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永住権の審査に「年齢」は大きく影響する?高齢での申請は不利になるのか、専門家が解説

作成者: FESO|Oct 10, 2025 1:52:54 AM

永住ビザの取得を目指す皆さんにとって、審査の基準は最大の関心事でしょう。「日本に10年以上住んでいるか」「安定した収入があるか」といった要件は明確ですが、実は多くの方が気にするのが、「申請時の年齢」です。

「もう50歳を超えているけど、永住は不利になる?」 「若い方が有利って本当?」

この記事では、永住権の審査において年齢がどのような判断要素となるのか、その実態と入国管理局(入管)の基本的な考え方について、行政書士の視点から解説します。

 

1. 永住審査における「年齢」は直接的な要件ではない

結論から申し上げますと、永住ビザの要件には「何歳以下であること」といった直接的な年齢制限の規定はありません。

しかし、年齢は「安定した生活を送れる見込み」を判断する上で、他の要件と組み合わさることで、間接的かつ複合的に影響を与える要素となります。

入管が年齢を考慮する際の基本的な視点は、「将来にわたって国や地方自治体に負担をかけず、自立して生活できるか」という点です。

 

2. 年齢が「間接的に」影響する二つの主要な要素

年齢が高い方が審査に苦戦しやすいと言われる背景には、主に以下の二つの重要な審査項目との関連性があります。

(1) 「独立の生計を営むに足りる資産又は技能」の証明

この要件は、将来生活保護などに頼らず自立できるかを見るものです。年齢が高くなるほど、「定年後の生活」や「年金」が重要な判断材料となります。

  • 若年層(20代〜40代)の場合:
    • 重視される点: 現在の継続的な収入今後のキャリアの見込みです。年齢的に定年まで時間があるため、現在の収入が安定していれば、将来的に問題ないと判断されやすいです。
    • 影響: 申請時の年収や納税状況が良好であれば、年齢が若いことは基本的に有利に働きます。
  • 高齢層(50代後半〜定年退職後)の場合:
    • 重視される点: 年金受給資格貯蓄・資産です。定年を控えている場合や、すでに退職している場合は、年金収入と十分な貯蓄(一般的に数千万円以上)があるか、あるいは資産(持ち家など)があるかを入管は厳しくチェックします。
    • 影響: 収入源が途絶えるリスクがあるため、年金受給の見込み退職後の明確な生活設計を具体的に示す必要があり、その証明が難しいと審査で不利になる可能性があります。

(2) 「公的義務の履行」と「社会保険料」の納付

  • 高齢層特有のリスク: 特に50歳以上で申請する場合、国民年金への加入期間や納付状況がより厳しく見られます。日本の年金制度のルール上、若いうちに加入を怠っていた期間があると、高齢になってからの「追納」では間に合わない、あるいは不十分と見なされるケースがあります。
  • 影響: 過去に未納期間がある場合、高齢での申請は「日本の社会保障制度に依存するリスクが高い」と判断され、不許可につながる重大な要因となります。

 

3. 高齢でも永住許可を勝ち取るための戦略

年齢を理由に永住を諦める必要は全くありません。特に高齢での申請を目指す方は、以下の戦略で審査を有利に進めましょう。

  1. 1.経済的な安定性の証明を強化する:
    • 年金記録の提出: 年金事務所で「年金定期便」などを取得し、将来受け取れる年金額の見込みを明確に示します。
    • 預金残高証明書の提出: 貯蓄や資産が十分にあり、年金受給開始前や年金が少ない期間も自立して生活できることを証明します。
    • 持ち家・不動産の証明: 持ち家がある場合は、生活費の大きな部分である家賃の負担がないことをアピールできます。
  2. 2.公的義務の履行は完璧にする:
    • 過去の年金や健康保険料の納付状況を確認し、未納期間があれば必ず追納するなど、完璧な状態にしてから申請に臨んでください。
  3. 3.社会貢献度をアピールする:
    • 長年の在留歴や納税実績に加え、地域活動やボランティア活動など、日本社会への貢献を示す資料があれば、プラス評価につながります。

 

まとめ:年齢は「審査材料」だが「不許可理由」ではない

永住ビザの審査において年齢は、直接的な要件ではありませんが、経済的な安定性や公的義務の履行という核心的な要件を判断するための重要な材料となります。

特に高齢での申請は、定年後の生活設計をいかに明確に、そして安定的に示せるかが成功の鍵となります。日本の現状でいえば、基本的には支える側の構成員を増やし、支えられる側を増やしたくないという本音が、審査に影響を与えないとは言い切れません。そのため「お金」と「年金」に関する書類を徹底的に準備し、「私は将来も日本社会に負担をかけません」という強いメッセージを入管に伝えることが重要です。

もし、ご自身の年齢と経済状況で永住申請が可能か不安な方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽に私たち行政書士にご相談ください。あなたの状況に合わせた最適な戦略を立て、永住という夢の実現を全力でサポートさせていただきます。