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パスポートの期限切れ・更新遅延で間に合わない!受理の可能性と対処法

作成者: FESO|Oct 10, 2025 2:52:50 AM
 

 質問内容)

①相談種別:帰化

②申請種別:普通帰化(パスポートなしでの申請)

③状況概要: 私は、今年の11月2週目に帰化申請を予定しているミャンマー国籍のアウンです。 ここにきて問題が発生し、2023年5月に期限切れしていたパスポートの更新申請(2025年2月に申請)が、11月の申請時に間に合いそうにありません。 ミャンマー大使館に問い合わせたところ、

  1. 1.期限経過後の発行申請につき、その理由書が足りない
  2. 2.パスポート申請中に在留カード(技人国)の更新があったが、その更新後の在留カードが提出されていない
  3. という理由で手続きが停滞しているとのことです。 なお、前のパスポートは大使館に提出中のため、手元にはありません。

④質問内容: いずれにせよ、これから大使館の要請に対応するため、11月の帰化申請時にパスポートの発行が間に合う可能性はほぼゼロと思われます。 パスポートが申請書類から欠落した状態で、事態経緯の説明書(上申書)とNRCカード(国民登録カード)をもって、パスポートは発行された時点で速やかに追加提出するという対応で、帰化申請が受理される可能性はどれくらいと考えられますでしょうか?

 

行政書士からの回答)

ご相談ありがとうございます。帰化申請直前にパスポートの取得が間に合わないという問題、非常に焦る状況だとお察しいたします。特にミャンマー国籍の方の場合、本国書類やパスポートの取得に時間を要するケースが多く、この種のトラブルは少なくありません。

結論から申し上げますと、パスポートが未提出のままでも、法務局に申請を「受理」してもらえる可能性はありますが、その確率は申請者の状況説明の「説得力」と「誠実性」に大きく左右されます。

 

1. 帰化申請におけるパスポートの役割と原則

パスポートは、「申請者の身元・国籍を証明する最も重要な公的書類」です。帰化申請では、申請時の身元確認や、過去の出入国履歴の確認のために、原則として有効なパスポートまたは失効したパスポート原本の提出が求められます。

パスポートが未提出の場合、法務局は「要件を満たしていない」として、申請の受理自体を拒否する(差し戻す)ことも可能です。

 

2. 「受理の可能性」を上げるための戦略

パスポートが欠落した状態で受理の可能性を高めるためには、以下の3点を徹底して、申請者の落ち度ではないこと、そして誠実に手続きを進める意思があることを証明する必要があります。

(1) 事態経緯説明書(上申書)の充実(最重要)

単に「間に合わない」というだけでなく、以下の事実を網羅的に記載した詳細な経緯説明書を作成し、申請者の誠実性をアピールします。

  • 遅延の経緯:
    • なぜ2023年5月の期限切れ後、2025年2月まで更新申請が遅れたのか、その理由。(この点も正直かつ丁寧に説明が必要です。)
    • 2025年2月に申請して以降、大使館にいつ、どのように問い合わせたのか、そのやり取りの記録。
  • 停滞の原因:
    • 大使館から初めて指示があった内容(理由書不足、更新後在留カードの未提出)を具体的に記載し、「本人の落ち度によるものではなく、大使館側の指示の遅延による停滞」という側面を強調します。
  • 今後の対応:
    • 大使館の指示には速やかに対応し、発行され次第、直ちに法務局へ提出する旨を誓約します。

(2) 補完資料の提出

パスポートに代わる「身元・国籍・在留資格」の証明書類を最大限に提出します。

  • パスポートのコピー: 期限切れの古いパスポートが手元にあれば、その全ページのコピー。
  • 在留カード: 現在有効な「技術・人文知識・国際業務」の在留カードの表裏コピー。
  • NRCカード: 国民登録カード(NRCカード)のコピーとその日本語訳。これは国籍を証明する上で重要です。
  • 大使館からの証明書: 大使館から発行された、「現在、パスポートの更新申請中であること」を証明する書類(受付票など)があれば、必ず提出します。

(3) 申請のタイミングと窓口での説明

11月の申請時、法務局の担当官に対して、事前に電話でアポイントを取り、事情を説明した上で申請に臨むべきです。窓口で初めて未提出を告げるのではなく、専門家(行政書士)が同席の上で、上記の理由書を提示し、誠実に事情を説明することが、受理の可能性を高めます。

 

3. 法務局の判断のポイント

法務局が受理するかどうかを判断するポイントは、「パスポートがないことで、帰化の要件審査に大きな支障をきたすか」どうかです。

  • 審査への影響(大): パスポートがないと、過去の出国・再入国の履歴が確認できず、「継続居住要件」の審査に支障が出る可能性があります。
  • 回避策: 過去の出入国履歴は、「出入国記録」を別途入管に請求することで確認できます。法務局から求められる前に、ご依頼者様自身でこの「出入国記録」を入管に請求し、申請書類に含めて提出することが、パスポート欠落をカバーする上で最も有効な手段となります。

 

まとめとアドバイス

アウンさんの帰化申請は、パスポート未提出という大きなハンディキャップがありますが、受理される可能性はあります。

  • 最優先事項: 出入国記録の開示請求を行い、パスポートがなくても過去の出入国履歴を証明できる書類を確保してください。
  • 書類の作成: 「経緯説明書(上申書)」「追加提出の誓約書」を詳細かつ誠実に作成し、大使館とのやり取りの記録を添付します。
  • 窓口対応: 法務局の担当官に事前に連絡を取り、誠意をもって説明することで、スムーズな受理を目指しましょう。

ご不安な点があれば、この特殊なケースに慣れた私たち行政書士のような専門家にご相談ください。申請受理に向けて、万全のサポートをさせていただきます。