
国際結婚をされた方が、海外に住む配偶者を日本に呼び寄せて一緒に暮らすためには、「日本人の配偶者等」の在留資格(通称:配偶者ビザ)を取得する必要があります。しかし、その手続きは日本国内での申請とは異なり、いくつかのステップと注意点があります。
この記事では、海外在住の配偶者を日本に呼び寄せるための配偶者ビザ申請の流れを詳しく解説し、スムーズな手続きのために重要な注意点をお伝えします。
ステップ1:日本側の準備 - 在留資格認定証明書交付申請
海外にいる配偶者のために、まず日本にいる配偶者(日本人)が、日本の入国管理局に対して「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請を行います。これは、海外にいる配偶者が日本に入国するための「入国許可証」のようなものです。
必要な書類(日本側の配偶者が準備する主なもの)
- 在留資格認定証明書交付申請書: 入国管理局のウェブサイトからダウンロードできます。
- 日本人の戸籍謄本: 結婚の事実が記載されているもの。
- 日本人の住民票: 世帯全員が記載され、続柄、本籍地の記載があるもの。
- 配偶者(外国人)の婚姻証明書: 本国の機関が発行したもので、日本語訳が必要です。
- 夫婦の顔写真: 最近3ヶ月以内に撮影されたもの。
- 質問書: 夫婦の出会い、結婚に至る経緯、同居状況などを詳しく記載する書類。
- 夫婦間のコミュニケーションを証明する資料: 写真、手紙、メール、SNSのやり取りの履歴など。
- 日本人の配偶者の身元保証書: 経済状況などを証明する書類(在職証明書、収入証明書、納税証明書、預金残高証明書など)とともに提出します。
- 住居に関する資料: 賃貸契約書、持ち家の登記簿謄本など。
- その他、入国管理局が個別に求める書類
重要な注意点:
- 書類は原本を提出するのが原則です。 外国語の書類には、必ず日本語訳(翻訳者の氏名明記)を添付してください。オンライン申請の場合は、PDFなど写しでも申請可能です。
- 申請書や質問書は、正直かつ詳細に記入することが重要です。 不自然な点や矛盾があると、審査に時間がかかったり、不許可になる可能性があります。
- 身元保証人は、日本に住所を有し、安定した収入があることが求められます。
ステップ2:海外側の準備 - 在留資格認定証明書の受領と査証(ビザ)申請
日本の入国管理局で在留資格認定証明書が交付されたら、日本にいる配偶者から海外にいる配偶者へ送付します。海外にいる配偶者は、その在留資格認定証明書を持って、日本国大使館または総領事館で査証(ビザ)の申請を行います。
必要な書類(海外側の配偶者が準備する主なもの)
- 査証申請書: 日本大使館・総領事館のウェブサイトからダウンロードできるか、窓口で入手できます。
- パスポート: 有効期間が十分に残っているもの。
- 写真: 最近3ヶ月以内に撮影された、指定のサイズのもの。
- 日本から送付された在留資格認定証明書(原本)
- 配偶者の国の機関が発行した婚姻証明書: 日本語訳を添付します。
- その他、日本大使館・総領事館が個別に求める書類
重要な注意点:
- 査証申請の際には、日本大使館・総領事館の指示に従って書類を準備し、申請を行ってください。 必要書類や手続きは、国や地域によって異なる場合があります。
- 在留資格認定証明書が交付されても、必ず査証が発給されるとは限りません。 日本大使館・総領事館での審査も行われます。
- 面接が行われる場合もあります。
ステップ3:日本への入国
無事に査証が発給されたら、配偶者はその査証を使って日本に入国します。入国審査の際には、パスポートと査証を提示し、入国審査官の指示に従ってください。
ステップ4:日本での手続き - 在留カードの交付と住所登録
日本に入国後、速やかに市区町村役場で外国人登録(現在は在留カードへの切り替えと住所登録)の手続きを行う必要があります。これにより、配偶者は日本での正式な在留資格と住所を持つことになります。
スムーズな申請のための重要な注意点
- 正確な情報提供: 申請書類には、事実に基づいた正確な情報を記載してください。虚偽の記載は不許可の原因となります。
- 十分な証拠の提出: 夫婦関係の真実性、安定した生活基盤などを証明するために、できるだけ多くの客観的な証拠書類を提出しましょう。
- 言語の壁: 日本語能力が低い場合は、コミュニケーション能力を示す書類(日本語能力試験の合格証明書など)が求められることがあります。
- 過去の入国・滞在歴: 申請者または日本人の配偶者に過去の入国・滞在歴がある場合は、その詳細を正確に申告してください。オーバーステイや不法就労の経験がある場合は、申請が厳しく審査される可能性があります。
- 日本と配偶者の国の文化や習慣の違い: 質問書などで、夫婦がどのようにコミュニケーションを取り、生活していくのか具体的に説明することが求められる場合があります。
- 不許可になった場合の対応: 万が一、在留資格認定証明書または査証が不許可になった場合は、不許可理由を確認し、再申請が可能かどうか検討する必要があります。
まとめ
海外在住の配偶者を日本に呼び寄せるための配偶者ビザ申請は、日本と海外の両方で手続きが必要となるため、時間と労力がかかる場合があります。しかし、しっかりと準備を行い、必要な書類を揃え、正確な情報を伝えることが重要です。
もし、手続きに不安がある場合や、必要な書類について疑問がある場合は、専門家である行政書士にご相談ください。 状況に合わせた的確なアドバイスとサポートを提供させていただきます。ご夫婦が日本で安心して暮らせるよう、全力でサポートいたします。