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新要件のために雇った常勤職員が、審査中に突然退職。入管にすぐ報告すべき?

作成者: FESO|Jun 23, 2026 6:52:09 AM

質問内容)

  1. ① 在留資格: 経営・管理

    ② 申請種別: 在留期間更新許可申請

    ③ 状況概要: 中国籍のグーと申します。日本語能力試験N1を保有しています。現在、日本で会社を経営しており、資本金は2,150万円、形態は自宅兼事務所という形で活動しています。
    2025年10月の法改正に伴う新基準(資本金3,000万円または常勤職員2名以上の維持など)を今後満たしていくためのロードマップを事業計画書に細かく記載し、2026年5月18日に入管へ更新申請を提出しました。現在は審査結果を待っている状態です。
    新基準へのステップアップの第一歩として、申請直前の5月1日付で日本人従業員を1名採用し、申請書にも「常勤職員1名あり」として記載・提出しました。しかし、申請から間もなく、私とこの日本人従業員との間で業務上のトラブルが発生し、その従業員が急遽、退職することになってしまいました。現在、社内にこの従業員以外の常勤職員はおりません。

    ④ 質問内容: このように、経営・管理ビザの更新審査を行っている最中に、申請書に記載した唯一の常勤職員が退職してしまった場合、実務上、入管へすぐに報告をすべきなのでしょうか?また、この状況が審査にどのような影響を与えるかと、今取るべき対策を教えてください。

     

行政書士からの回答)

グー様、ご相談ありがとうございます。新基準の適用に向けて事業計画を練り上げ、従業員の採用など着実に準備を進められていた中での突然のトラブル、本当に頭を悩まされていることとお察しします。

結論から申し上げますと、審査中に常勤職員が退職した事実は、原則として速やかに入管へ報告(修正・補足資料の提出)をしなければなりません。報告をせず、入管側の職権調査や突発的な追加資料提出要請(理由説明)によって発覚した場合、「虚偽の申請を行った」とみなされ、不許可になるリスクが極めて高くなります。

現在の法改正後の運用実態に基づき、入管への報告の必要性と、グー様が今すぐに行うべきリカバリー対策について事実ベースで詳しく解説します。

 

1. なぜ入管へ報告しなければならないのか(質問①への回答)

入管の在留審査は、「許可が出されるその瞬間の事実」を基準に行われます。

  • 申請内容の変更義務: 5月18日の申請時点では「常勤職員1名在籍」という事実があり、それに基づいて書類を出したため、その時点での申請書自体に不備はありません。しかし、審査の途中でその前提条件が失われた(職員がゼロになった)以上、現在の審査状況と提出済みの書類に「ズレ」が生じています。
  • 入管法上の届出義務: 法的な義務としても、会社は「中長期在留者の受入れに関する届出(契約終了)」を退職から14日以内に出す必要があります。審査官はこのシステム上のデータをいつでも閲覧できるため、会社が報告を隠していても、退職の事実は高確率で入管側に把握されます。

自己申告をせずに放置し、入管から「現在の社会保険の加入状況(名簿)を出してください」と追加資料要請が来てから「実は辞めました」と言い訳をするのは、審査官への心象を著しく悪化させます。そのため、「自主的な報告とセットで、次の対策を提示する」のが実務上の鉄則です。

 

2. 今回の事態が更新審査に与える影響

グー様のケースにおいて、今回の退職がビザ更新にどう影響するかを整理します。

  • 一発で不許可になるわけではない: 2025年10月の改正法運用において、既存の経営者に対しては「いきなり新基準を完璧に満たしていなければ即不許可」とするのではなく、今後の事業計画の合理性や実現可能性を重視して猶予を持たせる措置(1年ビザ等での経過観察)が取られています。
  • 事業計画書の「信頼性」の低下: 一番の痛手は、せっかく提出した「これから人を雇って規模を拡大していく」という事業計画の足元が、審査中に崩れてしまった点です。入管から「この会社の雇用・管理体制は本当に大丈夫か?」「計画の実現性に疑問がある」と慎重に審査される要因になります。

3. グー様が今すぐ取るべき「3つのリカバリー対策」

ただ「辞めました」と報告するだけでは、審査官にマイナスの印象しか与えかねません。報告の書面(上申書)を出すと同時に、以下のいずれかの対策を進行している証拠を提示する必要があります。

対策A:速やかに「次の常勤職員」を募集・採用する(最推奨)

ハローワークや求人サイト、紹介業者などを通じて、すぐに次の従業員の募集を開始してください。

  • 入管への提出書類: 求人広告を出している画面の写し、採用面接のスケジュール、あるいは既に次の内定者が決まっている場合はその「雇用契約書(内定通知書)」の写し。
  • 説明ロジック: 「前任者は不慮のトラブルで退職したが、事業計画通り常勤職員を配置するため、現在直ちに次の採用活動を行っており、経営体制に穴をあけない意志がある」ということを客観的データで示します。

対策B:資本金「3,000万円」への増資を前倒しで検討する

もし手元資金や本国からの送金に余裕があるならば、従業員の雇用に頼るのではなく、もう一つの新基準である「資本金3,000万円への増資」の手続きを今すぐ開始することも有力な選択肢です。

  • 説明ロジック: 常勤職員の維持が一時的に困難になったため、経営基盤をより強固にするために資本金を3,000万円に増資する手続きに入った(または完了した)という登記簿謄本や議事録を提出します。

対策C:自宅兼事務所から「独立した事務所」への移転を計画する

事業計画書に「新要件を満たしていく」と書かれている通り、自宅兼事務所のままでは常勤職員を複数名安定して雇うスペースがないと入管から突っ込まれる可能性があります。次の物件(テナント契約)を探している状況を合わせて報告するのも、ビジネスの本気度を示す材料になります。

 

4. 提出する「事情説明書(上申書)」の構成要素

入管へ報告する書面には、以下の事実を誇張なく淡々と記載します。

  1. 1.退職の事実の報告: 5月1日付で雇用した職員が、自己都合(または双方の合意)により〇月〇日をもって退職したこと。
  2. 2.原因の簡潔な説明: 業務上のミスマッチ・トラブルによるものであり、会社側としては雇用維持に努めたがやむを得ない結果となったこと。
  3. 3.今後の計画(一番重要): 計画書に記載した新基準達成への目標は変わっておらず、現在〇〇という方法で次の常勤職員の補填(または増資手続き)を進めていること。
  4.  

5. 行政書士からのメッセージ

グー様、経営を行う上で従業員とのトラブルや急な退職は、日本人経営者であっても避けて通れない現実の課題です。入管も、ビジネスの現場でそのような流動性があることは理解しています。

大切なのは、「想定外のトラブルが起きたときに、経営者としていかに迅速に、かつ正直に入管に報告し、次の手を打てるか」という、グー様自身の経営管理能力です。N1を保有されているほどの高い言語能力をお持ちですから、事業の意図を正確に書面に落とし込む力はあるはずです。

今回の退職によって、次回のビザ期間が「3年」ではなく「1年」にとどまる可能性は高くなりますが、適正に処理を行えば、在留資格そのものが「不許可」になる事態は防げます。

まずは今の雇用契約終了の事務手続き(離職票の発行や入管への離脱届)を正確に行い、それと並行して「次の採用・増資のアクション」を今日からスタートさせてください。応援しております。

 

※ 本記事は2026年6月時点の新基準運用実態に基づいて作成されています。審査中の状況変化に対する入管の裁量判断は個々の事業規模や財務状況により細かく異なるため、具体的な書類提出の前には専門家へのご相談をお勧めします。