
質問内容)
①相談種別:帰化
②申請種別:普通帰化
③状況概要: ナイジェリア国籍のアイザックです。(60歳、男性)日本人配偶者と日本国籍の妻子がおり、現在永住ビザを保有しています。 法務局の事前相談が2025年11月のため、それまでに本国書類を準備できないかと考えています。 私の両親と妹は既に死亡しており、兄は存命ですが音信不通です。私は14年前に母の葬儀でナイジェリアに帰国したのみで、現在は兄との交流もありません。
④質問: このような複雑なケースでは、ナイジェリア本国から取得すべき書類はどのようなものになるでしょうか?また、両親が死亡し兄と音信不通の場合、どのように対応すればよいでしょうか?
行政書士からの回答)
アイザックさんの帰化申請、承知いたしました。特に本国書類の準備は、ご本人とご家族の状況を正確に把握する必要があり、慎重な対応が求められますので、詳しく解説させていただきます。
1. 帰化申請におけるナイジェリアの本国書類
帰化申請では、申請者の身分関係を証明するため、出生から現在に至るまでの家族関係を網羅的に示す書類が不可欠です。ナイジェリア国籍の方の場合、一般的に以下の書類が求められます。
- 出生証明書 (Birth Certificate):
- 申請者本人の出生を証明する最も重要な書類です。(ナイジェリア籍の方はご本人が持っていることが多くあります)
- 婚姻証明書 (Marriage Certificate):
- 申請者が既婚者の場合、婚姻の事実を証明する書類です。日本人配偶者とご結婚されているとのことですので、ナイジェリア本国での婚姻を証明する書類が必要です。(ナイジェリア籍の方はご本人が持っていることが多くあります)
- 両親の婚姻証明書 (Parents' Marriage Certificate):
- 申請者の出生が、両親の婚姻関係内であることを証明する書類です。
- 死亡証明書 (Death Certificate):
- 死亡した両親および妹の死亡を証明する書類です。(2025年8月現在は不要となりました)
- 家族関係宣誓供述書 (Affidavit of Family Relations):
- 宣誓書の一種で、家族関係証明書等が入手できない場合に、代わりに本国の法律に基づき、本国の公証役場等で作成してもらう書類です。そもそもナイジェリア国では、このような書類が発行されない場合は兄弟姉妹全員の出生証明書が提出できれば不要となります。
2. 両親の死亡・兄と音信不通の場合の対応
ご相談のケースでは、両親が既に死亡しており、兄とも音信不通とのことですので、通常の手続きで書類を全て揃えることは困難が予想されます。このような場合、以下の対応が考えられます。
(1) 書類が取得できない理由の説明
法務局は、書類が取得できないこと自体を問題視するのではなく、なぜ取得できないのか、そして取得するためにどのような努力をしたのかを重視します。したがって、以下の点を詳細に記載した理由書(または上申書)を作成することが不可欠です。
- 取得が困難な理由: 両親が死亡しており、兄と音信不通であるため、身分証明書の取得が困難であること。
- 取得するための努力: 過去に帰国した際や、現地の知人、親族などを通じて書類取得を試みたが、叶わなかった事実。
- 代わりとなる書類の提示: 提出が難しい書類の代わりに、本人のパスポートやその他の公的書類、写真、家族関係を説明する詳細な記述など、代替となり得る資料を準備します。
(2) 家族関係宣誓供述書の活用
ナイジェリアでは、身分関係を証明する書類の取得が難しい場合、家族関係宣誓供述書 (Affidavit of Family Relations) を作成することが一般的です。これは、本国の公証役場などで本人が直接家族関係を宣誓し、公証人によってその事実を証明してもらうものです。
この宣誓供述書には、申請者の両親、兄弟姉妹、配偶者、子供など、すべての家族関係を網羅的に記載し、出生年月日や死亡日なども可能な限り詳細に記述します。これは、提出が困難な本国書類の代わりとして、法務局が事実確認を行う上で非常に重要な書類となります。
(注意)この点、管轄法務局の担当事務官に直接相談のうえ、確認してください。宣誓供述書は国が発効する証明書としての効力を有するものではありませんので、その効力判断は申請人の状況(その他の母国書類の収集完成度など)や、地方法務局毎の前例などにって、判断には、ばらつきが生じます。
(3) 日本での証明書類の充実
本国書類の取得が難しい場合、日本での生活を通じて得られた証明書類を充実させることで、身分関係の信頼性を補強します。
- 日本人配偶者の戸籍謄本: 婚姻の事実が記載されているもの。
- 日本国籍の子供の戸籍謄本: 親子関係を証明するもの。
- 住民票: 申請者と日本人配偶者、子供の同居の事実を証明するもの。
これらの書類を提出することで、日本での家族関係は明確に証明できます。
3. 今後の対応とアドバイス
ヒアリングを行うにあたり、以下の点を確認されることをお勧めします。
- 1.本国での戸籍制度の詳細: ナイジェリアの戸籍制度や身分登録制度がどのようになっているかを確認してください。
- 2.書類の有無: ご本人が過去に所有していた書類(パスポートの旧版、写真など)がないか確認してください。
- 3.本国での手続き: ナイジェリアの公証役場で宣誓供述書を作成できるか、その手続きの流れや費用、必要書類などを確認してください。
- 4.関係性の補足: 兄と音信不通であることの経緯を具体的に確認し、その事実を理由書で説明できるよう準備してください。
ナイジェリア国籍の方の帰化申請は、本国書類の準備に時間がかかるケースが多いため、事前相談前にこれらの準備を進めておくことは非常に有効です。
ご不安な場合は、私たち行政書士のような帰化申請の専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。アイザックさんとご家族が日本国籍を取得できるよう、全力でサポートさせていただきます。
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