日本人と外国籍の方との国際結婚は、愛があればこそ乗り越えられる、特別な喜びと挑戦に満ちています。しかし、その最初の大きな試練の一つが、日本人配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請期間ではないでしょうか。
「書類の準備が大変で、夫婦で意見が食い違う…」 「入管からの追加書類の連絡に、思わずイライラしてしまう…」 「将来への不安から、パートナーに強く当たってしまう…」
このような経験、もしかしたら「あるある!」と感じる方もいるかもしれません。ビザ申請は、単なる行政手続きではなく、夫婦の絆が試される「共同作業」でもあります。このストレスフルな期間中に、夫婦喧嘩が増えてしまうのは決して珍しいことではありません。
この記事では、日本人配偶者ビザ申請中によくある夫婦喧嘩の「あるある」なパターンと、それを乗り越え、むしろ二人の絆を深めるための実践的な"絆"強化術を行政書士の視点からご紹介します。
1. なぜビザ申請中に夫婦喧嘩が増えるのか? – ストレスの正体
ビザ申請期間中は、通常の結婚生活では直面しないような、特有のストレス要因が潜んでいます。
- 書類集めのプレッシャー:
- 「こんなことまで必要?」: 入管から求められる書類の多さ、細かさに驚き、うんざりしてしまう。特に、過去の交際履歴や生活状況を証明する書類は、プライベートな内容に踏み込むため、抵抗を感じることも。
- 「なんで協力してくれないの?」: どちらか一方が書類集めや翻訳を主に担当し、もう一方の協力が足りないと感じることで、不満が募ります。
- 「これ、見られて大丈夫なの?」: 過去のSNSのやり取りや写真など、提出をためらうようなプライベートな情報も含まれることがあります。
- 「真実の結婚」を証明する重圧:
- 入管の審査は、偽装結婚でないことを確認するため、非常に厳格です。二人の愛を「証拠」で示すことに、精神的な負担を感じることがあります。
- 「私たちの結婚、本当に大丈夫だよね?」という、漠然とした不安が、言葉にならないイライラにつながることも。
- 将来への不安:
- ビザが許可されるかどうか、いつ許可されるかわからない不確実性が、夫婦双方にストレスを与えます。特に、日本で生活を続けたい外国籍のパートナーにとっては、自身の未来がビザに左右されるという大きなプレッシャーがあります。
- 文化や言葉の壁:
- 手続きに関する複雑な日本語の書類や説明を理解するのに時間がかかり、そこで生じる誤解やコミュニケーション不足が喧嘩の原因になることもあります。
2. 「あるある」な夫婦喧嘩パターンと、その乗り越え方
上記のようなストレス要因が、具体的な夫婦喧嘩の引き金になることがあります。よくあるパターンとその対策を見ていきましょう。
(1) 「なんで、あなたはわかってくれないの!?」— 理解のズレによる喧嘩
- 状況: 日本人側は「ただ手続きを早く終わらせたい」と思っているのに、外国籍側は「プライベートなことまで聞かれて嫌だ」と感じたり、その逆もあったり。
- 乗り越え方:
- 徹底的に話し合う時間を作る: 「何がストレスになっているのか」「どうしてそう感じるのか」を、お互いが納得するまでじっくり話し合う時間を設けましょう。感情的にならず、冷静に耳を傾けることが大切です。
- 相手の文化背景を理解する: 育った文化が違うため、考え方や感じ方が異なるのは当然です。「なぜそう感じるのか」を、相手の文化や習慣に照らして理解しようと努めましょう。
(2) 「もう、イライラする!」— 追加書類や不許可の可能性への不安
- 状況: 入管から追加書類の指示があったり、審査が長引いたりすると、不安や焦りから相手に当たってしまう。
- 乗り越え方:
- 情報を共有し、不安を可視化する: 状況を隠さず、夫婦で情報を共有しましょう。不明な点があれば一緒に調べたり、私たち行政書士のような専門家に相談したりして、漠然とした不安を具体的にすることで、対策を立てやすくなります。
- 「ビザ申請」を「二人の絆を深めるゲーム」と捉える: この期間を、お互いの協力なしにはクリアできない「ミッション」と捉え、乗り越えた先には「より強固な絆」という報酬がある、と考えてみましょう。
(3) 「あなたのためなのに!」— 協力不足による不満
- 状況: どちらか一方が申請準備のほとんどを担当し、もう一方が非協力的だと感じてしまい、不満が爆発。
- 乗り越え方:
- 役割分担を明確にする: 「この書類はあなたが集めて、これは私が翻訳する」など、具体的な役割分担を決めましょう。
- 感謝の気持ちを伝える: 相手が協力してくれたことに対し、「ありがとう」「助かったよ」と具体的に感謝の気持ちを伝えることで、お互いのモチベーションを保てます。
- 休憩を取り入れる: 書類作業は疲れます。気分転換に外に出かけたり、美味しいものを食べに行ったりして、リフレッシュする時間も大切です。
3. ビザ申請を「夫婦の絆を深める共同作業」にするための"絆"強化術
ビザ申請期間を、夫婦の絆を壊す原因にするのではなく、むしろ未来のために絆を深めるチャンスに変えるための具体的な方法です。
- 「愛の証拠」をポジティブに集める: 写真やメッセージのやり取り、家族・友人との交流など、二人の関係性を証明するものは、全てが「愛の証拠」です。これらを収集する過程を、お互いの愛を再確認する機会と捉えましょう。
- 定期的な「未来会議」: 「ビザが許可されたら、どこに住む?」「どんな仕事をしたい?」「将来、子どもは?」など、ビザ取得後の楽しい未来について具体的に話し合う時間を作りましょう。共通の目標があることで、今の困難を乗り越えるモチベーションになります。
- 第三者のサポートを活用する: 夫婦だけで抱え込まず、信頼できる友人や家族、あるいは国際結婚の先輩夫婦に相談してみましょう。また、私たち行政書士は、手続きの専門家としてだけでなく、ご夫婦の不安に寄り添うこともできます。精神的なプレッシャーが大きすぎる場合は、カウンセリングなども検討するのも良いでしょう。
- お互いの努力を認め合う: 複雑な手続きの中で、相手がどれだけ努力しているかを理解し、ねぎらいの言葉をかけ合いましょう。お互いを尊重し、支え合う気持ちが何よりも大切です。
まとめ:ビザ申請は、二人の愛を試す「通過儀礼」
日本人配偶者ビザの申請期間は、国際結婚カップルにとって確かに大きな試練かもしれません。しかし、この期間を夫婦で協力し、乗り越えることができれば、二人の絆はより一層強固なものになるでしょう。
ビザ申請は、単なる紙の手続きではありません。それは、あなたがた夫婦が日本という新しい地で共に生きていく覚悟と、お互いへの深い愛情を確かめ合う「通過儀礼」なのです。
もし、今ビザ申請中で夫婦関係に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、決して一人で抱え込まず、私たち行政書士にご相談ください。手続きの専門家として、そしてあなたの味方として、お二人の愛が成就し、日本で幸せな生活を送れるよう、全力でサポートさせていただきます。