経営管理ビザFAQ

経営管理ビザ

外国人が日本で自由診療の歯科医院を開業するには?

  • 5月 17 2025
  • FESO

質問内容)

①相談種別:就労ビザ

②申請種別:新規申請

③状況概要: アメリカで歯科医院を経営しているショーン(40歳)です。日本でホワイトニングなどの自由診療を中心とした歯科医院を開業したいと考えています。

④質問: アメリカの歯科医師免許しか持っていないのですが、日本でホワイトニングなどの自由診療を専門とする歯科医院を開業するには、どのような手続きが必要になりますか?どのような在留資格を取得する必要がありますか?

 

 回答)

ご質問ありがとうございます。

アメリカで歯科医院を経営されているご経験をお持ちとのことで、日本での開業を検討されているとのことですね。以下に、日本で歯科医院を開業するために必要な資格・手続き・在留資格について、自由診療にフォーカスしながら詳しく解説いたします。

 

1. 日本で歯科診療を行うには「日本の歯科医師免許」が原則必要

まず最初にお伝えすべき大切な点は、

たとえ自由診療であっても、日本国内で歯科医療行為を行うには「日本の歯科医師免許」が必要であるという点です。

【理由】

日本の法律(医師法・歯科医師法)では、自由診療・保険診療を問わず、人体に対する診療行為は「医業」として定義され、免許を持たない者の施術は禁止されています。

つまり、ホワイトニングのような保険適用外の診療(自由診療)であっても、歯科医療行為である以上、日本の国家資格が必要です。

 

2. アメリカの歯科医師免許は日本では自動的に有効とはなりません

アメリカで取得された歯科医師免許は、日本ではそのままでは使えません

現在、日本の歯科医師免許は「国家試験制」であり、日本の大学(歯学部)を卒業した者、または外国の資格をもとに特別な手続きを経た者が受験可能となります。

【日本の歯科医師免許を取得する方法(簡略化)】

  1. 厚生労働省に対し「外国の歯科医師免許の確認申請」を提出

  2. 審査で承認されれば、日本の歯科医師国家試験の受験資格を得る

  3. 国家試験に合格すれば、日本の歯科医師免許を取得

※上記手続きは年単位で時間がかかるため、短期間での取得は困難です。

 

3. 歯科医療行為を「自ら行わない」場合は、開業自体は可能

もしご自身が診療行為を行わず、日本の歯科医師を雇って経営のみを行うのであれば、日本国内において歯科医院の「経営者」として関わることは可能です。

この場合は、以下の条件が重要になります。

 

4. 必要な在留資格は「経営・管理ビザ」

ご自身が診療せず、「事業を経営・運営する立場」として関与する場合、該当する在留資格は「経営・管理ビザ」になります。

 

【経営・管理ビザの主な条件】

  • 日本で法人を設立(または個人事業主登録)すること

  • 事務所・診療所として使用する施設を確保していること

  • 常勤の日本人歯科医師を雇用すること(医療行為担当者)

  • 事業計画が明確で、継続性があること

  • 原則として資本金500万円以上の出資があること

このビザは「医療行為」を行うためのものではなく、「事業を運営・管理するための在留資格」です。つまり、歯科診療を行うのはあくまで雇用された日本人歯科医師であり、ご本人はあくまでも医院の代表者・オーナーという立場になります。

 

5. 自由診療の歯科医院として開業する場合の具体的なステップ

ステップ1:事業のスキームを検討

  • 自分は診療をせず、日本の有資格者に施術を任せる

  • 自由診療専門の歯科医院とする(ホワイトニング、審美、マウスピース矯正など)

ステップ2:物件確保と事業計画の作成

  • 開業予定地のテナント契約(歯科医院として使用可能な施設)

  • 診療内容、料金体系、スタッフ構成、広告計画などの策定

ステップ3:会社設立(株式会社など)

  • 診療所の運営法人として日本で法人設立

  • 出資者・代表取締役として登記

医療法人設立は通常の法人設立よりも多くの工数と設立までの期間を要します。ご自身だけで設立するには難易度が高いといえます。専門にサポートする士業にまずはご相談ください。

 

ステップ4:歯科医師の採用

  • 日本の歯科医師免許を持つ常勤者を確保

ステップ5:保健所への開設届出

  • 「歯科診療所開設届」や「構造設備基準」の審査

ステップ6:経営・管理ビザの申請

  • 上記を根拠に、事業実態を証明する資料を添えて出入国在留管理庁に申請

6. 代替手段:「自費診療のみのサロン型店舗」は要注意

ホワイトニングを「医療行為ではなく美容サービスとして提供するサロン」のような形態を考える方もいますが、これは非常にグレーな領域です。

【注意点】

  • 施術方法や使用薬剤によっては「医療行為」と見なされる

  • 歯科医師法違反(無資格診療)に問われるリスクあり

  • 経営管理ビザ申請時に不利になる可能性も高い

したがって、必ず日本人歯科医師を雇用し、正式な歯科医院として開設することを推奨します。

 

7. まとめ:ポイントの整理

・アメリカの歯科医師免許では、日本国内で歯科診療行為(ホワイトニング含む)を行うことはできません。

・自由診療であっても、診療行為を行うには日本の歯科医師免許が必要です。

・日本の歯科医師免許を取得するには、厚生労働省の審査を経て、国家試験に合格する必要があります。

・ただし、ご本人が診療行為を行わず、資格を持つ日本人歯科医師を雇用し、自らは経営者として医院を運営する形であれば、開業は可能です。

・その場合、必要となる在留資格は「経営・管理ビザ」です。

・経営・管理ビザの取得には、法人設立、事務所(診療所)の確保、事業計画の整備、500万円以上の出資などの要件を満たす必要があります。

・「美容サロン」としてホワイトニングのみを提供する方法は法的リスクが高く推奨されません。

・適法に、かつ安定的に開業・運営を行うためには、日本の法制度を理解し、専門家と連携して準備を進めることが重要です。

 

ショーン様がご自身でホワイトニング等の施術をされるには、日本の歯科医師免許が必須です。ただし、資格を持つ日本人歯科医師を雇い、ご自身は経営に専念する形であれば、日本で自由診療を行う歯科医院の開業は可能です。

この場合、「経営・管理ビザ」の取得が必要となります。

事業計画や開業準備、ビザ申請に関しては、行政書士として具体的なサポートが可能です。お気軽にご相談ください。