定住ビザFAQ

定住ビザ

夫は定住者、でも妻は就労ビザ。病気で働けなくなったら定住ビザに切り替えられる?

  • 6月 25 2025
  • FESO

質問内容)

①相談種別:在留資格
②申請種別:変更
③状況概要: はじめまして、行政書士の先生。私はコロンビア国籍のマリアナ(38歳)と申します。夫はブラジル国籍で、彼は日本で製造業の仕事に長く従事しており、数年前に定住ビザを取得しました。私は「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザで、企業で通訳として働いています。夫婦とも日本での生活は15年以上になります。 しかし、ここ数ヶ月体調が優れず、検査の結果、長期的な治療が必要な難病と診断されました。今の仕事(企業での通訳)を続けることが難しく、今後働けなくなる可能性が高いと言われています。夫は心配してくれていて、私が日本で安心して治療を受け、生活できるようにしてあげたいと言っています。
④質問: 夫が定住ビザを持っているのですが、私が難病で働けなくなり、現在の就労ビザでの活動ができなくなる可能性があります。このような場合、私自身の就労ビザから定住ビザへ変更することは可能でしょうか?また、申請する上で特に注意すべき点はありますか?

回答
マリアナさん、この度は大変お辛い状況でのご相談、心よりお見舞い申し上げます。難病の診断を受けられ、今後の在留資格についてご不安なことと存じます。ご主人が定住ビザをお持ちの状況で、マリアナさんが就労ビザから定住ビザへの変更を希望されるケースについて、詳しくご説明させていただきます。

1. 就労ビザから定住ビザへの変更の可能性について
結論から申し上げると、マリアナさんが現在の就労ビザから定住ビザ(定住者告示5号ロ「日系2世・3世である定住者の配偶者」)への変更申請を行うことは可能です。 そして、ご主人が定住ビザをお持ちであること、マリアナさん自身も日本での在留期間が長く、かつ難病の治療が必要であるという状況は、定住ビザへの変更が認められる可能性を秘めています。
定住ビザは、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を認める在留資格であり、その許可は法務大臣の裁量によるところが大きいです。ご主人が定住者である場合、その配偶者であるマリアナさんが定住ビザを申請する根拠となり得ます。

2. 申請で特に重視されるポイント
今回のケースで定住ビザへの変更が許可されるかどうかは、以下の点が特に重視されます。
夫婦の婚姻の安定性・継続性:


夫婦関係が真実かつ安定して継続していることが最も重要です。
これまでの婚姻期間、同居実績、夫婦としての生活実態を示す必要があります。
マリアナさんご自身も15年以上日本に在留されており、安定した生活を築いていると判断されるでしょう。
ご主人の定住者としての生計維持能力:


マリアナさんが就労できなくなることから、ご主人の生計維持能力が極めて重要になります。
ご主人の現在の収入、安定性、過去の納税状況、年金・社会保険の納付状況などが厳しく審査されます。
夫婦二人分の生活費を安定して賄えるだけの経済力があることを、預貯金残高証明書、納税証明書、課税証明書などで具体的に証明する必要があります。
マリアナさんの病状の深刻度と日本での治療の必要性:


診断された難病の深刻度、長期的な治療が必要であること、そしてその治療を日本で継続する必要性があることを、医師の診断書や治療計画書などで具体的に示す必要があります。
もし、日本でなければ受けられない治療や、母国での治療が困難であるといった事情があれば、それを明確に説明することが重要です。
人道上の配慮の必要性:


マリアナさんの病状が、日本での生活に大きな影響を与え、かつ日本での治療が不可欠である場合、人道的な配慮が必要であると判断される可能性があります。
ご主人が定住者であり、マリアナさんの日本での生活を全面的に支える体制が整っていることも、人道的な配慮の必要性を補強する要素となります。

