就労ビザFAQ

就労ビザ

大学院生のインターンシップ(特定活動9号)。学部生との違いや審査の注意点は?

  • 6月 30 2026
  • FESO

 質問内容)

① 相談種別: 新規申請

② 申請種別: 特定活動(インターンシップ・9号)

③ 状況概要: ベトナム国籍のディンです。現在、ベトナムの大学院で修士課程に在籍しています。日本の企業からお声がけをいただき、日本国内で1年間のインターンシップを行う計画を進めています。

④ 質問内容: 自分で調べたところ、在学中のインターンシップには「特定活動9号」というビザが必要だと分かりました。そこで質問なのですが、私のような「大学院生」のインターンシップ申請は、一般的な「大学生(学部生・学士課程)」の申請と比較して、修了年限の扱いや単位の条件、その他に異なる点や審査で注意すべき事項はあるのでしょうか?入管法上の基準や、受入企業が気をつけるべきポイントを教えてください。

 

行政書士からの回答)

大学院生でも特定活動9号(インターンシップ)は可能!ただし「在学・卒業要件」の審査がより厳格になります

結論から申し上げますと、ディン様のように大学を卒業した後の大学院生(修士課程)であっても、特定活動9号(インターンシップ)の在留資格要件を問題なく満たすことができます。

ただし、入管法が定める基準省令(上陸許可基準該当性)の解釈において、大学院生ならではの「修了年限」や「修業スケジュールの合理性」が、学部生よりも一歩踏み込んでチェックされる傾向があります。

「在学中の教育の一環であること」というビザの根本的な目的は同じですが、実務上、学部生と異なる点や注意すべきポイントがいくつか存在します。詳しく見ていきましょう。

 

1.  大学院生のインターンシップ申請で「学部生と異なる点」と「審査の注意点」 

大学院生が特定活動9号(インターンシップ)を申請する際、特に上陸許可基準(基準省令適合性)において注意すべき重要なポイントは以下の3点です。

① 「修了年限(在学期間)」とインターンシップ期間の合理性

特定活動9号(インターンシップ)は、あくまで「外国の大学(大学院)に在籍していること」が絶対条件です。そのため、インターンシップ期間中に大学院を卒業(修了)してしまうスケジュールでの申請は認められません。

  • 学部生との違い: 学部生は4年間という長い在学期間があるため、1年間のインターンシップを行っても卒業時期に余裕があるケースが多いです。しかし、修士課程は一般的に「2年間」と在学期間が短いため、そのうちの「1年間」を日本でのインターンシップに費やす場合、「本当に大学院の修了年限(2年)の中で、講義の受講や修士論文の執筆・審査と、日本での1年間の実務が両立できるのか」という実現可能性が厳しく審査されます。
  • 対策: 本国の大学院側が、日本でのインターンシップ期間中もディン様を「在学生(または休学生)」として適法に籍を維持することを承諾している証明書(在学証明書やインターンシップ許可書)が必須となります。

② 「単位取得」および「修士論文」との関連性

特定活動9号(インターンシップ)の省令基準では、「外国の大学の学業の一環として、当該大学と日本の受入機関との間の取り決め(契約)に基づき、単位または卒業要件として実施されるもの」とされています。

  • 実務上のポイント: 大学院生の場合、単に着座して講義を聴くだけの単位ではなく、「自身の研究テーマ(修士論文の題材)と、日本企業で行う実務内容(インターンシップ職務)に、高度な学術的関連性・シナジーがあること」を立証すると、審査官への強い説得材料になります。
  • 学部生との違い: 学部生よりも研究内容が専門的であるため、受入企業で行う業務が「ただの一般事務」や「現場の軽作業」といった単純労働とみなされた場合、「大学院の教育水準に見合わない」として不許可のリスクが伴います。

③ インターンシップ給与の「適正額」(日本人同等以上が望ましい

インターンシップで支払われる報酬は、当然ながら「最低賃金以上」でなければなりません。なおかつ日本人従業員(または日本人の大学院生インターン)と同等以上の額が望ましいとされています。

  • 実務上のポイント: ディン様はすでに「大学(学士)を卒業している」という高度な学歴を持った状態の大学院生です。そのため、受入企業は「単なる学生アルバイトレベルの時給」で賃金を設定せず、大卒・大学院在籍というスペックに見合った、適正な報酬額(月給換算や時給設定)を雇用契約書(インターンシップ契約書)に明記しましょう。

 

2.  申請にあたって受入企業とディン様が準備すべき具体的事項 

特定活動9号(インターンシップ)の認定申請を確実に成功させるためには、日本の受入企業と本国の大学院、そしてディン様の3者間で綿密な書類の準備が必要です。

【用意すべき主要な立証資料リスト】

  1. 1.  本国の大学院が発行する書類:
    • 在学証明書(最新のもの)
    • インターンシップが大学院の課程の一環(単位対象、または修了要件)であることを証明する書面
    • 大学の承認書(日本への渡航および1年間のインターンを認めるもの)
  2. 2.  企業と大学院の間で交わす契約書:
    • インターンシップ実施に関する協定書(MOU / インターンシップ契約書)※期間、報酬、指導体制、責任の所在を明記したもの。
  3. 3.  企業とディン様の間で交わす書類:
    • 労働条件通知書またはインターンシップ雇用契約書(給与、勤務時間、社会保険の扱い等を明記)
  4. 4. 受入企業が作成する書類:
    • インターンシップ実施計画書(最重要): 1年間、どのようなスケジュールで、どのような高度業務(研究開発、マーケティング、技術実務など)を担当させ、誰が指導員として教育するのかを詳細に記載した計画書。

3.  大学院生特有の「学業との両立」をクリアにして確実な許可へ 

大学院生の特定活動9号(インターンシップ)は、高い専門性を持った優秀な人材を日本へ呼び寄せ、将来的な正社員採用(技術・人文知識・国際業務ビザへの切り替え)を見据えた前段階としても非常に有効なスキームです。

しかし、修士課程という短い在学期間の中で「1年間」という長期のインターンシップを行う場合は、入管から「名目だけの留学籍で、実質的には日本へ出稼ぎに来るのではないか」という疑念を持たれないよう、本国の大学院のカリキュラム(修了年限)との整合性をロジカルに証明することが実務上最も重要です。

ディン様の学業のスケジュールと、受入企業様の受入体制(計画書)をしっかりとリンクさせ、不備のない書類を組み立てて申請に臨みましょう。

もし、大学院側との協定書の書き方や、入管を納得させる「インターンシップ実施計画書」の作成に迷ったときや、要件の適合性に不安がある場合は、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。ディン様の日本での実りあるインターンシップが実現できるよう、手続きをサポートいたします!

Tags:
Share on: