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日本の専門学校ビジネス学科卒業後、企業で経理業務を行う場合、技人国ビザに問題はないですか?

作成者: FESO|Jul 3, 2025 4:47:11 AM

質問内容)

①相談種別:ビザ

②申請種別:変更

③状況概要: はじめまして、行政書士の先生。私はベトナム国籍のグエン・フン(25歳)と申します。現在、日本で就労しており、「技術・人文知識・国際業務」ビザを持っています。この度、別の会社への転職が決まり、今度は経理業務を担当することになりました。 私の学歴は、現地で高校を卒業した後、日本に来て日本語学校に通い、その後、日本のビジネス専門学校の国際ビジネス科を卒業しました。専門学校では、簿記、経営学、人事労務管理、貿易事務など、ビジネス全般について幅広く学びました。 転職先の企業から、私の「技術・人文知識・国際業務」ビザで経理職として雇うことに問題がないかの確認と、所属機関変更の届出について相談を受けました。転職先での具体的な勤務内容は、決算処理、予算管理、アルバイトスタッフのシフトのデータ入力、日々の売上のPOSデータのチェック及びエクセルの入力、会計ソフトへの入力などです。

④質問: この学歴で、決算処理や予算管理といった専門業務を含む経理業務を行う場合、「技術・人文知識・国際業務」ビザとして問題はないでしょうか?

 

 

 回答)

グエンさん、この度は転職おめでとうございます!新しい職場での経理業務、大変期待されていることと存じます。現在お持ちの「技術・人文知識・国際業務」ビザでの経理職への変更、そして学歴と業務内容の関連性について、よくいただくご質問ですので、詳しく解説させていただきます。

 

1. 専門学校(国際ビジネス科)の学歴と経理業務の関連性について

結論から申し上げますと、グエンさんの学歴で経理業務を行うことは、十分に「技術・人文知識・国際業務」ビザの要件を満たす可能性があります。

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、大学や専門学校で習得した専門的な知識や技術を活かして行う業務が対象となります。単に高校を卒業しただけでは認められない業務がほとんどですが、グエンさんの場合は、以下の点が有利に働きます。

 

  • 日本の専門学校卒業: 日本の専門学校を卒業しているという点は、日本の教育機関で専門的な知識を習得したことを示し、ビザの要件を満たす上で重要です。
  • 国際ビジネス科での履修内容: 簿記、経営学、人事労務管理、貿易事務など、経理業務に直接的または間接的に関連する科目を履修されているとのこと。特に「簿記」は経理業務の基礎となる知識であり、専門性の証明に大きく貢献します。
  • 「専門士」の資格: 専門学校で「専門士」の称号を取得見込み、または取得済みであれば、その専門性がより高く評価されます。

重要なのは、学歴で習得した知識が、これから従事する経理業務にどのように関連し、どのように活かされるのかを具体的に説明することです。専門学校での履修科目が経理業務の専門性を裏付ける根拠となります。

 

2. 専門業務を含む経理業務の適格性について

ご質問の通り、経理業務には単純なデータ入力作業も含まれることがありますが、「決算処理」や「予算管理」といった専門性の高い業務も行うのであれば、「技術・人文知識・国際業務」ビザとして問題ありません。

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、その名称の通り「専門的・技術的な知識」を必要とする業務を対象とします。単なる単純作業や定型的な事務作業のみでは、このビザの対象とはなりません。

 

しかし、以下の点がクリアできれば、許可される可能性は十分あります。

  • 業務の主要性: 経理業務全体の中で、「決算処理」や「予算管理」といった専門性の高い業務が、業務の主要部分を占めていること。アルバイトスタッフのシフトデータ入力やPOSデータのチェックといった単純作業は、あくまで付随的な業務であることを明確にする必要があります。
  • 業務内容の専門性:
    • 決算処理: 会社の財務状況を正確に把握し、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成する業務であり、高度な簿記・会計知識が不可欠です。これは「技人国」ビザの対象となる専門業務です。
    • 予算管理: 会社の目標達成に向けた予算の策定、実績との比較分析、改善提案などを行う業務であり、経営学や財務分析の知識が求められます。これも専門性の高い業務です。
    • 会計ソフトへの入力: 単純な入力に見えても、会計原則や会社の勘定科目を理解した上での入力作業であり、簿記の知識が活かされる業務です。
  • 責任の所在: 経理業務において、どの程度の責任範囲を持つのかも重要な判断基準となります。決算処理や予算管理といった重要な業務を任されていることは、専門性が高いことの証明になります。

 

その他留意すべき点

  1. 1. 雇用契約書の内容: 転職先の会社との雇用契約書に、今回ご相談いただいた「決算処理」「予算管理」といった専門性の高い業務が、グエンさんの主要な業務内容として明確に記載されていることが重要です。
  2.  
  3. 2. 会社の安定性・継続性: 転職先の会社が、外国人従業員を安定的に雇用し、適切な報酬を支払う能力があることを証明する必要があります。会社の登記簿謄本や決算報告書などが審査されます。
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  5. 3. 理由書の作成: 申請時には、学歴と業務内容の関連性、業務の専門性、なぜこの会社でこの業務に従事することが「技術・人文知識・国際業務」ビザにふさわしいのかを、詳細かつ説得力のある理由書で説明することが非常に重要です。また、学歴と業務内容の関連性については、学科名のみで判断せず、成績証明書を取得し履修科目ごとに、その専門性を活かせる業務を考察し、示すことも有効的です。
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  7. 4. 所属機関変更の届出: 現在「技術・人文知識・国際業務」ビザをお持ちとのことですので、転職先での勤務を開始したら、14日以内に出入国在留管理局に「所属機関に関する届出」を提出する義務があります。これは、在留資格の変更申請とは別の手続きですので、忘れずに行ってください。

 

まとめ

グエンさんの学歴と、転職先での経理業務の内容(特に決算処理や予算管理といった専門業務)から判断すると、「技術・人文知識・国際業務」ビザへの変更は十分に可能性が高いと考えられます。

重要なのは、学歴で培った簿記や経営学の知識が、新しい職場でどのように活かされ、それが会社にとってどのような貢献になるのかを、具体的な業務内容と関連付けて、入管に明確に説明することです。単純なデータ入力業務が含まれていても、より専門的な業務が主要であると示せれば問題ありません。

ご不安な点や、書類作成についてご不明な点がございましたら、私たち行政書士のような入管手続きの専門家にご相談ください。グエンさんの新しいキャリアを日本でスムーズにスタートできるよう、精一杯サポートさせていただきます。