日本人配偶者ビザが許可された時、「これで一安心!」と胸をなでおろした方も多いのではないでしょうか。初めてのビザが1年でも、3年でも、とにかく日本で夫婦として暮らせる喜びはひとしおですよね。
しかし、「ビザ取得=ゴール」ではありません。その後も数年ごとの「更新」手続きが待っています。そして、多くの国際結婚カップルが目標とするのが、次の更新で「3年ビザ」、さらにその先には「5年ビザ」や「永住権」です。
「なんで私はいつも1年ビザしかもらえないんだろう?」 「次は確実に3年ビザが欲しい!」
このように感じている方のために、この記事では、日本人配偶者ビザの更新で「3年ビザ」をもらうために、入国管理局(入管)が「夫婦生活の質」をどう見ているのか、そしてそれを証明するための"賢い夫婦生活"術を行政書士の視点から詳しく解説します。
1. なぜ「1年ビザ」しかもらえないことがあるのか?—入管が疑う「夫婦生活の不安定さ」
日本人配偶者ビザの更新時に、再び1年ビザしか許可されない場合、入管は「まだ夫婦生活が安定しているとは言えない」と判断している可能性が高いです。具体的には、以下の点が「不安定さ」と見なされることがあります。
- 収入の不安定さ: 夫婦の収入が低い、または安定していない場合。特に扶養家族がいる場合はより厳しく見られます。
- 納税・社会保険料の未履行: 税金や年金・健康保険料の支払いが遅れている、または未納がある場合。これは「公的義務の履行」として非常に重視されます。
- 同居の実態が薄い: 夫婦が別居している、あるいは同居していても、生活状況から見て夫婦としての実態が乏しいと判断される場合。
- 夫婦間のコミュニケーション不足: 入管への質問書の回答や面談の際に、夫婦間のコミュニケーションが不足していると感じられる場合。
- 過去の在留状況の問題: 過去に交通違反があったり、ビザ更新をギリギリで行っていたりするなどの問題。
これらの問題が一つでも当てはまると、入管は「この夫婦の生活はまだ不安定で、長期の在留資格を与えるのは適切ではない」と判断する可能性があります。
2. 「3年ビザ」をもらうためのカギ!入管が見ている「夫婦生活の安定性と継続性」
入管が3年ビザを許可する際に最も重視するのは、**「夫婦の結婚生活が安定的かつ継続的に営まれており、今後もそれが続いていく見込みがあるか」**という点です。これは、単に「結婚している」という事実だけでなく、日々の生活の質を通じて証明していく必要があります。
具体的には、以下のポイントが入管の審査官の「判断基準」となります。
(1) 経済的な安定性:夫婦の収入と「公的義務の履行」
- 安定した世帯収入: 夫婦合わせて、扶養家族を含め、日本で安定した生活を送るに足る十分な収入があること。特定の金額基準はありませんが、例えば年収300万円以上(扶養家族がいればそれ以上)が目安とされることが多いです。
- 納税義務の確実な履行: 所得税、住民税、消費税などを期限内に確実に納めていること。納税証明書や課税証明書で確認されます。
- 社会保険(年金・健康保険)の加入と支払い: 夫婦ともに社会保険に加入し、保険料を滞りなく支払っていること。特に、国民年金や国民健康保険は支払いが遅れがちになることもあるため注意が必要です。
- 賢い生活術: 納税や社会保険料の支払いは、銀行口座からの自動引き落とし(口座振替)に設定するなど、支払い忘れを防ぐ工夫をしましょう。また、定期的に支払い状況を確認することも大切です。
(2) 夫婦関係の真実性:同居とコミュニケーションの「実態」
- 同居の実態: 原則として、夫婦は同じ家で生活している必要があります。住民票上の住所だけでなく、実際に同居していることが重要です。
- 円満な夫婦関係: 夫婦間のコミュニケーションが良好で、お互いを支え合っていることが確認できること。質問書への回答の整合性や、場合によっては面談で夫婦関係について聞かれることもあります。
- 賢い生活術:
- 夫婦の絆を証明する写真を撮る: 普段の生活、旅行、友人や家族との交流など、夫婦一緒に写っている写真を定期的に撮り、日付も記録しておきましょう。
- コミュニケーションを大切に: 日々の会話はもちろん、LINEやSNSのやり取りなども、夫婦関係を証明する証拠となり得ます。
- 家計を共有する: 夫婦の収入や支出を共有し、家計を協力して管理していることも、生活の安定を示すプラス要素になります。
(3) 日本社会への適応と貢献:地道な生活の積み重ね
- 交通ルールなどの遵守: 軽微な交通違反であっても、繰り返していると「素行が善良でない」と判断されるリスクがあります。日頃から交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。
- 地域活動への参加(任意): 地域の清掃活動、お祭り、ボランティア活動などに参加することも、日本社会への適応や貢献を示す良い機会となります。これは必須ではありませんが、プラスの評価につながることもあります。
- 賢い生活術: 日本語能力の向上も、日本社会への適応度を示す重要な要素です。日本語学習を継続し、日常生活や仕事での日本語能力を積極的に使いましょう。
3. 「3年ビザ」をもらうための"賢い夫婦生活"実践リスト
これらのポイントを踏まえ、今日からできる"賢い夫婦生活"術をリストアップしました。
- 家計管理の徹底: 夫婦の収入と支出を明確にし、無理のない生活設計を立てる。
- 公的義務の確実な履行: 税金と社会保険料は、期限内に必ず支払う。領収書は大切に保管し、支払い状況を定期的に確認する。
- 住民票の住所と実際の居住地の一致: 引っ越したら速やかに役所で手続きし、入管にも変更を届け出る。
- 夫婦間のコミュニケーションを密にする: 日々の会話、共通の趣味、一緒に出かける時間などを大切にする。
- 「愛の証拠」を日常から記録する: 夫婦一緒に写った写真、旅行のチケット、家族や友人との交流の記録などを残す。
- 交通ルール・日本の法律を遵守する: 違反は絶対にしないよう心がける。
- 日本語学習を継続する: 日常会話だけでなく、役所や銀行での手続きもスムーズにできるレベルを目指す。
- 不安があればすぐに相談する: 夫婦間で解決できない問題や、ビザに関する疑問があれば、私たち行政書士のような専門家に早めに相談する。
まとめ:ビザ更新は「夫婦の協力」が鍵
日本人配偶者ビザの更新で「3年ビザ」を勝ち取ることは、単なる書類上の手続きではありません。それは、夫婦が共に力を合わせ、日本で安定した生活を築き、その証拠を入管に提示する「共同作業」です。
日々の生活の中で、経済的な安定、公的義務の履行、そして夫婦関係の真実性をしっかりと積み重ねていくこと。これが、あなたの日本人配偶者ビザをより安定させ、将来の永住権取得にも繋がる、最も重要な「賢い夫婦生活」術です。
もし、ご自身のビザ更新にご不安がある方、次の更新で確実に3年ビザを目指したい方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽に私たち行政書士にご相談ください。お二人の日本での幸せな未来をサポートさせていただきます。