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提出できない資料が山積みです。経営管理ビザの初回更新、どう乗り切ればいい?

作成者: FESO|Apr 20, 2026 9:18:43 AM

質問内容)

① 相談種別: ビザ(コンプライアンス・実務)

② 申請種別: 在留期間更新許可申請(「経営・管理」1年目)

③ 状況概要: オーストラリア国籍のスコットと申します。2024年にスタートアップビザで来日し、2025年5月末に「経営・管理」ビザへ変更しました。現在1年目の期限が迫っていますが、以下の通り、通常の更新で求められる資料が揃わず、非常に焦っています。

  • 個人の納税面: 2024年・2025年ともにオーストラリア側で給与を受け取り日本へ送金しましたが、日本での確定申告をしておらず、住民税の課税・納税実績がゼロです。
  • 法人の状況: 2025年1月設立。第1期は申告済みですが、第2期は決算の真っ最中です。
  • 設備面: 事務所の内装工事がようやく終わったばかりで、稼働実態を示す写真が乏しいです。
  • 雇用面: 常勤職員はゼロ。
  • 財務面: 売上は100万円弱ありますが、法人口座が作れず、すべて「現金計上」の状態です。

④ 相談内容: 提出すべき納税証明書や法人口座の通帳コピーがありません。これらをどう代替し、上申書でどのように説明すれば許可の可能性がありますか?

 

行政書士からの回答)

スコット様、ご相談ありがとうございます。スタートアップから「経営管理」への移行、そして日本での法人設立と、激動の1年間でしたね。

正直に申し上げますと、現在のスコット様の状況は、入管の審査において「事業の継続性」と「公的義務の履行」の両面で非常に厳しい評価を受けるリスクがあります。しかし、初回更新(1年目)においては、準備不足や遅れが生じることは入管も一定程度想定しています。

大切なのは、「出せない資料を隠す」のではなく、「なぜ出せないのか、いつまでに改善するのか」を論理的に上申書で説明し、代替資料で補完することです。

 

1. 「個人の納税実績不足」への対処法

最も深刻なのは、日本での確定申告(納税)が行われていない点です。日本に居住している以上、海外での給与であっても日本で申告義務が生じるケースが大半です。

  • 上申書での説明: 「日本での納税義務に関する認識不足」を素直に認め、謝罪した上で、「現在、税理士を通じて過去分の修正申告(または期限後申告)の手続きを進めている」ことを明記してください。
  • 代替資料:
    • オーストラリアでの確定申告書(Tax Return)の写しと翻訳。
    • 日本への送金記録(海外送金証明書)。
    • 税理士とのやり取りの記録(申告準備中であることを示すメール等)。
    • ※理想を言えば、申請前に期限後申告を済ませ、納税した領収書を添付することが最も強力なリカバリーになります。

 

2. 「法人口座がない・売上が現金計上」への対処法

日本の金融機関は外国籍の新規法人に対して非常に厳しく、口座開設に半年以上かかることもあります。これは入管も把握している「実務上の障壁」です。

  • 上申書での説明: 「複数の金融機関に申し込んだが、実績不足等を理由に断られた、あるいは現在審査中である」という具体的な経緯を記します。
  • 代替資料:
    • 銀行からの「お見送り(拒絶)」の通知メールや書面。
    • 現在審査中であれば、その受付票。
    • 総勘定元帳の写し: 通帳がない以上、現金出納帳や総勘定元帳が唯一の証明です。特に「売上100万円」の根拠となる領収書の控えや、顧客との契約書・請求書をセットで提出してください。

 

3. 「事務所の実態・写真」への対処法

内装が終わったばかりということは、まだ「生活感」や「稼働感」がない状態かと思います。

  • 上申書での説明: 「スタートアップ期間を経て、ようやく事業基盤となる事務所の整備が完了した」ことをポジティブに伝えます。
  • 代替資料:
    • 事務所の賃貸借契約書(事業用であることの再確認)。
    • 内装工事の請負契約書や領収書(投資の実績になります)。
    • 備品(PC、デスク、什器)の購入領収書。
    • 今後の事業展開を示すパンフレットやウェブサイトのプリントアウト。

 

4. 上申書(理由書)に盛り込むべき構成案

今回の更新を成功させるための「上申書」は、以下の4部構成で作成することをお勧めします。

  1. 1.事業進捗の報告: 第1期・第2期の活動内容と、なぜ売上が現時点では100万円に留まっているのか(準備期間の必要性)の解説。また、前回申請時に説明した事業計画との乖離について、その理由と当初計画とは具体的にどこが変わり、どのような対応を執っているのか、今期の見通しはどの様なものか、詳細な説明が重要です。
  1. 2.未提出資料の理由説明: 口座未開設、納税遅延についての正当な理由と、現在の進捗状況。
  2. 3.資金の透明性の証明: オーストラリアからの送金が、不法なものではなく、正規の報酬に基づく事業資金であることの立証。
  3. 4.今後の改善計画: 次回の更新(1年後)までに、「法人口座の開設」「適正な役員報酬の支払いと納税」「常勤職員の雇用検討」をいつまでに行うかという具体的なコミットメント(約束)

 

5. 行政書士からのメッセージ

スコット様、初回更新は「完璧であること」よりも「経営者としての誠実さと、事業の蓋然性(確からしさ)」が見られます。

現状、資料が揃わないからといって申請を先延ばしにすることはできません。まずは「今あるもので最善を尽くす」必要があります。特に税務面は、入管が最も嫌うポイントですので、申請前に一度税理士に相談し、「申告の意思がある」という形を作ることが許可への最大の近道です。

オーストラリアとの二重課税の問題など、専門的な視点が必要な場面も多いです。私たち行政書士は、こうした「不足資料があるケース」のロジック構築を最も得意としています。一人で悩まず、一緒に「説得力のある説明書」を作り上げましょう。

 

※ 本記事は2026年4月時点の情報に基づいて作成されています。最新の入管審査要領に基づき、個別の状況に合わせたカスタマイズが必要です。