
質問内容)
① 相談種別:ビザ
② 申請種別:変更
③ 状況概要: 私はニュージーランド出身のトム(35歳)です。今、日本のスキー場でスキーインストラクターとして特定活動ビザ(6ヶ月)を持っています。ビザの期限は2025年5月末です。実は、別の会社から仕事のオファーがありまして、そちらで働くことを考えています。新しい会社は、プールやトランポリンを使って、一年中スキーのトレーニングをやっているんです。だから、一年を通して技能ビザ(インストラクターとして)を取りたいと思っています。
④ 質問: 特定活動のスキーインストラクタービザって延長できますか?他のビザに切り替えることはできるんでしょうか?できれば、可能ならばニュージーランドに帰らずに、日本でビザの変更手続きを済ませたいと思っています。変更申請は可能でしょうか?もし可能なら、特定活動ビザから技能ビザに切り替える際に、特に気をつけなければいけないことはありますか?教えてください。
回答)
トムさん、この度は転職とビザの件でご相談いただきありがとうございます。スキーインストラクターの特定活動ビザから技能ビザへの変更について、詳しくご説明させていただきます。
特定活動ビザから技能ビザへの変更の可否について
ご質問の件ですが、原則として、日本国内に在留している外国人が、現在持っている在留資格から別の在留資格への変更を申請することは可能です。 したがって、トムさんが現在お持ちの特定活動(スキーインストラクター)ビザから、技能ビザ(インストラクター)への変更申請を行うことは可能です。
ただし、変更が許可されるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。特に重要なのは、変更後の「技能」ビザの取得要件をトムさんが満たしていること、そして変更の必要性と相当性が認められることです。
技能ビザの要件(インストラクター)
技能ビザは、特定の分野において熟練した技能を有する外国人が、その技能を活かして日本で就労するための在留資格です。インストラクターとして技能ビザを取得する場合、一般的には以下の要件が求められます。
- 従事しようとする業務: 日本において、その熟練した技能を必要とする業務に従事すること。今回の場合は、プールやトランポリンを用いたスキーのトレーニング指導が該当します。
- 技能の要件:
- 原則として、10年以上の実務経験が必要です。 これは、従事しようとする技能に関する実務経験の期間を指します。トムさんの場合、スキーインストラクターとしての実務経験が何年あるかが重要になります。
- 国際的に評価されている技能に関する資格・免許を有している場合。
- 国際的な規模で開催される競技会等において優秀な成績を収めたことがある場合。
- 日本の文化庁が認める、日本の伝統文化に関する熟練した技能を有している場合。
- 今回のケースでは、プールやトランポリンを用いたスキーのトレーニングという特殊性から、スキーインストラクターとしての実務経験に加えて、これらの分野での指導経験や資格が考慮される可能性もあります。
- 雇用主の要件: 雇用する日本の会社が、安定した経営基盤を有しており、外国人労働者を適正に雇用・管理できる体制が整っている必要があります。
- 相当性: 在留状況に問題がなく、日本での活動が日本の利益に合致すると認められる必要があります。
トムさんの場合、スキーインストラクターとしての実務経験が10年以上あるか、または上記に該当するような特別な資格や実績をお持ちかどうかが、技能ビザ取得の大きなポイントとなります。
特定活動ビザ(スキーインストラクター)の特性
特定活動ビザは、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を認める在留資格であり、その内容は多岐にわたります。スキーインストラクターとしての特定活動ビザは、通常、期間限定(最長6ヶ月など)で、特定のスキー場や期間における活動が許可されるものです。原則として、この特定活動ビザの在留期間更新は認められていないことが多いです。
特定活動ビザから技能ビザへの変更申請について
トムさんが日本を出国せずに特定活動ビザから技能ビザへの変更申請を行うことは、手続き上可能です。ただし、許可されるかどうかは、上述した技能ビザの要件をトムさんが満たしているか、そして変更の必要性と相当性が認められるかによって判断されます。
特定活動ビザから技能ビザへの切り替えで特に気をつけるべきこと
特定活動ビザから技能ビザへの切り替え申請を行う際に、特に注意すべき点は以下の通りです。
- 技能要件の証明:
