就労ビザFAQ

就労ビザ

ビザ更新中に社員が急遽帰国退職へ。そのまま出国させて大丈夫?

  • 5月 28 2026
  • FESO

質問内容)

相談種別: 就労ビザ(退職・帰国に伴うコンプライアンス)  

② 申請種別: 在留資格変更・更新の「申請取り下げ」および帰国手続き

③ 状況概要: IT企業の人事担当者です。弊社で「技術・人文知識・国際業務」のビザを保有して働いているオーストラリア国籍の社員(アマンダ)の件でご相談です。 彼女の元の在留期限は5月12日(本日)でした。4月28日に入管へ更新申請を提出したため、現在は適法に滞在できる「特例期間中(最大7月12日まで)」となっています。 しかし、ゴールデンウィーク明けに本人から「家庭の事情により6月8日付で退職し、その1週間後(6月15日頃)にオーストラリアへ帰国したい」との申し出があり、会社として了承しました。

④ 質問内容:

1. 特例期間内であれば、審査結果がどうであれ、出国時に空港で現在の在留カードを返納し、再入国許可の手続きをせずに出国(=在留資格の放棄)すれば実務上問題ないでしょうか?

2. その際、本人が空港で行うべき特段の手続きはありますか?

3. もし出国までに「更新許可」が出てしまった場合、新しい在留カードを受け取らないことについて、入管へ何らかの届出や連絡をする必要はないのでしょうか?(放置して大丈夫ですか?)

 

行政書士からの回答)

人事担当者様、急な退職と帰国の対応、スケジュール調整も含めて大変お疲れ様です。更新申請の真っ最中に退職・帰国が決まるケースは、人事の実務において非常に判断が難しいポイントです。

結論から申し上げますと、本人が「在留資格を放棄して出国する」こと自体は空港で可能ですが、会社側が「何もせず放置する」のは非常に危険です。会社のリスクヘッジ(コンプライアンス防衛)のため、入管への「申請取下書」の提出と「所属機関の届出」は必ず行ってください。

担当者様が誤解しやすいポイントを含め、実務上の具体的な手順を詳しく解説します。

 

1.  特例期間中の出国と在留資格の「放棄」について(質問1・2への回答) 

担当者様のご認識の通り、特例期間内(アマンダ様の場合は7月12日まで)であれば、現在の更新申請の結果を待たずに日本を出国することは法的に可能です。
空港での本人の手続き: 出国時、空港の出入国審査官に対して「今回は再入国する予定はなく、完全に本国へ帰国します」と伝えます。また、出国時に記入する「再入国出国記録(EDカード)」の「みなし再入国許可による出国」の欄にチェックを入れないように本人に指示してください。
在留カードの返納: 審査官がその場で在留カード(期限切れのもの)にパンチで穴を開けて無効化し、本人に返却します。これでアマンダ様の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は正式に消滅します。この一連の流れをもって、出国手続き自体は問題なく完了します。

 

2. 【最重要】「許可を放置してはいけない」理由(質問3への回答) 

担当者様が一番気になっている「許可が出ていた場合、カードを受け取らずに放置してよいか」という点ですが、絶対に放置してはいけません。

「本人が出国してビザが消滅したのだから、入管側もシステムで分かるだろう」と思いがちですが、入管の「審査部門」と「出入国管理(空港)部門」のデータ連携にはタイムラグがあります。また、申請が「出しっぱなし」になっていると、会社にとっても本人にとっても以下のような重大なデメリットが発生します。

❌ 会社側が被るリスク

入管から「更新許可が出たので、新しいカードを取りに来てください」というハガキ(通知書)が会社または本人の元に届きます。これを無視して放置し続けると、入管側では「許可を出したのに、なぜこの会社は引き取りに来ないのか?」「受入企業としての外国人管理体制に問題があるのではないか?」とみなされます。 これが原因で、今後御社が別の外国人を採用してビザを申請する際、「過去に不適切な申請放置があった企業」として審査が厳しくなったり、結果が出るのが遅くなったりする実務上のペナルティを受けるリスクがあります。

❌ 本人側が被るリスク

万が一、将来アマンダ様が「再び日本の別の企業で働きたい」「日本へ長期滞在したい」となった際、過去の申請が「放置・幽霊状態」になっていると、不誠実な在留態度だったとみなされ、将来のビザ申請で不許可の要因になります。

 

3.  人事担当者が今すぐ行うべき「2つの手続き」 

御社のコンプライアンスを守るため、以下の2つの手続きをパッケージで行ってください。

① 入管へ「在留資格変更・期間更新許可申請取下書」を提出する

アマンダ様が退職し、帰国することが確定した段階(または出国の直前)で、申請を出している地方出入国在留管理局(審査部門)に対して、「申請の取り下げ」を行います。

  • 必要書類: 「申請取下書」(入管の窓口、または郵送でも受付可能)。文面には「当事者、家庭の事情により○月○日付けで退職し帰国することとなったため、本申請を取り下げます」と記載します。
  • 効果: これにより審査が正式にストップし、入管側に「適正に管理されている会社だ」というクリーンな印象を残せます。

② 「所属機関に関する届出(離脱)」の提出(退職から14日以内)

雇用契約が終了したため、会社側から入管へ「中長期在留者の受入れに関する届出(契約終了)」をインターネットまたは郵送で提出します。これは入管法上の法定義務ですので、6月8日の退職日から14日以内に必ず完了させてください(アマンダ様本人にも、個人側の届出を行うよう伝えてください)。 

 

4.  行政書士からのメッセージ

担当者様、アマンダ様がスムーズに出国できるかどうかという点だけで言えば、空港でのカード返納だけで問題ありません。しかし、「会社の今後のビザ申請を守る」という観点に立つと、入管への事後処理の手間を惜しんではいけません。

特に現在は、企業の外国人雇用におけるコンプライアンスが非常に厳しくチェックされる時代です。「ハガキを無視する」という行為一つが、将来の優秀な外国人採用の足を引っ張ることになりかねません。

6月8日の退職日、そして6月中旬の帰国に向けて、本人には空港でのEDカードの書き方をレター等で指示し、会社側は速やかに「申請取下書」の郵送準備を進めるのがベストな解決策です。手続きの書式や、入管への文面に不安がある場合は、御社の信頼を守るためにも、ぜひ一度私たち専門家にご相談ください。

 

※ 本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成されています。更新申請中の出国および取り下げ実務は、地方入管によって運用ルールが細かく異なる場合があるため、具体的な提出前には管轄の入管へご確認ください。

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