
質問)
①相談種別:在留資格変更申請
②申請種別:留学 ➔ 経営管理
③状況概要: 現在入国管理局へ変更申請中の外国籍の友人からのご相談です。
・学生として留学中の昨年、海外のVC(ベンチャーキャピタル)より出資を受けて日本で起業
・売上が立っている状況で今年始めに経営管理への変更申請を行い、2026年6月に専門学校を卒業
・留学生ビザでの資格外活動については入管に説明済み ・現在、追加資料の提出を求められている状況
・本人の申告ベースで高度人材ポイントが100点あり
④質問内容: 上記状況で、もし不許可だった場合のリカバリーについてご相談です。不許可(30日ビザ)の場合はいったん出国するしかないと思っていますが、31日ビザだった場合のリカバリーとして、「高度専門職1号(ハ)」で申請をする余地はありますでしょうか?他に考えられる在留資格が思いつかず困っています。
行政書士からの回答)
ご相談ありがとうございます。留学中に起業され、売上も立っているとのこと、非常に素晴らしいですね。しかし、経営管理ビザへの変更申請中に不許可だった場合のリカバリーについて、ご不安なことと存じます。この点は、多くの外国人起業家の方が直面する可能性のある重要な問題ですので、詳しく解説させていただきます。
1. 経営管理ビザ不許可後の「高度専門職」ビザでのリカバリーは可能か?
結論から申し上げますと、不許可になった場合のリカバリー策として、「高度専門職1号(ハ)」への変更申請は、十分に検討する余地があります。
ご相談者様が高度人材ポイントを100点保有されているとのことですので、これは大きな強みです。
- 高度専門職ビザのメリット:
- 高度専門職ビザは、学歴、職歴、年収、日本語能力などに応じてポイントが付与されるビザです。ご相談者様のように100点以上あれば、非常に高い専門性が認められていることになります。
- このビザは、通常の在留資格とは異なり、様々な優遇措置があります。永住申請までの居住要件が最短1年に短縮されるほか、複合的な活動が認められるため、日本のベンチャー企業で働きながら、自社の経営にも携わるという活動も可能になります。
- リカバリーの道筋:
- 不許可後の対応としては、先ずは、入国管理局に出向き不許可の理由を正確に把握することが何よりも重要になります。その不許可とされた理由をクリアするための最善の策を講じる必要がありますので、一番効果的に対処できる方法がリカバリーへの道筋ということになります。
- 万が一、経営管理ビザが不許可になった場合でも、在留期限が31日ビザとして付与された場合は、その期間内に入管で「高度専門職1号(ハ)」への変更申請を行うことが可能です。
- この際、経営管理ビザの申請時に提出した事業計画書や、海外VCからの出資証明書、ご自身の学歴・職歴・日本語能力を示す書類などを活用し、高度専門職としての専門性と、日本で事業を行うことの合理性を改めて主張します。
2. 経営管理ビザが不許可になる可能性と対策
ご相談者様は既に売上が立っているとのことですが、新設法人での経営管理ビザの審査では、以下のような点が厳しく審査されます。
- 事業の安定性・継続性:
- 売上が立っていることは良いことですが、今後の収益見込みが不確実である場合、事業の安定性・継続性に疑義が生じることがあります。
- 海外VCからの出資があることはプラスですが、その資金がどのくらい、どのような目的で使われるのかを明確にする必要があります。
- 事務所の実態:
- 事業を行うための事務所が、事業内容に合致した実態のある場所であるかどうかが問われます。
- 本人の経営能力:
- 留学中の起業であるため、過去の経営経験がないと判断される可能性があります。
- 留学ビザでの活動(本来は学業)と、経営者としての活動の両立についても、入管にどのように説明したかが重要です。
現在、追加資料を求められているとのことですので、これらの懸念を解消するための書類(詳細な事業計画書、収支計画書、契約書など)を、論理的かつ説得力のある形で提出することが、まずは不許可を避けるための最重要課題です。
3. 他に考えられるリカバリー策
高度専門職ビザ以外にも、以下のような選択肢が考えられます。
- 就労ビザへの変更:
- もし、日本国内の他の企業から、ご自身の専門性(IT技術など)を活かせる仕事のオファーがあれば、そちらで「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する道もあります。
- この場合、現在の事業を一度清算する必要があるかもしれません。
- 再申請:
- もし不許可になった理由が明確であり、それを短期間で解消できると判断できる場合は、不許可理由を解消した上で、改めて経営管理ビザを再申請することも可能です。
- ただし、再申請は一度不許可になっているため、より審査が厳しくなることを覚悟する必要があります。
4. まとめとアドバイス
留学ビザからの経営管理ビザへの変更申請は、新設法人であることも含め、非常にチャレンジングな手続きです。
- 不許可後のリカバリー策としては、高度専門職ビザへの変更が有力な選択肢です。 100点という高いポイントは大きな武器となります。
- しかし、まずは現在の経営管理ビザの変更申請に全力を尽くすべきです。追加資料の提出を求められているとのことですので、この機会に、事業の安定性・継続性、ご本人の経営能力を説得力のある形でこれまでの主張に合致した一貫性のあるアピールすることが重要です。
ご不安な場合は、私たち行政書士のような入管手続きの専門家にご相談ください。申請書類の作成、理由書や事業計画書のブラッシュアップなど、許可の可能性を最大限に高めるためのサポートをさせていただきます。