定住ビザFAQ

定住ビザ

60歳日系三世。預貯金があれば「定住者」で来日・起業できる?

  • 5月 28 2026
  • FESO

質問内容)

① 相談種別: ビザ(日系人・起業)

② 申請種別: 在留資格認定証明書交付申請(「定住者」告示5号)

③ 状況概要: 台湾在住のチーミンと申します(60歳)。私は「台湾日系三世(日本人の孫)」にあたります。将来的に日本へ移住し、日本で会社を設立して水産関係の貿易事業を経営したいという夢を持っています。 ただ、現在の段階ではビザの「経営・管理」の厳しい新基準(資本金や規模など)をクリアすることが難しい状態です。そこで、日系三世としての「定住者」ビザでの来日を検討しています。日本での雇用(就職先)が決まっているわけではありませんが、自分名義のある程度の預貯金はあります。

④ 質問内容:

1. 日本での雇用予定がない場合でも、十分な預貯金があれば「定住者(告示5号)」のビザで日本に呼ぶ(認定申請する)ことは実務上可能でしょうか?

2. もし預貯金での申請が可能な場合、単身での来日であれば、具体的にどれくらいの金額(預貯金額)が目安として必要になりますか?

 

行政書士からの回答)

チーミン様、ご相談ありがとうございます。60歳にして日本での新しいビジネス、それも水産貿易というスケールの大きな事業に挑戦されるお気持ち、本当に素晴らしいですね。日系人としてのルーツを活かした日本への帰還を、専門家として全力でナビゲートいたします。

結論から申し上げますと、日本での雇用予定(就職先)がなくても、十分な資産(預貯金等)を証明できれば、定住者ビザ(告示5号)での来日申請は十分に可能です。そして、このルートはチーミン様にとって「最高の選択肢」になります。

なぜこの方法が有利なのか、そして入管を納得させるために必要な預貯金の目安額や注意点を詳しく解説します。

 

1. なぜチーミン様にとって「定住者」が最強のビザなのか

チーミン様が「経営・管理」ビザをあきらめ、「定住者」を狙うのは実務上、極めて賢明な判断です。

  • 就労制限が「一切なし」: 「経営・管理」ビザであれば、資本金3,000万円(※2025年改正法)やオフィス要件、役員報酬の縛りなど、経営者として常に厳しい監視を受けます。しかし、「定住者」ビザは身分に基づく資格であるため、日本国内での活動に制限がありません。
  • 自由に起業できる: 定住者ビザさえ取得してしまえば、サラリーマンとして働いてもいいですし、ご自身の希望通り「資本金1円からでも、自宅兼事務所からでも」自由に水産貿易会社を設立して社長になることができます。 つまり、起業のハードルが劇的に下がります。 

 

2.【質問1】雇用予定なし・預貯金のみでの申請は可能か? 

可能です。ただし、入管の「生計維持要件」をクリアする必要があります。

定住者告示5号の審査では、「日本に上陸したあと、生活保護などを受けずに自立して暮らしていけるか」という点が厳しく見られます。通常は「日本の会社からの内定通知書(雇用契約書)」を出して証明しますが、これが無い場合は「自分自身の資産(貯金や本国の不労所得)だけで、日本で一生、または長期間暮らしていけること」を証明しなければなりません。

チーミン様は60歳という年齢でもありますので、入管は「日本に来てからすぐに貯金が底を突いて、生活困窮者になるのではないか」という点を最も懸念します。

 

3.【質問2】必要な預貯金の「実務上の目安額」

入管法において「〇〇万円あれば許可する」という明確な基準額は公表されていません。しかし、実務上、就職先がない単身者が資産だけで生計要件を通す場合の目安は以下のようになります。

  • 最低限必要な目安額: 1,500万円 〜 2,000万円以上(日本円換算)
  • なぜこの金額なのか: 単身者が日本で1年間普通に暮らすための生活費を約200万〜300万円と仮定します。ビジネスが軌道に乗るまでの「数年間(3〜5年)の生活費」に加え、チーミン様の場合は「会社設立・貿易事業の初期投資資金」が別途必要になります。これらを合算すると、ミニマムでも1,500万円以上の手元資金があることを示さなければ、入管を安心させることはできません。

⚠️ 重要なのは「金額」だけでなく「資金の質」

一時的に知人から借りて口座に入れたような「見せ金」は、入管の調査ですぐに見破られます。

  • 台湾の口座で「どのようにしてその資産を形成したのか」(過去の仕事の給与蓄積、不動産売却益、本国でのビジネスの利益など)という、資金の出所(形成過程)を過去数年間の通帳の推移などで証明することがセットで求められます。

 

4. 審査を有利に進めるための「2つのプラスアルファ」

チーミン様が「預貯金」に加えて、以下のような資料を提出できれば、許可の可能性は跳ね上がります。


① 本国(台湾)からの継続的な不労所得の証明

もし台湾に不動産を持っていて毎月家賃収入がある、あるいは本国の会社の株主として配当金がある、台湾の年金受給が始まっているなどの場合、それらの証明書を出します。「貯金を切り崩すだけではなく、日本にいながら毎月定期的にお金が入ってくる構造」を示すのは非常に強力です。

② 「水産貿易ビジネス」の簡易的な事業計画書

「就職予定はないが、日本に来たらすぐにこの計画で会社を設立し、台湾と日本の間でこれだけの売上を立てる予定だ」というビジネスプラン(事業計画書)を任意で添付します。これにより、ただの高齢リタイア移住ではなく、「日本経済に貢献しに来る活動的な日系人である」というポジティブなアピールになります。

 

5.  行政書士からのメッセージ 

チーミン様、日系三世という血縁関係は、日本政府が法律で認めた非常に強い結びつきです。「経営・管理ビザの要件が満たせないから」と日本への移住を諦める必要は全くありません。

60歳というご年齢での単身来日、かつ起業希望というケースは、入管も「本気度」を試してきます。書類の並べ方や理由書の書き方一つで、結果が「一発許可」になるか「書類不備で不許可」になるかが大きく分かれる繊細な案件です。

まずは、チーミン様が台湾で築いてこられた資産の総額を整理し、日系三世であることを証明するための「戸籍関係書類(おじい様やおばあ様の日本の除籍謄本など)」が手元に揃うか確認することから始めましょう。夢の実現に向けて、一歩を踏み出してみませんか?

※ 本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成されています。日系人の生計維持能力に関する入管の審査は、申請者の年齢やこれまでの経歴、資産の形成過程に応じて個別に厳格な判断が下されます。

 

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