質問内容)
① 相談種別:帰化申請
② 申請種別:帰化許可申請
③ 状況概要:日系3世ブラジル人のカルロスです。離婚歴ありで元妻は日本人。現在、アメリカ人女性と再婚しています。現在の在留資格は「定住者」で、在留期間は3年です。帰化を希望しています。
④質問:
1.初婚の日本人との間に子供がいるが、離婚後、元妻から連絡を控えるよう言われ、会っていない。この場合、養育費等を支払っていない事実は、帰化申請の「素行要件」において不利な判断(素行が悪い)につながりますか。
2.6年前に定住者ビザの更新手続きにミスがあり、オーバーステイ(不法残留)をしたことになっている。その後、ビザは更新できたが、この過去の事実を考慮し、もう少し待ってから申請した方が良いでしょうか。上記の養育費未払いの問題と、過去のオーバーステイの事実を合わせると、日系人ではあるものの、総合的に「素行が良くない」と判断されてしまう懸念がある。何か対処法はあるでしょうか。
行政書士からの回答とアドバイス
ご相談ありがとうございます。帰化申請において「素行要件」は非常に重要であり、過去の履歴は慎重に検討する必要があります。
日系人の方の申請は、通常の外国人の方より要件が緩和される場合がありますが、素行要件については例外ではありません。以下、ご質問にお答えし、今後の対策についてアドバイスいたします。
1. 養育費の未払いについて(素行要件:家族の扶養)
【回答】
結論から申し上げますと、養育費の未払いは「素行が悪い」と判断される大きなリスクとなり得ます。
帰化申請では、「家族を扶養する義務を誠実に履行しているか」が厳しくチェックされます。相手方からの連絡拒否があったという事情は理解できますが、親としての子どもの扶養義務は、たとえ連絡が取れなくても継続しています。
養育費の支払い義務を履行していない場合、法務局の審査官は「日本国民となるにふさわしい責任感に欠ける」と判断する可能性が高いです。
【対処法】
- 直ちに支払い意思を示すこと: まずは相手の方と連絡を取り、現在の未払い分や今後の支払いについて話し合いの場を設ける努力をしてください。
- 滞っている養育費を全て支払こと:当初の約束通りの支払い進捗に乗せる必要があります。残念ながら金銭の問題は意思表示や約束だけでは、評価に値しないと考えていた方が、世間一般の常識的な感覚と言えますし、法務局でも同様でしょう。犯罪を犯した場合も相手方つまり被害者感情も拒否判断には大きく影響を与えていると考えられますし、まして相手側が日本人と日本人の子供となれば、法務局は、帰化を許可する理由を探すことはできないでしょう。法務大臣の裁量とはこの点にも表れているといえます。
- 書面での証拠: 相手方が話し合いに応じない場合でも、内容証明郵便などを用いて「養育費の支払い意思がある」という証拠を形に残しておくことが重要です。
- 申請時の説明: 申請時には、「相手方から連絡を断たれはしたが、今後は責任を果たす」という意思を詳細に、かつ誠実に書面で説明する必要があります。
2. 過去のオーバーステイ(不法残留)について(素行要件:法令遵守)
【回答】
6年前に発生した「更新手続きミスによるオーバーステイ(不法残留)」は、帰化申請において極めて大きなマイナス要素です。
不法残留は、日本の法律を遵守しなかったという重大な違反であり、「素行が善良であること」という要件を直接的に満たさないと判断されます。
【申請時期に関するアドバイス】
過去に不法残留の事実がある場合、「十分な時間が経過し、その後は一度も法令違反がないこと」を示す必要があります。明確なガイドラインはありませんが、実務上は、不法残留解消後から一定期間(一般的に7年~10年程度)の経過が目安となることが多いです。
- 現在から6年経過というのは、まだ「十分な時間が経過した」と判断するには短い可能性があります。
- 安全性を高めるためにも、さらに2~4年程度、日本での生活で納税義務や交通法規などを完璧に遵守した実績を積んでから申請することを検討すべきです。
3. 総合的な「素行要件」の判断と対処法
【回答】
ご懸念の通り、「養育費の未払い」と「過去のオーバーステイ」の2つが重なっているため、現時点での帰化申請は不許可となるリスクが非常に高いと判断せざるを得ません。日系人であることは、これらの重大なマイナス要因を覆すほどの有利な要素にはなりにくいです。
【総合的な対処法】
1.養育費の問題を最優先で解決する:-
- まずは未払い分の支払い計画を立て、可能であれば一部または全額を精算し、定期的な支払いを再開することが、素行要件回復の最重要ポイントです。
- 2.申請時期を遅らせる:
- オーバーステイの事実から、少なくともさらに数年間、法律を遵守し、安定した職業と経済基盤を維持した「クリーンな期間」を積み重ねることが必須です。
- 3.専門家との綿密な準備:
- これらの事情がある場合、単独での申請は極めて困難です。申請に際して、すべてのマイナス要素に対する「反省と更生の意思」を示す詳細な上申書を作成し、入念な準備を行う必要があります。専門家(行政書士)に依頼し、申請のタイミングや書類作成をサポートしてもらうことを強くお勧めします。
※ 本記事は記事公開時点の情報に基づいて作成されています。最新の情報は必ず法務省の公式ウェブサイト等でご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースに対する法的なアドバイスではありません。具体的な手続きや判断については、必ず専門家にご相談ください。

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