
質問内容)
① 相談種別: 家族滞在
② 申請種別: 認定
③ 状況概要: 友人夫婦に関する相談です。夫は中国籍で技能実習生2号。妻も中国籍で高度専門職ビザで就労中。2019年結婚、2022年に子供が中国で出生。夫婦は別々の寮に居住。技能実習終了後に夫が中国へ帰国し、妻の高度専門職の家族滞在ビザを申請して来日希望。
④ 質問:
技能実習2号が終わってすぐに、奥さんの高度専門職の家族滞在ビザを申請しても大丈夫でしょうか?技能実習は母国に技術を伝えるのが目的だと聞いたことがあるので、それが理由でビザがもらえない可能性はありますか? 家族滞在ビザは、経済的に頼る配偶者が対象だと聞きました。ご主人は日本に来る直前まで技能実習生として働いていたのに、奥さんの扶養に入るという形で家族滞在ビザをもらうことはできるのでしょうか?
回答)
ご友人のご夫婦の家族滞在ビザ申請について、ご心配のことと存じます。以下に、ご質問について詳しくご説明いたします。
技能実習後の家族滞在ビザ申請について
技能実習2号を修了した後に、直ちに高度専門職の配偶者として家族滞在ビザを申請すること自体は、法的に禁止されているわけではありません。
しかし、ご指摘の通り、技能実習制度は日本の技術・技能・知識を開発途上国等へ移転することを目的としています。そのため、技能実習修了後すぐに家族滞在ビザを申請し、就労せずに配偶者の扶養に入るという流れは、技能実習の本来の趣旨との整合性を問われる可能性があります。
入国管理局は、個々の申請について、在留の目的や必要性、真実性などを総合的に審査します。技能実習の目的と、修了直後の家族滞在ビザ申請の意図について、合理的な説明が求められる可能性があります。
家族滞在ビザの扶養要件について
家族滞在ビザは、原則として日本に在留する外国人の扶養を受ける配偶者または子が対象です。ここでいう「扶養を受ける」とは、経済的に主に頼っている状態を指します。
ご主人が日本に来る直前まで技能実習生として働いていたとしても、家族滞在ビザを申請する時点において、奥様(高度専門職ビザ保持者)がご主人の主な生計維持者となるのであれば、扶養要件を満たすと考えられます。
ただし、審査においては、以下の点が考慮される可能性があります。
- 夫婦関係の真実性・安定性: 2019年に結婚されており、お子様もいらっしゃることから、夫婦関係の信ぴょう性については問題ないと考えられます。
- 扶養能力: 奥様の収入が、ご夫婦とお子様の日本での生活を安定的に支えることができると認められる必要があります。収入額や安定性を示す書類(源泉徴収票、納税証明書、雇用契約書など)を十分に準備する必要があります。
- ご主人の日本での活動予定: 家族滞在ビザは、原則として就労は認められません。ご主人が日本でどのように生活する予定なのか(家事、育児など)を明確に説明する必要があります。もし就労を希望する場合は、別途就労可能なビザを取得する必要があります。または、資格外活動許可を得て週28時間などの制限の範囲内でアルバイトを行うことは可能です。
- 別居の理由: 現在、ご夫婦が別々の寮に住んでいる理由について、合理的な説明が求められる可能性があります。
考えられるリスクと対策
- 技能実習の目的との矛盾: 技能実習修了後すぐに就労せず扶養に入る点について、入国管理局から疑問を持たれる可能性があります。理由書を作成し、技能実習で得た経験を将来的に母国で活かす意向があることなどを丁寧に説明することが重要です。
- 扶養能力の不足: 奥様の収入が、ご夫婦とお子様の生活を支えるに十分でないと判断される可能性があります。十分な収入を証明する書類を準備することはもちろん、場合によっては預貯金などの資産を示すことも有効です。
推奨される対応
- 十分な書類準備: 奥様の高度専門職としての在留資格、収入状況、ご夫婦の関係性、お子様の情報などを証明する書類を漏れなく準備してください。
- 詳細な理由書の作成: ご主人が技能実習後に家族滞在ビザを申請する理由、日本での生活計画、将来的な展望などを具体的に説明する理由書を作成してください。
- 入国管理局への事前相談: 可能であれば、管轄の出入国在留管理局に事前に相談し、具体的な状況を説明した上で、必要な書類や注意点を確認することをお勧めします。
- 専門家(行政書士など)への相談: 入国管理に関する専門家である行政書士に相談し、法的なアドバイスや申請のサポートを受けることも有効です。
技能実習後の家族滞在ビザ申請は、慎重な準備と説明が求められます。ご夫婦の状況をしっかりと整理し、入国管理局に誤解を与えないように丁寧に申請を進めることが重要です。
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