質問内容)
① 相談種別:日本人の配偶者等ビザからの変更
② 申請種別:在留資格変更許可申請
③ 状況概要:イタリア国籍のジュリアです。2021年来日、2023年12月に日本人夫と婚姻(婚姻期間1年10か月、同居中)。夫の酒癖が悪く身の危険を感じているため離婚を希望。子どもなし。安定した仕事があり、生活基盤、納税、日本語能力に問題はありません。
④ 質問:現在、「日本人の配偶者等」の在留資格ですが、夫の酒癖によるDVに準じる理由で離婚を考えています。婚姻期間が3年未満であり、子どももいないため、「定住者」への変更は難しいと認識していますが、離婚理由がDVに準じる場合、許可が出る可能性はわずかでもあるのでしょうか。
行政書士からの回答とアドバイス
ジュリアさん、ご相談ありがとうございます。非常に切実な状況であり、精神的なご負担が大きいこととお察しいたします。
結論から申し上げますと、ジュリアさんのように婚姻期間が短く、養育すべき未成年の子どもがいないケースでの「定住者」への変更申請は、極めてハードルが高いのが実情です。
しかし、DV等の特別な事情がある場合、可能性がゼロではないため、具体的な状況を踏まえて解説いたします。
1. 定住者への変更が困難な理由(原則)
「定住者」の在留資格は、法務大臣が特別な理由を考慮して日本での在留を認めるもので、特に日本人配偶者との離婚後については、以下の要件が重視されます。
- 婚姻・在留の継続性: 日本での生活基盤が、婚姻によって築かれたものであり、その基盤を維持する「継続性」が求められます。一般的に、3年以上の婚姻・在留期間が一つの目安となります。
- 家族・人道上の配慮: 申請人が日本人との間に未成年の子どもを養育している場合など、人道的な配慮が必要な状況が最も許可されやすいケースです。
ジュリアさんは、婚姻期間が3年未満であり、養育すべき子どもがいないという点で、原則的な定住者許可の要件を満たしていません。
2. DV等、特別な事情がある場合の可能性
ご指摘の通り、離婚の原因が配偶者の「酒癖が悪いことによるDV(ドメスティック・バイオレンス)に準じる身の危険」であるという点は、人道上の配慮を求める上で重要な要素となります。
- 許可の可能性: わずかですが、可能性はあります。過去には、婚姻期間が短くても、DVが原因で離婚に至ったと認められ、他に安定した生活基盤がある場合(仕事、経済力、日本語能力など)に定住者への変更が許可された事例は存在します。
- 求められる立証: 許可を得るためには、「身の危険」を感じたという事実、つまりDVまたはそれに準じる行為があったことを客観的な証拠をもって立証しなければなりません。
【定住者への変更に必要な立証資料】
- 1.離婚の経緯を説明する詳細な上申書: 夫の酒癖による具体的な被害、恐怖を感じた状況を詳細に記述します。
- 2.客観的な証拠(最も重要):
- 警察への相談記録や被害届(DVが認められれば最も有力)
- 病院の診断書(怪我など身体的被害があった場合)
- 配偶者暴力相談支援センターなど公的機関への相談記録
- 親族、友人、会社の同僚などの証言書(信憑性の高いもの)
3. 行政書士としての最も現実的なアドバイス
定住者への変更にトライしたいというご希望は承知しましたが、不許可になるリスクが高く、その場合、再び在留資格の再申請や出国準備に追われることになります。
最も現実的かつ安全な選択肢は「技術・人文知識・国際業務(技人国)」への変更申請に戻すことです。
【技人国への変更を推奨する理由】
- ジュリアさんは安定した仕事と経済力をお持ちのため、現職の会社での職務内容が「技人国」の要件(専門性・学歴)を満たしていれば、許可の可能性が非常に高いです。
- 定住者への変更が不許可となった場合、精神的・時間的な負担が大きくなります。安定した就労資格を確保してから、次のステップを考える方が賢明です。
4. 今後の手順とアドバイス
- 1.技人国の要件確認:まず、現在の仕事が「技人国」の要件を満たしているか、会社と確認し、速やかに変更準備を進めてください。
- 2.証拠の収集:離婚を切り出す前に、夫の酒癖による身の危険を感じた客観的な証拠を可能な限り集めてください。これは、将来、定住者に再トライする場合や、DVを理由とした離婚を有利に進める上で不可欠です。
- 3.専門家との綿密な連携:定住者への変更にトライする場合、個別の事情を総合的に判断し、最大限の立証を行う必要があります。ご希望であれば、DVに関する立証活動も含めて、申請の方向性を専門家(行政書士)と綿密に打ち合わせることを強くお勧めします。
※ 本記事は記事公開時点の情報に基づいて作成されています。最新の情報は必ず出入国在留管理庁の公式ウェブサイト等でご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースに対する法的なアドバイスではありません。具体的な手続きや判断については、必ず専門家にご相談ください。
