①相談種別:ビザ
②申請種別:短期滞在
③状況概要: 私は日系企業の人事担当、髙橋と申します。来年2026年4月に入社が内定しているベトナム人の候補者(24歳、仮名:チャン・ヴァン・フン)がおります。彼の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書(COE)申請は、本年12月から1月頃に行う予定です。 つきましては、もし入管法上可能であれば、本年10月に事前に彼を日本に招き、インターンシップを行いたいと考えています。インターンシップの期間は2週間程度で、航空券や滞在ホテルなどの費用は弊社が負担する予定です。対価は無給ですが、食事代として一日3,000円を支給する予定です。
④質問: 弊社が行おうとするインターンシップを受け入れる場合、申請種別としては短期滞在ビザに該当できるかどうか検討しております。会社の考えている内容では、短期滞在ビザの申請は難しいと思われますがいかがでしょうか?(もし、クリアできるような方法があればお教えいただければ幸いです。) 弊社としましても、インターンシップを行うことが来年の「技人国」認定申請に悪影響があるようなら、インターンシップ自体を取りやめる考えもございます。今回弊社が行おうとしているインターンシップの事例がもしあれば、教えていただければ幸いです。
髙橋様、この度は内定者の方を日本に招いてインターンシップを行いたいというご意向、そしてそれが来年のCOE申請に影響しないかというご心配、承知いたしました。非常に重要なポイントですので、詳しく解説させていただきます。
結論から申し上げますと、ご記載のインターンシップの内容では、短期滞在ビザでの入国は難しい可能性が高いです。
短期滞在ビザは、観光、商用、親族訪問、短期的な研修など、報酬を伴わない短期間の活動を目的とする場合に許可されるものです。特に、「報酬を伴う活動」や「将来の就労を見据えた実質的な労働」と見なされる場合は、短期滞在ビザの対象外となります。
今回のご提案内容には、以下の点が懸念されます。
「無給」と「食事代支給」の解釈:
会社のご心配の通り、今回のインターンシップの受け入れ方が適切でないと判断された場合、来年の「技人国」認定申請に悪影響が出る可能性は十分にあります。
過去に、短期滞在ビザで入国した外国人が、実質的な就労を行ったとして退去強制の対象となったり、その後の在留資格申請が不許可になったりする事例は少なくありません。特に、すでに内定が出ており、将来的に長期滞在を予定している方の場合、入管はより慎重に審査を行う傾向にあります。
原則として、内定者に対する「実質的な労働を伴うインターンシップ」は、短期滞在ビザでは困難です。しかし、どうしても行いたいという場合は、以下の点を厳格に遵守し、リスクを最小限に抑える必要があります。
「対価性」の排除:
短期滞在ビザでインターンシップが認められた事例は、多くの場合、以下のいずれかのパターンに該当します。
これらの事例はいずれも「報酬性」と「業務性」が極めて低いか、皆無であることが前提です。内定が出ている「将来の従業員」に対して行われるインターンシップは、これらとは性質が異なるため、より慎重な判断が求められます。
今回ご検討のインターンシップは、来年の「技人国」認定申請への悪影響を避けるためにも、実行しない、または内容を大幅に見直すことを強くお勧めします。 特に「食事代の支給」は、報酬と見なされるリスクが非常に高いです。
来年の「技人国」認定申請は、ベトナム人のチャンさんが日本で長期的に就労するための重要な手続きです。この主要な手続きに悪影響が出ないよう、リスクを最小限に抑える判断をされることをお勧めいたします。
ご不安な点があれば、私たち行政書士のような入管手続きの専門家にご相談いただき、最適な方法を共に検討していきましょう。