日本の永住ビザ(永住者の在留資格)は、多くの外国人にとって憧れのステータスです。期間の制限なく日本に住み続けられ、就労活動も自由、社会的な信用も高い。しかし、人生は予測不能なものです。家庭の事情、母国への帰還、別の国への移住など、様々な理由で「もう日本に住まない」「永住ビザを維持する必要がなくなった」と考える時が来るかもしれません。
「せっかく取得した永住ビザだけど、もういらない…」 「日本を離れることになったけど、永住ビザはどうなるの?」
この記事では、日本の永住ビザを「キャンセル」したい、あるいは日本を離れることになった際に、どのような手続きが必要になるのか、そして知っておくべき注意点について、行政書士の視点から詳しく解説します。正確には「キャンセル」という手続きは存在しませんが、永住ビザを維持しない、または手放すための方法を見ていきましょう。
「永住ビザをキャンセルする」という直接的な手続きは、日本の入管法には明記されていません。しかし、実質的に永住者の在留資格がなくなる状況はいくつか存在します。主なケースは以下の通りです。
これらのケースについて、詳しく見ていきましょう。
これは、最も能動的に永住ビザを手放したいと考える場合の選択肢です。
明示的に「永住者の在留資格を放棄する」という手続きは定められていませんが、実務上は、「在留資格の変更(永住者から別の在留資格へ)」を行う方法は考えられますが、永住者から他の在留資格に変更することは想定されておりませんので、個別判断によるところとなります。或いは「再入国許可を得ずに出国する」ことで、永住者の地位を失うことになります。
ただし、日本の入管庁に対して、明確に「永住者としての地位を放棄したい」旨を申し出ることは可能です。この場合、法務大臣がその申し出を受理し、在留資格を取消す形になる可能性があります。ただし、これは非常に稀なケースであり、通常は以下の「再入国許可の失効」や「再入国許可を取得せずに出国する」方法が実質的な放棄となります。
これが、永住ビザを「キャンセル」する最も一般的で、かつ意図的に行われる方法です。
日本の永住者であっても、一度日本から出国すると、原則として再入国許可(またはみなし再入国許可)が必要です。
注意点:
永住者であっても、在留カードには有効期限があり、原則として7年ごと(16歳未満の場合は16歳の誕生日まで)に更新する義務があります。
在留カードの有効期限が切れる前に更新手続きを行わなければ、その有効期限を過ぎた時点で永住者の在留資格は失効します。
注意点:
これは、あなたの意思に反して永住ビザを失うケースです。
日本国籍を取得すると同時に現在の国籍を離脱することになります。つまり外国籍ではなくなりますので、在留資格を保持することができなくなります。帰化の日から14日以内に,法務大臣に対して在留カード又は特別永住者証明書を返納しなければなりません(出入国管理及び難民認定法19条の15,日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法16条)。返納方法につぃては,住居地を管轄する地方出入国在留管理局・支局、出張所に直接持参し,帰化者の身分証明書の写しを添えて返納していただくか,帰化者の身分証明書の写しを同封の上,下記の返納先に送付して返納してください。期限内に返納しないと罰金に処せられることがあります。なお,在留カード又は特別永住者証明書とみなされてぃる外国人登録証明書についても同様です。
永住ビザを手放すということは、単に手続きを終えること以上の意味を持ちます。
永住ビザは、あなたが日本で培ってきた努力と信頼の証です。それを手放すことは、人生の大きな転換点となるでしょう。
もし、家庭の事情などで日本を離れることになり、永住ビザを維持する必要がなくなったと感じた場合は、安易な自己判断は避け、必ず専門家にご相談ください。 特に、再入国許可の期限管理は非常に重要です。
私たち行政書士は、永住ビザの取得サポートはもちろん、日本での生活環境の変化に伴う在留資格に関するご相談にも対応しております。永住ビザを維持すべきか、それとも手放すべきか、ご自身の状況に合わせた最適な選択をするためにも、ぜひ一度、お気軽にご連絡ください。あなたの日本での、そしてこれからの人生における選択を、全力でサポートさせていただきます。