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新設会社での「技人国」認定申請、海外からの経営指示は可能?

  • 9月 1 2025
  • FESO

質問内容)

①相談種別:技人国ビザ

②申請種別:新規申請

③状況概要: 海外在住の日本人(50代、仮名:田中)です。この度、奈良で外国人観光客向けの通訳ガイド事業を主とする会社を設立し、外国人の通訳ガイドを雇用したいと考えています。会社設立は司法書士に依頼済みで、2025年11月下旬までに完了予定です。 会社設立から約5年間は、私がアメリカから遠隔で外国人社員へ指示を行い、経営も行っていきたいと考えています。住民票は日本に残してあり、社会保険料の支払い等も問題はありません。 実際の事業開始は来年4月頃を予定しており、雇用したい外国人は既に決まっており、アルゼンチン国籍でスペイン語、英語、日本語を話せる方です。

④質問:

  1. 1.「技人国」ビザの認定申請(新設会社)について、他に確認すべき事項はありますか?
  2. 2.経営者が海外から遠隔で経営指示を行う形態は、審査に影響しますか?
  3. 3.ビザ申請のタイミングは、会社設立後、旅行業の許可が取得できたタイミングでよいでしょうか?

 

 行政書士からの回答)

田中様、この度はご相談いただき、誠にありがとうございます。海外から日本での事業展開、そして外国人通訳ガイドの雇用をご検討とのこと、素晴らしいですね。新設会社での「技術・人文知識・国際業務」ビザの認定申請は、特に慎重な準備が求められますので、各質問について詳しくご説明いたします。

1. 新設会社での「技人国」認定申請、他に確認すべき事項は?

新設会社での認定申請では、「事業の安定性・継続性」が最も厳しく審査されます。ご検討の通り、「業務量、勤務スケジュール」を詳細に記載した事業計画書が不可欠です。他に確認すべき事項としては、以下が挙げられます。

  1. 1.事業内容の明確性: どのような客層をターゲットに、どのようなツアーを企画・実施するのか、具体的なサービス内容を明確にしてください。
  2. 2.収益の見込み: 設立から数年間の収支計画(売上、費用、利益など)を具体的に作成し、事業の採算性を示してください。
  3. 3.雇用の必要性: なぜその外国人(アルゼンチン人)を通訳ガイドとして雇用する必要があるのか、その専門性(スペイン語、英語、日本語のスキル)が事業にどう貢献するのかを明確に説明してください。
  4. 4.事務所の実態: 事業活動を行う場所(オフィス)が、会社の登記上の本店所在地と一致しているか、また、事業活動に適した場所であるかを確認してください。レンタルオフィスやバーチャルオフィスの場合、個室が確保されているかなど、実態が伴うかが重要です。
  5. 5.許認可の有無: 今回の事業では、「旅行業の登録」が必須となります。ビザ申請までに旅行業の登録が完了しているか、または登録申請中であるかを明確にしてください。

2. 経営者が海外から遠隔で経営指示を行う形態は、審査に影響するか?

はい、審査に影響を与える可能性があります。
「経営・管理」ビザであれば、代表者が海外在住であっても、管理職を雇用することで許可されるケースもあります。しかし、「技術・人文知識・国際業務」ビザで外国人社員を雇用する場合、経営者が遠隔で指示を出す形態は、審査において「事業の実態が不明確」と判断されるリスクがあります
入管は、外国人社員が日本で安定して就労できる環境が整っているかを厳しく審査します。経営者が日本に常駐せず、直接の指導・管理が行えない場合、事業の安定性・継続性について疑義が生じる可能性があるのです。
適切な対応策としては、
・遠隔での指示であっても、具体的なコミュニケーションツール(ビデオ会議、チャットなど)や管理体制を明確に説明する。
・可能な限り、代表者(田中様)が定期的に日本に帰国し、事業の指導・管理を行う計画を理由書で示す。
といった対策が考えられます。

3. ビザ申請のタイミングはいつが適切か?

ご質問の通り、会社設立後、旅行業の登録が取得できたタイミングで行うのが最も適切です。

  • 会社設立後: 法人として実態がなければ、ビザ申請はできません。まずは会社設立を完了させ、登記簿謄本を取得してください。
  • 旅行業の登録取得後: 旅行業の登録は、事業を行うための前提条件であり、これがなければ事業の合法性・安定性が証明できません。ビザ申請の際に、旅行業の登録証のコピーを提出することが必須となります。

事業開始まで期間が空く場合の対応:
会社設立後から事業開始まで期間が空くこと自体は問題ありませんが、その理由を明確に説明してください(例:外国人社員の入国手続きや研修期間が必要なため)。ビザ申請時に、事業開始までのスケジュールを具体的に示すことが重要です。

まとめと田中様へのアドバイス

田中様、新設会社での「技術・人文知識・国際業務」ビザの認定申請は、事業計画の説得力と会社の安定性をいかに証明できるかが鍵となります。

特に、

  • 海外からの遠隔経営: 審査に影響を与える可能性があるため、具体的な管理体制と日本での活動計画を明確に説明する。
  • 旅行業の登録: ビザ申請の前提条件となるため、会社設立後、旅行業の登録を速やかに完了させる。

この2点に特に注意して準備を進めてください。
ご依頼者様とのヒアリングにおいては、これらの点を中心に、事業内容、収支計画、今後のスケジュールなどを詳細に確認されることをお勧めします。
ご不安な点があれば、私たち行政書士のような専門家にご相談いただき、最適な方法を共に検討していきましょう。

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