blog

2社を経営していますが、新基準の「資本金3,000万円」はそれぞれ必要?

作成者: FESO|May 28, 2026 4:41:53 AM

質問内容)

在留資格: 経営・管理

② 申請種別: 在留期間更新許可申請

③ 状況概要:ニュージーランド国籍のヘザーと申します。現在、日本で2つの会社を経営し、いずれも代表社員を務めています。

  1. 1. 不動産管理会社: 売上の約80%を占めるメイン事業
  2. 2.不動産売買+旅行業: サブ事業

どちらも現時点での資本金は3,000万円未満です。私の「経営・管理」ビザは、もともと1の事業実績に基づいて許可されています。

④ 質問内容: 2025年10月の制度改正により、資本金要件が3,000万円に引き上げられたと認識しています。次回の更新にあたり、以下のどの対応が必要でしょうか?

  1. 1. いずれか1社で3,000万円を満たせば良いのか?

  2. 2.2社とも3,000万円にする必要があるのか?

  3. 3.いっそのこと1社に統合(合併)して要件を満たすべきか?

  4.  

行政書士からの回答)

ヘザー様、ご相談ありがとうございます。不動産管理に加え、旅行業など多角的に事業を展開されており、素晴らしい経営手腕ですね。2025年10月の法改正による「経営・管理」ビザの要件変更は、ヘザー様のような複数社を経営する方にとって非常に重要なポイントです。

結論から申し上げますと、更新にあたっては「ビザの根拠となっている主たる会社」において要件を満たしていれば足りるのが原則ですが、実務上は「事業の統合」を検討するのが最もリスクが低く、かつ合理的です。

詳細を解説します。

 

1.  改正後の「3,000万円要件」の正しい捉え方 

まず、ヘザー様が懸念されている「資本金3,000万円」について、正しく整理しましょう。

  • 要件の厳格化: 2025年10月の改正では、資本金500万円以上の基準が、投資促進の観点から「3,000万円」へと引き上げられました。

  • 複数社経営の場合: 経営・管理ビザは、一人の人間に対して一つの在留資格が与えられるものです。そのため、「メインで活動している会社」において、3,000万円以上の投資(資本金)または1名以上の常勤職員の雇用という規模要件を満たしていれば、法的には更新可能です。2社目(サブ事業)まで同様の規模を求めるものではありません。 

2.「1社で充足」か「2社とも」か「統合」か

ヘザー様のご質問に対する具体的なアドバイスは以下の通りです。

A. いずれか1社で3,000万円を満たす場合

メインである「不動産管理会社」の資本金を3,000万円に増資すれば、理屈の上では更新可能です。

  • リスク: 入管から「もう1社の活動は何なのか?」「そちらの業務に時間を割きすぎて、メイン事業の経営がおろそかになっていないか?」と、活動実態の整合性を問われる可能性があります。

B. 2社とも3,000万円にする必要性

その必要はありません。経営・管理ビザの維持のために、実態以上の過剰な投資を各社に行うのは経営上非効率です。

C. 【推奨】1社に統合(合併)して要件を満たす

実務上、私たちが最もお勧めするのはこの選択肢です。

  • メリット1(審査の明快さ): 1社にまとめることで、売上、経費、資本金のすべてがその会社に集約されます。入管の審査官にとっても「この会社で3,000万円の規模があり、安定して収益が出ている」ことが一目で分かり、審査が非常にスムーズになります。
  • メリット2(コスト削減): 決算公告や税務申告、法人の維持費用(均等割など)が1社分で済み、経営効率が上がります。
  • メリット3(事業の関連性): 「不動産管理」と「不動産売買・旅行業」は、シナジー(相乗効果)がある事業です。1つの法人の中で複数の事業目的を持って活動することに、ビザ上の問題はありません。

3. ヘザー様への実務的なアドバイス

  1. 1.増資のタイミング: 更新期限の直前に増資を行うと「ビザのための見せ金」と疑われることがあります。決算期や更新の数ヶ月前には手続きを完了させておきましょう。
  2. 2.事業報告書の作成: 2社を経営し続ける場合も、統合する場合も、「どのように役割分担をし、ヘザー様がどのように経営に関与しているか」を詳細に記した事業報告書が、更新許可の鍵を握ります。
  3. 3.合同会社の特例: 合同会社の場合、増資(出資)の手続きが株式会社よりも比較的柔軟ですが、登記の書き換えは必要です。 

4. 行政書士からのメッセージ

ヘザー様、今回の制度改正は「より本格的なビジネスを行う経営者を優遇する」というメッセージでもあります。

現在の売上の80%が不動産管理から来ているのであれば、「不動産管理会社」を存続会社として「売買・旅行業」を吸収合併、または事業譲渡という形で統合し、そのタイミングで資本金を3,000万円まで引き上げるのが、次回の更新で「3年」や「5年」の長期ビザを狙うための最短ルートです。

2つの財布(法人)を管理する手間を減らし、日本でのビジネスをより強固なものにするチャンスと捉えてみてはいかがでしょうか。具体的な合併スキームや入管への説明ロジックについては、ぜひ一度専門家と一緒に練り上げることをお勧めします。

※ 本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成されています。2025年10月施行の新基準に関する運用は、地域や入管の個別判断により異なる場合があります。必ず最新の審査指針をご確認ください。