
質問内容)
①相談種別:家族滞在ビザからの就労ビザ変更
②申請種別:変更申請
③状況概要: こんにちは。私はフィリピン国籍の32歳の女性、リサ・ガルシアと申します。夫が「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザで日本に滞在しており、私は「家族滞在」のビザで日本に住んでいます。この度、日本のホテルサービス企業からアルバイトではなく、来年は、正社員として清掃の仕事を任せたいと言われました。
④質問: 「家族滞在」のビザを持っている私が、日本で正社員として働くために就労ビザに変更することはできますか?
回答)
リサさん、こんにちは。ご主人が日本で就労ビザをお持ちで、リサさんも日本での正社員としての就職が決まったとのこと、おめでとうございます。
さて、ご質問の「家族滞在」ビザから就労ビザへの変更についてですが、原則として、日本国内で「家族滞在」ビザから就労ビザへの変更は可能です。
「家族滞在」の在留資格は、就労が原則として認められていませんが、資格外活動許可を受けることで週28hまでの就労が可能です。また、日本国内で就職が決まった場合など、一定の条件を満たせば、就労可能な在留資格への変更申請を行うことができます。
リサさんの場合、日本のホテルサービス企業から正社員としてのオファーを受けているとのことですので、その職務内容が就労ビザのいずれかの種類に該当するかどうかが重要なポイントとなります。
就労ビザへの変更の可否と考慮される点:
- 職務内容と就労ビザの種類:
- 清掃の仕事の場合、一般的には「技能」ビザの対象となる可能性は低いと考えられます。「技能」ビザは、特定の熟練した技能を必要とする業務(例えば、調理、外国料理、スポーツ指導など)が対象です。
- しかし、清掃業務の内容によって現業ではなく、例えば、高度な専門知識や特殊な技術を要する場合など、他の就労ビザ(例えば、「技術・人文知識・国際業務」ビザ)に該当する可能性も極めて低いながら考えられます。この場合、関連する学歴や職務経験が問われます。
- 採用先のホテルサービス企業が、どのような種類の業務をリサさんに任せたいのか、詳しく確認する必要があります。単なる一般的な清掃業務であれば、就労ビザの対象となるのは難しいでしょう。
- 採用先のホテルサービス企業の状況:
- ホテル企業の規模、経営状況、外国人雇用実績なども審査の対象となることがあります。
- リサさんの資格や経験:
- 清掃に関する特別な資格や、これまでの清掃業務の経験の有無や内容が考慮される可能性がありますが、一般的な清掃業務で就労ビザが認められるケースは、無いと考えた方が良いでしょう。
- 日本語能力:
- 日常会話に支障がない程度の日本語能力は求められることが多いですが、業務遂行に必要な日本語能力がどの程度必要とされるかは、職務内容によって異なります。
変更申請の手続き:
「家族滞在」ビザから就労ビザへの変更申請は、リサさんの居住地を管轄する入国管理局に行います。申請に必要な主な書類は以下の通りです。
リサさんが準備する書類:
- 在留資格変更許可申請書
- パスポート
- 在留カード
- 写真(指定のサイズのもの)
- 最終学歴を証明する書類
- 職務経歴書(清掃に関する経験を詳しく記載)
- 清掃に関する資格や免許の証明書(もしあれば)
- 日本語能力を証明する書類(もしあれば)
- 理由書(なぜ就労ビザへの変更を希望するのかなどを記述)
- その他、入国管理局が別途求める書類
採用先のホテルサービス企業が準備する書類:
- 登記事項証明書
- 会社の概要がわかる資料(パンフレット、ウェブサイトなど)
- 直近の決算報告書
- 給与支払に関する書類
- 雇用契約書(労働条件、給与などが明記されているもの)
- 採用理由書(なぜリサさんを採用したいのか、どのような業務を任せたいのかなどを記述。一般的な清掃業務であれば、なぜ外国人を雇用する必要があるのか、明確な説明が求められます。)
- その他、入国管理局が別途求める書類
ご主人の書類(審査の参考として求められる場合があります):
- 在留カードのコピー
- 収入を証明する書類(源泉徴収票など)
審査期間:
在留資格の変更申請の審査期間は、申請内容や入国管理局の混雑状況によって異なりますが、一般的には1ヶ月半から3ヶ月程度かかることが多いです。
重要なポイント:
- 清掃業務で就労ビザを取得するのは非常に難しいのが現状です。入国管理局は、日本国内でも十分な人材がいると考えられる単純労働に対して、就労ビザを厳しく審査する傾向があります。
- 採用先のホテルサービス企業が、リサさんを清掃業務で雇用する必要性を、専門性や特殊性といった観点から明確かつ合理的に説明できるかどうかが鍵となります。
- 雇用契約の内容や給与水準も、適正であるかどうかが審査されます。
推奨される対応:
まずは、採用先のホテルサービス企業と、リサさんの具体的な職務内容について詳細に確認し、その内容が就労ビザのいずれかの種類に該当する可能性があるのかを慎重に検討する必要があります。
もし、一般的な清掃業務である場合、就労ビザへの変更は非常に困難である可能性が高いです。その場合は、他の在留資格(例えば、ご主人の扶養の範囲内で資格外活動許可を得て働くなど)を検討するか、帰国後に改めて就労ビザを申請するという選択肢も視野に入れる必要があるかもしれません。
いずれにしても、まずは入国管理局に相談するか、私たちのような行政書士に早めにご相談いただくことを強くお勧めします。