3. 申請に必要な書類と注意点
一般的に、在留資格変更許可申請には以下の書類が必要ですが、今回のケースでは特に以下の書類を充実させる必要があります。
在留資格変更許可申請書
パスポート、在留カード
夫婦の婚姻関係を証明する書類: 戸籍謄本(日本人と結婚している場合)、婚姻証明書など。
夫婦の身分を証明する書類: マリアナさんの出生証明書、ご主人の出生証明書など。
夫婦の同居を示す書類: 住民票、世帯全員の住民票など。
ご主人の生計維持能力を証明する書類:
在職証明書、給与明細、源泉徴収票
納税証明書(直近数年分)
課税証明書(直近数年分)
預貯金残高証明書
年金・社会保険の納付状況を証明する書類
マリアナさんの病状を証明する書類:
医師の診断書: 病名、発症時期、病状の深刻度、予後、今後の治療計画、長期的な治療の必要性、就労が困難であることなどを具体的に記載してもらう。
治療計画書: どのような治療が予定されているか、期間、費用など。
通院歴や投薬履歴を示す書類: 治療の実態を示すもの。
変更の理由を詳細に説明する「理由書」:
なぜ現在の就労ビザでの活動を継続できないのか、病状がどれほど深刻なのかを説明します。
ご主人が定住者であること、夫婦で日本での生活基盤が安定していること、日本での治療が不可欠であることなどを強調します。
日本で安心して生活・治療するために定住ビザが必要であるという切実な理由を丁寧に記述します。
ご主人の「身元保証書」: ご主人がマリアナさんの日本での生活を全面的に支えることを誓約する書類です。
特に注意すべき点:
病状に関する客観的な証明: 医師の診断書は非常に重要です。病状が就労を困難にするレベルであることを明確に記載してもらいましょう。
経済的扶養の明確化: マリアナさんが働けなくなることで、ご主人の収入だけで世帯の生計が維持できることを、具体的な数字と根拠で示す必要があります。また、健康保険法上の傷病手当金の申請により最大1年6か月の期間、給与の約67%の手当金が受給可能である旨の説明も有効な補強となるでしょう。
在留期間の残期間: ビザの期限が近づいている場合は、早急に申請手続きを開始してください。期限切れ間際になると、不許可になった場合の選択肢が限られてしまいます。
虚偽の申告は厳禁: 事実を隠したり、虚偽の申告をしたりすることは絶対に避けてください。発覚した場合、不許可になるだけでなく、今後の日本での在留が極めて困難になります。

4. 申請が不許可になった場合の対応
万が一、定住ビザへの変更申請が不許可になった場合でも、再申請や他の選択肢を検討することが可能です。
不許可理由の確認: まず、入管に不許可理由を詳しく確認することが重要です。
不許可理由の解消と再申請: 不許可理由を解消できる場合は、補強資料を準備し、再申請を検討します。
特定活動ビザの可能性: 極めて困難な状況ですが、ご主人が定住者であり、かつマリアナさんの病状が重く人道的な配慮が必要であると判断される場合、まれに「特定活動」ビザが認められる可能性もゼロではありません。しかし、これは非常に限定的なケースです。

まとめとマリアナさんへのアドバイス
マリアナさんの場合、ご主人が定住ビザをお持ちであること、ご自身も長年の日本での在留実績があること、そして難病という人道的な事情があることから、就労ビザから定住ビザへの変更が認められる可能性は十分にあります。
しかし、病状の証明、ご主人の生計維持能力、そして理由書での丁寧な説明が不可欠です。ご自身での申請も可能ですが、申請に係る重要なポイントは複数個所存在しておりますので、私たち行政書士のような入管手続きの専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。
専門家は、マリアナさんの状況を詳細にヒアリングし、最も説得力のある書類作成、理由書や医師の診断書の内容に関するアドバイス、そして入管とのやり取りのサポートを通じて、許可の可能性を最大限に高めるお手伝いをさせていただきます。
どうぞご無理なさらず、まずは体調を第一にしてください。日本で安心して治療を受け、ご夫婦で穏やかに生活できるよう、私たちも精一杯サポートさせていただきます。

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