
質問内容)
① 相談種別: 法人設立に伴うビザの必要有無
② 申請種別: 経営・管理、企業内転勤
③ 状況概要: シンガポール国籍のヘンリーです。シンガポールでテクノロジー企業を経営しています。100%出資で日本に子会社を設立したいと思っています。
④ 質問:
シンガポールでテクノロジー企業を経営しているヘンリーです。この度、100%出資で日本に子会社を設立したいと考えております。その際、日本に居住する代表取締役を雇用する必要があるといったルールはありますでしょうか?私はシンガポールに居住したまま、日本法人の代表取締役を兼任したいと考えています。また、現時点では、メンバーレベルの台湾人社員2名を企業内転勤ビザで日本に配置することを検討しています。私が日本に居住する予定がない場合、日本の子会社において、別途「経営・管理」ビザを保有する者を立てる必要はありますでしょうか?
回答)
ヘンリー様、日本での子会社設立と社員の配置について、詳細な状況をお知らせいただきありがとうございます。お問い合わせの件について、以下にご説明いたします。
結論から申し上げますと、ヘンリー様がシンガポールにお住まいのままで日本法人の代表取締役を兼任すること自体は、日本の会社法上可能です。また、現時点では、ヘンリー様ご自身が日本に居住する予定がないため、ヘンリー様ご自身の「経営・管理」ビザは直ちに必須ではありません。
日本における代表取締役の居住要件
日本の会社法では、株式会社の代表取締役が日本に住所を有していることは必須ではありません。したがって、海外に居住しているヘンリー様が、日本法人の代表取締役として登記されることは可能です。
「経営・管理」ビザ保有者の必要性
ヘンリー様が日本に居住せず、ご自身が「経営・管理」ビザを取得しない場合でも、日本の子会社を適法に運営するためには、日本に在留資格を有する経営者または管理者が必要となる可能性が高いです。これは、入国管理局が、日本国内で事業活動を行う外国法人の経営・管理体制が適切であることを求めているためです。
具体的には、以下のいずれかの対応が必要となる場合があります。
- 日本に居住する代表取締役または取締役を任命し、その方が「経営・管理」ビザを取得する: ヘンリー様が日本に居住しない場合、日本国内での事業運営、契約締結、行政機関とのやり取りなどを円滑に行うために、日本に居住する代表取締役または取締役を選任し、その方が「経営・管理」ビザを取得することが考えられます。この場合、その取締役は、事業の経営または管理に関する相当の経験を有しているなどの要件を満たす必要があります。
- 日本に「経営・管理」ビザを持つ従業員を雇用する: 代表取締役は海外在住のままで、日本国内の事業運営を担う「経営・管理」の在留資格を持つ従業員を雇用する方法です。この従業員は、事業の経営または管理に関する3年以上の実務経験(大学院修了者は1年以上を含む)などを満たす必要があります。
台湾籍社員の「企業内転勤」ビザについて
ヘンリー様が台湾籍の社員2名を「企業内転勤」ビザで日本に配置する場合、その社員の方々は以下の要件を満たす必要があります。
- 転勤の直前にシンガポールの親会社(ヘンリー様の経営するテクノロジー企業)に1年以上継続して在籍していること。
- 日本で行う業務が、シンガポールの親会社における業務と継続性を有すること。
- 日本における地位が、本国の事業所における地位と同程度以上であること。
- 日本における報酬額が、日本人と同等額以上であること。
これらの要件を満たせば、台湾籍の社員は「企業内転勤」ビザを取得して日本で働くことができます。ただし、「企業内転勤」ビザを持つ社員は、原則として経営者としての役割を担うことは想定されていません。
結論と推奨される対応
ヘンリー様が日本に居住しない場合でも、日本法人の代表取締役になることは可能ですが、日本での事業運営を円滑に進め、入国管理局の求める経営・管理体制を整えるためには、日本に居住する「経営・管理」ビザを持つ人材(代表取締役、取締役、または従業員)を立てることを強く推奨します。
具体的な対応策としては、以下のいずれかを検討ください。
- 日本に居住する信頼できる人物を代表取締役または取締役として選任し、「経営・管理」ビザを取得してもらう。
- 日本に「経営・管理」の在留資格要件を満たす従業員を採用する。
まずは、日本での具体的な事業計画と組織体制を明確にし、その上で、どの方法が最適か専門家(司法書士、行政書士など)にご相談いただくことを強くお勧めいたします。