
①相談種別:ビザ
②申請種別:短期滞在
③案件概要: インドネシア国籍のジョー(40歳)と申します。日本で法人を設立したいと考えています。今私はインドネシアに住んでいますが、日本で会社を設立し、運営管理は日本人社長に任せる予定です。 出資は私がすべて行い、会社の運営管理は日本人社長を立てて対応する予定です。私自身はインドネシアでの別事業もあるため、日本には1週間程度の滞在を繰り返す程度になりそうです。
④質問: この場合、外国人である私が日本に来日する際には、短期滞在ビザを都度申請するという対応でよろしいでしょうか?
行政書士からの回答)
ジョー様、この度はご相談いただきありがとうございます。インドネシアでの事業と並行して、日本で法人設立をご検討とのこと、素晴らしいですね。日本での会社設立と、それに伴うご自身の来日方法について、詳しく解説させていただきます。
1. 会社設立のための短期滞在ビザでの来日について
結論から申し上げますと、会社設立の手続きのために日本へ来日する場合、短期滞在ビザでの入国は可能です。
短期滞在ビザは、観光、親族訪問、商用といった、報酬を伴わない短期間の活動を目的とする場合に許可されます。会社設立の手続き(例:銀行口座開設、事務所契約、関係者との面談など)は商用活動に該当するため、問題ありません。
この場合、ビザ申請時に、
- 設立する会社の概要
- 来日の目的(設立手続き、打ち合わせなど)
- 滞在スケジュール
- 滞在費用を誰が負担するか
などを明確に説明することが重要です。
2. 会社設立後の短期滞在での来日について
会社設立後も、ジョー様が日本で「1週間程度の滞在を繰り返す」という場合は、都度、短期滞在ビザで来日するという対応で問題ない可能性が高いです。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 「短期滞在」の目的の範囲: 短期滞在ビザは、あくまで短期的な商用活動を目的としています。報酬を得て業務を行うような実質的な就労活動は禁止されています。
- 日本での「経営・管理」活動: ジョー様は会社の運営管理を日本人社長に任せる予定とのことですので、ご自身が日本で行う活動は、経営者としての視察、会議、指示出しといった業務に留める必要があります。これらが短期的な商用活動の範囲内であれば、短期滞在ビザで対応可能です。
- 不自然な出入国: 頻繁に短期間の出入国を繰り返す場合、入管から「なぜ就労ビザを取得しないのか」「短期滞在ビザの目的外活動を行っているのではないか」と疑われる可能性があります。この場合、入国審査で詳細な質問を受けたり、最悪の場合、入国を拒否されたりするリスクもゼロではありません。
3. 「経営・管理」ビザという選択肢
ジョー様のように、日本に会社を設立し、経営に携わる場合、最も適切な在留資格は「経営・管理」ビザです。
- 「経営・管理」ビザのメリット:
- 報酬を得て、日本で経営者としての活動を自由に行うことができます。
- 長期的な在留が認められるため、ビザの申請を都度行う必要がなくなります。
- 日本での生活の基盤が安定し、社会保障制度(健康保険、年金など)に加入できます。
- 「経営・管理」ビザの要件:
- 日本に事業所を確保していること。
- 会社の資本金が500万円以上であること。
- 事業計画の実現可能性が認められること。
- 外国人であるご自身が、会社の経営・管理に実質的に従事すること。
ジョー様の場合、ご自身は本国での事業があるため、日本に常駐できないとのことですが、「経営・管理」ビザは、経営者が日本に常駐することを前提としています。そのため、日本人社長を立てて対応する予定ですと、ジョー様ご自身が「経営・管理」ビザを取得するのは難しい場合があります。
4. まとめとジョー様へのアドバイス
ジョー様、日本で会社を設立し、経営を日本人社長に任せる場合、ご自身の来日については、当面は短期滞在ビザで都度対応するという認識でよろしいかと存じます。
ただし、入管から疑義を持たれないよう、以下の点に注意してください。
- 来日の目的を明確にする: 毎回、日本での商用活動の具体的な内容(打ち合わせ、視察、会議など)を説明できるように準備しておく。
- 入国審査の際の対応: 頻繁に来日する場合、入国審査で質問を受ける可能性があります。正直かつ明確に、来日の目的や滞在期間を答えることができるように準備しておきましょう。
将来的に、ご自身も日本での事業に深く関与したいとお考えになった場合は、その時点で「経営・管理」ビザの取得を検討されることをお勧めします。
ご不安な点があれば、私たち行政書士のような専門家にご相談いただき、最適な方法を共に検討していきましょう。