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日本で就労する私が、母国にいる病気や障害を持つ子を日本に呼び寄せることは可能でしょうか?

作成者: FESO|Aug 13, 2025 1:18:57 AM
 

 

 質問内容)

①相談種別:在留資格

②申請種別:定住

③状況概要: ベトナム国籍のミン(35歳)と申します。日本には5年前に来日し、現在「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザでIT企業に勤務しています。夫はベトナムで生活しています。 ベトナムには、私たちが育てている娘(10歳)がいますが、彼女は生まれつき心臓に疾患があり、定期的な治療と特別なケアが必要です。ベトナムでの治療には限界があり、経済的な負担も大きいため、日本に呼び寄せて、高度な医療を受けさせながら一緒に暮らしたいと強く願っています。 しかし、一般的な「家族滞在」ビザの要件に合致するのか、また、夫が日本にいない状況で娘だけを呼び寄せられるのか不安です。

④質問: 日本で就労する私が、母国にいる病気や障害を持つ娘を日本に呼び寄せたいのですが、一般的な「家族滞在」ビザの申請は難しいと聞いています。このような場合、娘が「定住ビザ」を取得する可能性はあるでしょうか?また、申請にあたり、どのような点に注意すべきでしょうか?


 

 行政書士からの回答

ミンさん、この度はご相談いただきありがとうございます。ベトナムにいらっしゃるお嬢様のために、日本での治療と生活をご検討とのこと、心よりお察しいたします。お子様が病気や障害をお持ちの場合の在留資格申請は、一般的なケースとは異なり、非常にデリケートな問題となります。

1. 病気や障害を持つ子の「家族滞在」ビザ申請の難しさ

まず、原則として就労ビザを持つ外国人が子を呼び寄せる場合、子の在留資格は「家族滞在」となります。しかし、病気や障害を持つ子の場合、以下の理由から審査が難しくなる傾向があります。

  • 生計維持能力の懸念: 親の収入だけで、高額な医療費や特別なケアにかかる費用を含めた、世帯全員の生活を安定して維持できるかが厳しく審査されます。
  • 扶養関係の証明: お子様が病気である場合、親が専ら扶養する立場にあることを証明しやすくなりますが、同時に、将来的に自立が難しいと判断され、日本社会の負担になる可能性が懸念されることがあります。

2. 「定住ビザ」取得の可能性

おっしゃる通り、「家族滞在」ビザでの申請が難しい場合、「定住ビザ」の取得を検討する余地があります。

定住ビザは、法務大臣が特別な理由を考慮して、日本での居住を認める在留資格です。病気や障害を持つ子を日本に呼び寄せるケースでは、人道上の配慮が「特別な理由」として認められる可能性があります。

特に重視されるポイント

  1. 1.日本での治療の必要性と相当性:
    • 娘さんがベトナムで十分な治療を受けられないこと、または日本の高度な医療が必要であることを、ベトナムと日本の両方の医師の診断書で具体的に証明することが不可欠です。
    • 日本での治療が、娘さんの健康状態の改善や生命維持に不可欠であることを強く主張する必要があります。
  2. 2.人道上の配慮の必要性:
    • 娘さんが病気や障害を持つために、親の直接的な介護と精神的サポートが不可欠であること。
    • 娘さんの病状が深刻であり、一人でベトナムに残しておくことが困難であること。
    • 娘さんが日本に来て、家族と一緒に暮らすことが、娘さんの健康状態や精神状態の安定に不可欠であることを、医師の意見書などで証明することが重要です。
  3. 3.申請者(ミンさん)の生計維持能力:
    • 母親であるミンさんの収入だけで、娘さんの医療費や生活費、特別なケアにかかる費用を含めた世帯全体の生活を十分に支えられるだけの経済力があることを、預貯金残高証明書、納税証明書、課税証明書などで具体的に証明する必要があります。
    • ご主人がベトナムにいるため、ミンさんの単独での扶養能力がより厳しく審査されます。
  4. 4.夫の状況と同意:
    • 夫がベトナムに残る理由(仕事、家族の介護など)を明確に説明し、夫も娘さんの日本での生活と治療に同意していることを証明する書類(同意書など)を提出する必要があります。

3. 申請にあたり特に注意すべき点と準備すべきこと

日本の医療現場の逼迫や、医療保険料の負担に加え、親が不慮の事故や病気、或いは寿命で亡くなった後のお子様の看護を行うことまで考慮した審査が、当然になされるものと考えららます。従いまして、極めて困難な申請となるため、以下の点を最大限に準備し、慎重に対応する必要があります。

  1. 1.詳細な理由書の作成:
    • なぜ娘さんを日本に呼び寄せることが必要不可欠なのか、その背景事情を詳細かつ説得力のある形で記述します。
    • 娘さんの病状の深刻さ、ベトナムでの治療の限界、そして日本での治療が不可欠であることを強調します。
    • 母親として、娘さんの介護と精神的サポートを日本で提供したいという切実な思いを丁寧に記述します。
    • 娘さんの日本での生活費、医療費、介護費用など、すべての費用をミンさんが負担する能力があることを明確にします。
  2. 2.医師の診断書・意見書:
    • ベトナムの医師の診断書: 病名、病状の深刻度、ベトナムでの治療の限界などを具体的に記載してもらう。
    • 日本の医師の診断書: 日本での治療が可能であること、その必要性、治療計画、医療費の見込みなどを具体的に記載してもらう。
  3. 3.経済的扶養能力の証明の充実:
    • ミンさんの直近数年分の納税証明書(所得税、住民税)および課税証明書を提出します。
    • 預貯金残高証明書(多ければ多いほど良い)、不動産等の資産証明など、資産状況を証明する書類を提出します。
    • 毎月の収支状況を記載した家計収支表も有効です。
  4. 4.親族関係を証明する書類:
    • ミンさんと娘さんの親子関係を証明する書類(出生証明書など)と日本語訳を提出します。
    • 夫がベトナムに残る場合、その理由と娘さんの日本での生活に同意していることを示す書類も提出します。
  5. 5.住居の確保:
    • 娘さんとミンさんが一緒に生活できる十分な広さの住居を確保していることを、賃貸契約書や間取り図、写真などで示します。

まとめとミンさんへのアドバイス

ミンさん、病気や障害を持つお子様を日本に呼び寄せるケースは、人道上の配慮が強く求められる反面、非常に厳格な審査が行われます。

  • 最も重要なのは、ベトナムでの治療の限界と、日本での治療の必要性を、客観的な診断書で明確に示すことです。
  • ミンさんの単独での扶養能力を、具体的な収入証明と資産証明で説得力を持ってアピールすることです。

ご自身での申請も不可能ではありませんが、この種の申請は、通常のビザ申請とは異なり、個別の状況を非常に詳細に説明し、豊富な補強資料を揃える必要があります。

したがって、必ず入管手続きに精通した行政書士にご相談いただくことを強くお勧めします。 専門家は、ミンさんの状況を詳細にヒアリングし、必要な書類の選定、説得力のある理由書や上申書の作成、そして入管との交渉を通じて、許可の可能性を最大限に高めるお手伝いをさせていただきます。

どうぞご無理なさらず、まずはご家族の健康を第一にしてください。私たちも精一杯サポートさせていただきます。