① 在留資格: 経営・管理
② 申請種別: 在留期間更新許可申請
③ 状況概要: 中国籍のグーと申します。日本語能力試験N1を保有しています。現在、日本で会社を経営しており、資本金は2,150万円、形態は自宅兼事務所という形で活動しています。
2025年10月の法改正に伴う新基準(資本金3,000万円または常勤職員2名以上の維持など)を今後満たしていくためのロードマップを事業計画書に細かく記載し、2026年5月18日に入管へ更新申請を提出しました。現在は審査結果を待っている状態です。
新基準へのステップアップの第一歩として、申請直前の5月1日付で日本人従業員を1名採用し、申請書にも「常勤職員1名あり」として記載・提出しました。しかし、申請から間もなく、私とこの日本人従業員との間で業務上のトラブルが発生し、その従業員が急遽、退職することになってしまいました。現在、社内にこの従業員以外の常勤職員はおりません。
④ 質問内容: このように、経営・管理ビザの更新審査を行っている最中に、申請書に記載した唯一の常勤職員が退職してしまった場合、実務上、入管へすぐに報告をすべきなのでしょうか?また、この状況が審査にどのような影響を与えるかと、今取るべき対策を教えてください。
グー様、ご相談ありがとうございます。新基準の適用に向けて事業計画を練り上げ、従業員の採用など着実に準備を進められていた中での突然のトラブル、本当に頭を悩まされていることとお察しします。
結論から申し上げますと、審査中に常勤職員が退職した事実は、原則として速やかに入管へ報告(修正・補足資料の提出)をしなければなりません。報告をせず、入管側の職権調査や突発的な追加資料提出要請(理由説明)によって発覚した場合、「虚偽の申請を行った」とみなされ、不許可になるリスクが極めて高くなります。
現在の法改正後の運用実態に基づき、入管への報告の必要性と、グー様が今すぐに行うべきリカバリー対策について事実ベースで詳しく解説します。
入管の在留審査は、「許可が出されるその瞬間の事実」を基準に行われます。
自己申告をせずに放置し、入管から「現在の社会保険の加入状況(名簿)を出してください」と追加資料要請が来てから「実は辞めました」と言い訳をするのは、審査官への心象を著しく悪化させます。そのため、「自主的な報告とセットで、次の対策を提示する」のが実務上の鉄則です。
グー様のケースにおいて、今回の退職がビザ更新にどう影響するかを整理します。
ただ「辞めました」と報告するだけでは、審査官にマイナスの印象しか与えかねません。報告の書面(上申書)を出すと同時に、以下のいずれかの対策を進行している証拠を提示する必要があります。
ハローワークや求人サイト、紹介業者などを通じて、すぐに次の従業員の募集を開始してください。
もし手元資金や本国からの送金に余裕があるならば、従業員の雇用に頼るのではなく、もう一つの新基準である「資本金3,000万円への増資」の手続きを今すぐ開始することも有力な選択肢です。
事業計画書に「新要件を満たしていく」と書かれている通り、自宅兼事務所のままでは常勤職員を複数名安定して雇うスペースがないと入管から突っ込まれる可能性があります。次の物件(テナント契約)を探している状況を合わせて報告するのも、ビジネスの本気度を示す材料になります。
入管へ報告する書面には、以下の事実を誇張なく淡々と記載します。
グー様、経営を行う上で従業員とのトラブルや急な退職は、日本人経営者であっても避けて通れない現実の課題です。入管も、ビジネスの現場でそのような流動性があることは理解しています。
大切なのは、「想定外のトラブルが起きたときに、経営者としていかに迅速に、かつ正直に入管に報告し、次の手を打てるか」という、グー様自身の経営管理能力です。N1を保有されているほどの高い言語能力をお持ちですから、事業の意図を正確に書面に落とし込む力はあるはずです。
今回の退職によって、次回のビザ期間が「3年」ではなく「1年」にとどまる可能性は高くなりますが、適正に処理を行えば、在留資格そのものが「不許可」になる事態は防げます。
まずは今の雇用契約終了の事務手続き(離職票の発行や入管への離脱届)を正確に行い、それと並行して「次の採用・増資のアクション」を今日からスタートさせてください。応援しております。
※ 本記事は2026年6月時点の新基準運用実態に基づいて作成されています。審査中の状況変化に対する入管の裁量判断は個々の事業規模や財務状況により細かく異なるため、具体的な書類提出の前には専門家へのご相談をお勧めします。