①相談種別:在留資格
②申請種別:留学ビザの更新/変更
③状況概要: はじめまして、行政書士の先生。私は中国籍のウェイリン(23歳)です。2年前に日本に来て、専門学校でIT技術を学んできました。今年の3月に卒業したのですが、残念ながら就職活動がうまくいかず、まだ内定をもらえていません。ビザの期限がもうすぐ切れてしまうので、このまま日本に滞在し、もう一度別の専門学校に入学して、今度はウェブデザインの勉強をしたいと考えています。
④質問: 日本の専門学校を卒業後、就職が決まらなかった場合でも、もう一度別の専門学校に入学して留学ビザを延長することは可能でしょうか?その際、どのような点に注意すれば良いですか?
回答
ウェイリンさん、日本の専門学校ご卒業おめでとうございます。しかし、就職活動が難航されているとのこと、ご不安なことと存じます。卒業後に別の専門学校への再入学を検討し、留学ビザの延長を希望されるケースについて、詳しくご説明させていただきます。
1. 専門学校卒業後の再留学ビザ取得の可能性
結論から申し上げると、日本の専門学校を卒業後、就職が決まらなかった場合でも、もう一度別の専門学校に入学して留学ビザを延長することは、状況によっては可能です。
ただし、一度日本の学校を卒業しているため、入管は「本当に学習意欲があるのか」「留学ビザを他の目的で利用しようとしていないか」といった点を、より慎重に審査します。単に日本に滞在し続けるための手段とみなされてしまうと、許可は難しくなります。
特に重視されるポイント
- 留学の必要性と合理性:
- なぜ再度、別の専門学校で学ぶ必要があるのか、その理由を明確に説明できるかどうかが重要です。
- 今回のウェブデザインの勉強が、前回のIT技術の学習とどのように関連し、あるいは補完し合うのか、今後のキャリアプランにどう繋がるのかを具体的に説明する必要があります。
- 安易な目的変更や、学習内容の関連性が低いと判断されると、留学の必要性が疑われる可能性があります。
- 経済的な安定性:
- 学費や生活費を安定して賄えるだけの十分な資金があることを証明する必要があります。
- 過去のアルバイト収入や送金状況も審査の対象になりますが、それだけで今後の学費・生活費を賄えることを客観的に示すのは難しい場合があります。預貯金残高証明書や、親族からの送金証明書など、確実な資金源を証明することが重要です。
- これまでの留学実績と素行:
- 以前の専門学校での成績、出席率、アルバイトの状況(資格外活動許可の範囲内であったか)など、これまでの留学生活に問題がなかったかどうかが確認されます。
- 特に、出席率が低い、成績が振るわない、アルバイトで時間制限を超過したなどの問題があった場合、今回の再留学ビザの取得は非常に困難になります。
2. 再留学ビザ申請で注意すべき点
再度の留学ビザ申請を行う際に、特に注意すべき点は以下の通りです。
- 新しい専門学校の選定:
- 留学の目的を達成できる、教育内容が充実した専門学校を選びましょう。
- 入管が「留学生の在籍管理が適切である」と評価している学校(例えば、過去の不法滞在者が出にくい学校など)を選ぶことも、審査に有利に働く可能性があります。
- 学校との間で、入学許可書や授業料の納付証明書などをしっかりと準備してもらいましょう。
- 「留学の必要性」を明確にする理由書の作成:
- なぜ今回の学習が必要なのか、前回の専門学校では何を学び、今回何を学ぶのか、そしてそれが将来のキャリアにどう繋がるのかを、具体的に、かつ説得力のある文章で記述します。
- 単に就職活動がうまくいかなかったからという理由だけでなく、明確な学習目標とキャリアプランを示すことが重要です。
- 経済的証明書類の充実:
- 学費と生活費を賄えるだけの十分な預貯金があることを証明する預金残高証明書(本人名義または親族名義)を提出します。
- 親族からの資金援助がある場合は、その証明(送金履歴、援助者の収入証明書など)を明確に示します。
- 過去のアルバイト収入で生活費を賄っていた場合でも、あくまで学業が本分であり、アルバイトは補足的なものであることを説明する必要があります。
- 素行の善良性を証明:
- 以前の専門学校での成績証明書、出席状況を示す書類(出席率が悪い場合は、その理由を説明する上申書など)を提出します。
- 日本での生活において、交通違反やその他の法令違反がないことを証明する書類(住民票など)も提出します。
- 申請タイミング:
- 新たな学校での入学が決定次第速やかに申請すべきです。現在の留学ビザの期限が切れる前に、余裕をもって申請手続きを開始することが重要です。期限切れ間際の申請は、特例期間に入り、審査結果が出たのち、対応を急ぐケースも想定されます。
3. 許可が難しいとされるケース
以下のような場合は、再度の留学ビザの許可が非常に難しくなります。
- 前回の留学中に出席率が著しく低い、または成績が極端に悪い場合。
- 資格外活動許可の範囲を超えてアルバイトをしていた事実が発覚した場合。
- 申請者本人または資金援助者(親族など)の経済状況が不安定である場合。
- 再度の留学目的が曖昧で、単に日本に滞在し続けるための手段と判断される場合。
- 過去に日本での犯罪歴や入管法違反がある場合。
まとめとウェイリンさんへのアドバイス
ウェイリンさんの場合、専門学校での学習経験があるため、その後の就職活動がうまくいかなかったとしても、学習意欲を明確に示し、経済的な安定性を証明できれば、再度の留学ビザ取得の可能性はあります。
特に、新しい専門分野(ウェブデザイン)が、これまでのIT技術の学習とどのように連携し、キャリアアップに繋がるのかを具体的に説明することが鍵となります。
ご自身での申請も可能ですが、一度卒業した後の再留学ビザ申請は、通常の留学ビザ申請よりも審査が厳しくなる傾向があります。ご不安な場合は、私たち行政書士のような専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。ウェイリンの新しい学びの挑戦が成功するよう、応援しています!