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永住許可申請は子どもと一緒に?家族申請の有利・不利は?

作成者: FESO|Jun 2, 2025 7:07:29 AM
 

 

質問内容)

①相談種別: 永住許可申請 
②申請種別: 新規申請 
③状況概要: フィリピン人のメリンダです。夫婦共に「技術・人文知識・国際業務」ビザが許可されてから東京に3年住んでいます。旦那もフィリピン人です。昨年子どもが生まれました。家族で永住権を取得したいと考えています。 
④質問: 永住権を申請する時、子どもだけ申請する、3人まとめて申請するのどちらが有利になるなどありますか?

 

回答)

メリンダさん、永住許可申請に関するご相談、ありがとうございます。ご夫婦共に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をお持ちで、お子様も誕生され、ご家族皆様で永住権を目指していらっしゃるとのこと、素晴らしいですね。

お子様だけ先に申請すべきか、それともご家族3人まとめて申請すべきか、どちらが有利になるかというご質問ですね。永住許可申請は、ご家族の状況によって最適な戦略が異なりますので、詳しく見ていきましょう。

 

永住許可申請の基本的な考え方

永住許可申請は、原則として申請者個人が要件を満たしているかを審査しますが、扶養している家族がいる場合は、その家族を含めた世帯全体の状況が審査に影響します。

お子様がいらっしゃる場合、永住許可を得ることで、お子様の日本での安定した生活と教育環境を確保できるという大きなメリットがあります。

 

「子どもだけ先に申請」と「家族3人まとめて申請」の有利・不利

メリンダさんのご家族のようなケースでは、それぞれの申請方法に以下のような有利・不利が考えられます。

1. 「子どもだけ先に申請」のケース

お子様は日本で生まれたばかりで、まだ日本での滞在期間が短いため、お子様単独での永住許可申請は原則としてできません。

永住許可の基本的な要件として、「原則として引き続き10年以上日本に在留していること」が求められます。これはお子様にも適用されるため、お子様が単独でこの要件を満たすことは現時点では不可能です。

例外として、「日本人、永住者又は特別永住者の子」の場合は、実態を伴った生活が1年以上継続していることなど、一部要件が緩和されます。しかし、この特例はお父様かお母様のいずれかが既に永住者である場合や、日本人である場合に適用されるものです。メリンダさんご夫婦はまだ永住者ではないため、お子様だけ先に申請して永住許可を得ることは、このケースでは難しいでしょう。

2. 「家族3人まとめて申請」のケース

このケースが、メリンダさんのご家族にとって現実的な選択肢となります。しかし、単にまとめて申請すれば良いというわけではありません。

有利になる点:

  • 世帯としての安定性のアピール: ご夫婦で安定した収入があり、お子様を扶養しているという状況は、世帯として経済的に自立し、日本に定着する意思があることを強くアピールできます。
  • 審査の効率性: 入国管理局側も、家族単位でまとめて審査を進めることで、世帯全体の状況を把握しやすくなるという側面があります。

慎重に検討すべき点:

  • 夫婦それぞれの永住要件の確認: 永住許可の審査は、原則として申請者一人ひとりが要件を満たしているかが重要です。メリンダさんご自身だけでなく、旦那様も永住許可の要件(在留期間、安定した収入、納税状況、社会保険の加入状況、交通違反の有無など)をクリアしている必要があります。
  • 旦那様の現在の在留状況: ご夫婦共に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で3年間在留しているとのことですが、永住許可申請の原則的な要件は「引き続き10年以上日本に在留していること」です(そのうち就労系の在留資格で5年以上の就労実績)。現時点では、ご夫婦共にこの要件を満たしていません。

メリンダさんのケースにおける今後のステップ

メリンダさんのご家族の場合、永住許可申請の「在留期間要件」がまだ満たされていない状況です。

  1. 在留期間要件のクリア: ご夫婦それぞれが、原則として日本に10年以上在留し、かつ「技術・人文知識・国際業務」などの就労系の在留資格で5年以上在留していることを目指してください。
  2. 夫婦それぞれの要件確認: 10年の在留期間を満たすまでに、夫婦それぞれが以下の要件を確実にクリアできるよう、日々の生活を注意深く送ることが重要です。
    • 納税義務の履行: 所得税、住民税、消費税などを期限内に適切に納めているか。
    • 社会保険料の納付: 健康保険料、年金保険料を漏れなく納付しているか。
    • 交通違反・犯罪歴: 軽微な交通違反でも回数が多ければ審査に影響するため注意が必要です。
    • 安定した収入: 夫婦それぞれの収入が安定しており、世帯として十分な生計能力があるか。お子様がいらっしゃる場合、扶養家族が増えるため、より安定した収入が求められます。
  3. 情報収集と準備: 10年の在留期間が近づいてきたら、必要な書類や最新の情報を集め始めましょう。
  4.  

まとめ

メリンダさんのご家族の場合、現時点では永住許可申請の主な要件である在留期間が不足しています。 今はまず、ご夫婦それぞれの在留期間を延ばし、永住許可の要件を確実に満たすための準備期間と考えて行動されるのが最善です。

数年後、ご夫婦が永住許可申請の要件を十分に満たした時点で、お子様を含めご家族3人で同時に申請するのが、最もスムーズで有利な方法となるでしょう。お子様は「永住者の子」として原則10年在留に関する特例が適用される可能性が高まり、ご家族全体として安定した生活基盤があることをアピールできます。

永住許可申請は、手続きが複雑で、個々の状況によって判断基準が異なります。もしご不安な点や、さらに詳しいアドバイスが必要な場合は、ぜひ私たち行政書士にご相談ください。メリンダさんのご家族が日本で安心して永く暮らせるよう、全力でサポートさせていただきます。