから、この80点以上の状態をこれから1年間(2027年5月まで)しっかりと維持してください。
- メリット: 2027年5月になれば、「現在(80点以上)」かつ「1年前の2026年5月(80点以上)」という条件が完璧に成立します。大学院を卒業してわずか2年強という、異例のスピードで永住申請を行うことができます。
ルートB:【大穴】「3年前から70点あったか」を検証する
高度人材特例には、もう一つ「70点以上を3年間維持していれば永住申請できる」というルールがあります。
- 検証内容: ヤニー様は1年前(2025年4月)に70点あったとおっしゃいました。では、さらにその前、「大学院生だった時代(2023年〜2024年)」に、すでに70点を超えていた可能性はないでしょうか?
- ポイントの落とし穴: 日本の大学院卒(20点)+修士号(20点)+日本語能力試験N1(15点)+日本の大学卒業等(10点)=これだけで65点になります。もし、これに加えて「投資家としての副収入」や「保有する特定の資格」などがあり、学生時代から一貫して70点を超えていたことが証明できれば、今すぐ「3年特例」で申請できるウルトラCの可能性があります。
ただし注意点: 学生時代は年収が低いため、年齢と学歴だけで70点に達している必要があります。一度、過去に遡って精密な計算をしてみる価値はあります。
4. これからの1年間で絶対に注意すべき「税金・社会保険」の罠
ルートA(あと1年待って2027年に申請)を選択する場合、新卒2年目となるこれからの1年間は、以下のコンプライアンス(公的義務)に最大の注意を払ってください。永住審査は、ポイントの数字よりも「税金の遅れ」に100倍厳しいです。
- 住民税の「特別徴収」の開始: 新卒1年目は前年の収入(学生時代)が少ないため住民税がほぼかかりませんが、2年目の2026年6月以降から、社会人としての給与に対する本格的な住民税の徴収が始まります。通常は給与から天引き(特別徴収)されますが、万が一、会社の切り替え等で「自分で納付書で払う(普通徴収)」期間が発生した場合、1日でも納付期限に遅れると永住は一発不許可になります。
- 転職は原則控える: これからの1年間で転職をしてしまうと、年収見込みの計算がリセットされたり、ポイントが一時的に下がったりして「継続性」が途切れるリスクがあります。永住権を取るまでは、現在の優秀な大手企業でのキャリアを維持することをお勧めします。
5. 行政書士からのメッセージ
ヤニー様、ご自身の現状分析は完璧でした。現状での申請は見送るべきですが、「2026年5月に80点に達した」という事実を今ここで確定させておくことは、1年後の永住申請に向けて非常に大きな一歩です。ポイント確認の確実な方法としては、予め高度専門職1号に変更しておくことを検討してみても良いと思います。
今やるべきことは、現在の会社での役員報酬や給与の推移、そして税金・年金が1日の遅れもなく綺麗に支払われているかを管理することです。
もし、ルートBの「学生時代からの70点維持」の可能性を万が一にでも探ってみたい場合や、1年後に向けて今からどのような書類(ノルウェーの書類など)を集めておくべきかスケジュールを引きたい場合は、いつでもプロを頼ってください。ヤニー様の輝かしい日本でのキャリアを、永住権という最高の形で安定させられるよう応援しています!
※ 本記事は2026年5月初旬時点の情報に基づいて作成されています。高度人材ポイントの計算基準や永住審査の運用は非常に繊細なため、個別の経歴に基づいた正確な診断は専門家へご相談ください。

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