質問内容)
① 相談種別: ビザ(招聘手続きに関する該当性判断)
② 申請種別: 在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)
③ 状況概要: イタリア国籍のチロと申します。フィギュアスケートの振付師として活動しており、過去に著名なフィギュアスケート選手へ振付を提供した経歴など、芸術家としての著しい実績と経歴があります。今後、日本の関係者(スケーターやスケートクラブ等)から新プログラムの振付を依頼される予定があり、その関係者からの推薦状の取得が見込めます。また、過去に一緒に仕事をした業界関係者からの推薦状も準備可能です。
④ 質問: 私の行うフィギュアスケートの振付業務は、入管法上「芸術」と「興行3号(または他の興行)」のいずれに該当するのでしょうか?その具体的な判断基準を教えていただきたいです。自身としては、あくまでオリジナルの作品を創作する活動(振付)であり、コーチとしてスポーツの技術指導を行うわけではないため、「技能(スポーツの指導者)」には該当しないと考えています。しかし、フィギュアスケートの振付が「興行」や、あるいは「技能(旧技能8号・現行の技能)」ビザに該当するケースがあるのか、実務上の可能性があれば教えていただけますと幸いです。
チロ様、ご相談ありがとうございます。過去に高名な選手への振付実績があり、国内外の業界から推薦状が得られるとのこと、在留資格の前提となる「本人の卓越した実績」については十分に証明可能な素晴らしい経歴をお持ちですね。
チロ様のご認識の通り、今回の活動は選手の技術向上を目的としたマンツーマンのコーチングではなく、プログラムという作品を生み出す創作活動であるため、原則として「技能(スポーツの指導)」ビザには該当しません。
結論から申し上げますと、本件は「芸術」ビザ、または「興行」ビザのいずれかに該当します。 どちらに該当するかは、チロ様の能力ではなく、「日本で行う振付活動が、どのような場所で、どのような目的(商業的パフォーマンスの一環か、純粋な作品創作か)で行われるか」という客観的な契約内容によって判断されます。
入管の審査実務に基づく具体的な判断基準を以下に解説します。
チロ様が日本で行う業務が、どの在留資格の要件をクリアするのか、それぞれのビザの法的定義と対比して解説します。
入管法上、「芸術」ビザは「収入を伴う美術、文芸、音楽、写真、演劇、舞踊、映画その他の芸術上の活動」と定義されています。フィギュアスケートのプログラム制作は「舞踊(ダンス)の創作」と同等とみなされ、芸術活動に該当します。
「興行」ビザは、演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏、スポーツ等の興行(見世物として観客に見せる活動)や、その他の芸能活動が対象です。
チロ様が疑問に思われている「技能」ビザ(※かつて技能8号と呼ばれていた区分を含む、スポーツの指導者枠)は、「スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの」と規定されています。
チロ様を日本へ適法に呼び寄せるためには、日本側の受入関係者が代理人となり、入管へ「在留資格認定証明書(CoE)」を申請します。今回は最も可能性が高い「芸術」ビザを想定した実務書類のポイントを挙げます。
フィギュアスケートの振付師という特殊かつ高度な専門職の招聘において、在留資格の選択ミス(例:実態は振付なのに安易にコーチとして技能ビザで申請するなど)は、要件不一致による不許可を招く最大の原因となります。
チロ様の場合、活動の本質が「非公開の場での作品創造」であれば「芸術」、もし「アイスショー等の興行イベントに密接に連動した演出・振付活動」であれば「興行」でのアプローチが事実に基づいた正しい選択となります。
過去の実績や今後の推薦状という強力なエビデンスが揃っているからこそ、契約書上の「業務の定義」と「活動場所」を入管の基準に完全に適合させることが申請成功の鍵です。
このような専門性の高い芸能・アート分野のビザ申請を進める際は、事前に出入国在留管理庁の審査要領を熟知した専門の行政書士へ相談し、最適なビザ戦略を組み立てることをお勧めいたします。