質問)
① 相談種別: 経営・管理ビザへの変更準備
② 申請種別: 在留資格変更許可申請(留学 ⇒ 経営・管理)
③ 状況概要: 台湾出身のアリスと申します。現在、大学院の修士課程に在籍しており、在留資格は「留学」(期限:2027年7月)です。起業のため、昨年10月に「経営・管理」への変更申請を提出済みで、現在は結果を待っている状態です。ビジネスに専念するため、今年3月末をもって大学院を中途退学することを決めています。資本金等の許可要件はすべて満たしています。
④質問:3月末で大学院を中途退学する場合、出入国在留管理庁(入管)への届出は必要でしょうか?また、ビザの審査結果が出る前に退学することによるリスクや、実務上の留意点があれば教えてください。
行政書士からの回答)
アリス様、ご相談ありがとうございます。大学院での学びを糧に、日本での起業に踏み切られるとのこと、応援しております。変更申請中に学校を離れる場合、手続きの順序を間違えると在留資格に影響が出るため、慎重な対応が必要です。
結論から申し上げますと、大学院を退学した際は14日以内に入管への届出が義務付けられています。また、審査中に「学生」でなくなるため、審査の進捗状況を正確に把握しておくことが重要です。
1. 入管への「届出」の要否について
在留資格「留学」を持っている人は、その活動(通学)を終えたとき、法律に基づいた届出を行わなければなりません。
- 提出すべき届出: 「所属機関等に関する届出」として、正当な理由がない限り、14日以内に出入国在留管理庁長官に対し、当該事由を届け出なければならない」(入管法第19条の16第1号)に基づき、「活動機関に関する届出(離脱)」を提出してください。
- 期限: 退学した日から14日以内です。インターネット(入留国在留管理庁電子届出システム)でも提出可能です。
- 注意点: 変更申請中であっても、現在の有効な在留資格は「留学」ですので、この届出を怠ると「義務不履行」とみなされ、現在進行中の「経営・管理」の審査にマイナスの影響を与える可能性があります。
2. 審査期間中の「空白期間」のリスク
通常、変更申請中に学校を辞めても、申請が受理されていれば「特例期間」により日本に滞在し続けることは可能です。しかし、アリス様の場合は以下の点に留意してください。
- 審査状況の確認: 昨年10月に申請し、3月末時点でまだ結果が出ていない場合、審査が通常(標準処理期間1〜3ヶ月)よりも長引いています。入管から「追加資料」の通知が届いていないか、今一度確認してください。
- 学歴ポイントへの影響: もしポイント制などを利用して優遇措置を狙っている場合、中途退学により「修士号」が取得できないことが、計算上のポイントに影響しないか再確認が必要です(※今回は資本金基準を満たすとのことですので、通常の経営管理であれば大きな問題にはなりにくいです)。
3. アリス様への具体的なアドバイス
- 1.退学証明書の準備: 学校から発行される「退学証明書」を保管しておいてください。入管から審査の過程で「なぜ辞めたのか」「いつ辞めたのか」を確認される場合があります。
- 2.資格外活動(アルバイト)の中止: 大学院を退学した瞬間から、週28時間以内のアルバイト(資格外活動)は一切できなくなります。 経営・管理ビザの許可が下りて、新しい在留カードを受け取るまでは、役員報酬の受け取りや実務労働も控えるのが安全です。
- 3.審査官への補足説明: 可能であれば、退学届を出すタイミングで「ビジネスの準備が整い、4月から事業に専念するため退学した」という趣旨の補足説明書(上申書)を任意で提出しておくと、審査官の心象がスムーズになります。
4. 行政書士からのメッセージ
アリス様、昨年10月の申請から時間が経過しているため、3月末の退学と同時期に結果が出る可能性も高いです。万が一、不許可になった場合に「学生」の身分も失っていると、日本に留まる根拠がなくなってしまうというリスクは理解しておく必要があります。
しかし、要件をすべて満たしているのであれば、自信を持って事業に集中する準備を進めてください。退学の届出を忘れずに行い、クリーンな状態で新しいビジネスのスタートを切りましょう!
※ 本記事は2026年3月時点の情報に基づいて作成されています。最新の情報は出入国在留管理庁のウェブサイト等でご確認ください。