- 実務経験の証明: スキーインストラクターとしての実務経験を具体的に証明する書類を提出する必要があります。これには、過去の雇用契約書、在職証明書、指導実績を示す書類(例:所属していたスキー場のウェブサイトのプロフィール、指導したクラスやイベントの記録など)などが考えられます。勤務期間、指導内容、対象などを詳細に記載してもらうことが重要です。
- プールやトランポリンを用いたトレーニング指導経験の証明: 新しい転職先での業務内容に合わせて、これらの分野での指導経験や資格があれば、積極的に証明書類を提出しましょう。
- 資格・実績の証明: もし、国際的に評価されているスキーインストラクターの資格や、競技会での実績などがあれば、その証明書を提出することで、10年以上の実務経験がない場合でも認められる可能性があります。
- 雇用契約の内容: 新しい雇用主との間で締結する雇用契約書の内容が、技能ビザの要件に合致している必要があります。具体的には、業務内容(スキーのトレーニング指導、プールやトランポリンを用いたトレーニング指導など)、雇用期間、給与額などが適切に記載されているか確認しましょう。給与額が、日本人と同等以上であることが求められる場合もあります。
- 雇用主の安定性: 新しい雇用主である会社が、外国人労働者を安定的に雇用し、適切な労務管理を行うことができる体制が整っていることを示す書類(例:会社の登記簿謄本、決算報告書、外国人雇用に関する計画書など)の提出が求められます。
- 変更の必要性と相当性の説明: なぜ特定活動ビザの期間満了後に、技能ビザへの変更が必要なのか、その理由を明確に説明する必要があります。新しい転職先での業務内容が、これまでのスキーインストラクターとしての経験を活かしつつ、より専門的かつ継続的な活動であることを具体的に示すことが重要です。通年を通してスキーのトレーニング指導を行うという業務の継続性もポイントとなるでしょう。
- 在留状況の善良性: これまでの日本での在留状況に問題がないことが前提となります。例えば、交通違反を繰り返している、アルバイト許可を得ずに就労しているなどの違反行為があると、変更申請が不許可になる可能性が高まります。
- 申請時期: 現在の特定活動ビザの期限(5月末)まで十分な期間を残して、変更申請を行うようにしましょう。一般的に、在留期限の3ヶ月前から申請が可能となります。期限間際の申請になると、審査期間中にビザが切れてしまうリスクがあります。
- 追加書類の提出: 入国管理局の審査において、上記以外にも追加の書類提出を求められる場合があります。その際には、速やかに対応することが重要です。
変更申請が不許可になった場合
万が一、特定活動ビザから技能ビザへの変更申請が不許可になった場合、原則として日本に引き続き在留することはできません。その際は、一度日本を出国し、改めて技能ビザの在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)を海外の日本大使館・領事館で申請し、査証(ビザ)を取得して再入国するという手続きが必要になります。
日本国内での変更申請が不許可になると、出国準備のための期間が与えられることになりますが、その期間内に確実に出国する必要があります。
まとめとアドバイス
トムさんの場合、特定活動ビザから技能ビザへの変更申請は可能ですが、技能ビザの要件、特にインストラクターとしての実務経験や資格・実績が重要なポイントとなります。
トムさんが今すぐに行うべきこと:
- ご自身のスキーインストラクターとしての実務経験の年数、具体的な内容、指導実績などを整理してください。
- プールやトランポリンを用いたトレーニング指導に関する経験や資格があれば、それらも整理してください。
- 新しい雇用主となる会社に、技能ビザの申請に必要な書類の準備について協力をお願いしてください。(例:雇用契約書、会社の登記簿謄本、決算報告書など)
- 可能であれば、過去の雇用主から、詳細な職務内容、勤務期間、指導実績などを記載した在職証明書を取得してください。
- もし、スキーインストラクターとしての国際的な資格や競技会での実績があれば、その証明書を用意してください。
- 早めに、お近くの入国管理局に相談に行くか、または入管手続きに詳しい行政書士に相談することをお勧めします。 専門家は、トムさんの状況を詳しくヒアリングし、技能ビザの取得可能性についてより具体的なアドバイスをすることができます。また、申請書類の作成や準備のサポートも受けることができます。
日本での新しいキャリアに向けて、しっかりと準備を進めていきましょう。もし、当事務所で何かお力になれることがございましたら、お気軽にご相談ください。