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短期滞在ビザ不許可後、「宗教」ビザで申請し直せば日本に来られますか?

作成者: FESO|Oct 10, 2025 1:43:26 AM
 質問内容)

①相談種別:その他

②申請種別:短期滞在(不許可後の対応)

③案件概要: 私はスリランカで事業を営む会社のサントソ(58歳)と申します。 今回、スリランカの宗教界で非常に力のある知人(宗教家)を日本へ招きたいのですが、同行予定の2名は短期滞在の査証(ビザ)を受けたのに対し、その宗教家のみが首都の日本大使館から不許可となりました。不許可理由は特に説明されていません。 その方は2019年にも来日しており、過去にオーバーステイや違法行為は一切ありません。本人は、前政権と折り合いが悪かったため、その際のネガティブな情報が日本側に記録され、不許可につながったのではないかと推測しており、非常に困っている状況です。

④質問内容: 過去に違法行為がないにもかかわらず短期滞在ビザが不許可となった場合、上記のような政治的背景が理由の場合、在留資格「宗教」で改めて申請すれば許可される可能性はありますでしょうか?

 

行政書士からの回答)

サントソ様、ご相談ありがとうございます。宗教界で有力な方が入国不許可となり、ご心労のことと拝察いたします。特に不許可理由が不明である場合は、対応に苦慮されることと思います。

この複雑なケースについて、短期滞在の不許可と「宗教」ビザへの変更の可能性という観点から解説させていただきます。

 

1. 短期滞在ビザの不許可と「政治的背景」の影響

結論から申し上げると、過去に違法行為がなくても、何らかの理由で入国がふさわしくないと判断された場合、短期滞在ビザは不許可になります。

  • 不許可理由の非公開: 大使館は不許可理由を詳細に説明する義務がないため、真相を把握するのは困難です。
  • 「上陸拒否事由」と「総合的な判断」: 入管法上の明確な上陸拒否事由(犯罪歴など)がない場合でも、審査官は申請者の日本での活動の「相当性」「国際的な信頼性」を総合的に判断します。
  • 政治的背景の影響: 「前政権との関係」によるネガティブな記録が直接的な不許可理由になるかどうかは断定できませんが、治安維持や国際的な安全保障の観点から、過去の政治的な活動内容や立場が「総合的な判断」に影響を与える可能性は否定できません。特に有力な宗教家や政治家の場合、その人物が日本に来る目的や活動が慎重に審査される傾向にあります。

 

2. 在留資格「宗教」でのリカバリーの可能性

短期滞在ビザが不許可になった後のリカバリー策として「宗教」ビザを検討されるのは理解できますが、安易なビザの変更は推奨できません。

(1) 「宗教」ビザの要件と高いハードル

在留資格「宗教」は、以下の要件を満たす中長期滞在のビザです。

  1. 1.活動内容の目的: 外国の宗教団体から派遣された宗教家が、日本国内の同一宗派の宗教団体で布教活動その他の宗教上の活動を行うこと。
  2. 2.継続性と安定性: 日本の宗教団体に所属し、そこから安定的に報酬を得て生活が維持できること(宗教団体が活動費用や給与を支払う)。

(2) 審査における問題点

短期滞在ビザの不許可理由が解消されないまま「宗教」ビザを申請すると、以下の問題が生じます。

  • 同一理由での不許可: 短期滞在の不許可理由が「素行」や「国際的信頼性」に関するものであった場合、ビザの種類を変えても、その根本的な問題が解消されなければ、「宗教」ビザも不許可になる可能性が非常に高いです。
  • ビザの目的の不一致: 短期滞在の目的(訪問、交流など)と、宗教ビザの目的(中長期的な布教活動)は全く異なります。なぜ今回、活動内容を中長期の「布教活動」に変更する必要があるのか、その合理的な理由を証明することが困難になります。

 

3. 最適な対応策とアドバイス

この状況で最も推奨される対応は、「不許可理由の推定と解消」です。

  1. 1.不許可理由の推定:
    • 活動目的の明確化: 短期滞在の目的が曖昧でなかったか(訪問先や日程が不明瞭など)を再確認します。
    • 第三者による再申請: 今回の申請が不許可となったことで、次回は日本の国会議員、宗教界の有力者、または極めて信頼性の高い機関などを招へい人として立て、招へい理由書を作成してもらうことを検討します。これにより、申請の「信憑性」と「必要性」を最大限に補強します。
  2. 2.「宗教」ビザでの申請を検討する場合:
    • 「宗教」ビザを申請する前に、日本の受け入れ側の宗教団体が、中長期の布教活動を受け入れる体制と、宗教家を安定的に扶養するだけの経済力があることを完全に整える必要があります。
    • また、過去の政治的背景が問題視されていると推測される場合は、その活動が日本国内で政治的・社会的な混乱を引き起こす可能性がないことを、日本の受け入れ側が誓約書などで保証することも必要になるでしょう。

安易に「宗教」ビザに変更するのではなく、まずは短期滞在の再申請に向け、有力な身元保証人招へい人を立て、入管が懸念する点を解消する対策を講じることを強くお勧めします。