
日本人と結婚し、日本の「日本人配偶者ビザ」を持っている皆さん、日々の生活は順調でしょうか?初めてビザが許可された時はとても嬉しかったと思います。でも、実はビザは「取ったら終わり」ではありません。数年ごとの「更新」手続きがとても大切です。
「夫婦なんだから、別々に住んでいてもビザは大丈夫でしょ?」 「仕事の都合で一時的に離れて住んでいるだけなんだけど…」
このように考えている方、ちょっと待ってください!日本人配偶者ビザの更新において、夫婦が別居していることは、入国管理局(入管)の審査で非常に厳しく見られる「落とし穴」になる可能性があります。最悪の場合、ビザが許可されない(不許可になる)こともあるのです。
この記事では、なぜ夫婦の「別居」が日本人配偶者ビザの更新を難しくするのか、その"意外な理由"と、別居していてもビザ更新を成功させるための具体的な対策を行政書士の視点から詳しく解説します。
1. なぜ入管は夫婦の「別居」を厳しく見るのか?—疑われる“偽装結婚”
日本人配偶者ビザは、その名前の通り「日本人の配偶者であること」がビザの前提です。つまり、「夫婦として、日本で一緒に生活していること」が最も重要な条件となります。
もし夫婦が別々に住んでいると、入管は次のように考える可能性があります。
- 「本当に結婚生活は続いているの?」: 別居は、夫婦関係がうまくいっていない、あるいはすでに夫婦関係が破綻している兆候ではないかと疑われます。
- 「ビザのためだけの結婚ではないか?」: 最も警戒されるのが、ビザのために偽りの結婚をしている「偽装結婚」の疑いです。夫婦が同居していないことで、この疑いが強まってしまいます。
このように、別居の事実は、「夫婦関係の真実性」や「安定性・継続性」に対する入管の強い懸念(心配)を引き起こすのです。
2. やむを得ない別居でも要注意!入管が重視するポイント
「でも、仕事の都合でどうしても別居しないといけないんだけど…」 「親の介護で、一時的に実家に帰っているだけなのに…」
もちろん、やむを得ない事情で夫婦が別居することは、現代社会では珍しくありません。しかし、そのような場合でも、入管は単に「別居している」という事実だけでなく、以下の点を非常に細かく確認します。
- 別居の理由の「正当性」:
- 本当に別居が必要な理由なのか(例:単身赴任、子どもの教育、親の介護など)。
- その理由を具体的な証拠で説明できるか。
- 別居期間の「長さ」:
- 一時的な別居なのか、それとも長期にわたる別居なのか。期間が長ければ長いほど、夫婦関係の破綻を疑われやすくなります。
- 夫婦間の「交流」の有無と頻度:
- 別居中でも、夫婦間で定期的に連絡を取り合っているか(電話、SNS、オンライン通話など)。
- 定期的に会っているか、一緒に過ごす時間を作っているか(週末の帰省、休暇での旅行など)。
- 生活費の「分担」:
- 別居中の生活費をどのように分担しているか。どちらか一方が全てを負担している場合、扶養の事実を示す定期的な送金記録や総額、また日常的な連絡の記録としてSNSや携帯の通話記録、lineなどのline等の交信記録を確認されることもあります。夫婦の関係性を経済的な観点からも審査します。実態が無い場合には夫婦関係の実態が疑われることにもなり兼ねません。
- 住民票や住民票の届け出:
- 夫婦のどちらか一方、または双方が住民票を移動させている場合、その届け出が適切に行われているか。また、住民票上の住所が別々であることと、実際の生活状況との整合性も確認されます。
これらの情報が曖昧だったり、夫婦間の交流が不足していたりすると、「夫婦関係の実態がない」と判断され、ビザ更新が不許可になるリスクが高まってしまいます。
3. 別居中でも大丈夫!ビザ更新を成功させるための対策
もし夫婦が別居している状況でも、以下の対策をしっかり行うことで、ビザ更新を成功させる可能性を高めることができます。
対策1:別居の「正当な理由」を具体的に説明する
- なぜ別居が必要なのかを、客観的な証拠(例:会社の辞令、介護認定の書類、子どもの学校の入学通知など)とともに、理由書で詳しく説明します。
- 別居しているのは一時的なものであり、将来的には同居を再開する意思があることを明確に伝えましょう。
対策2:夫婦関係の「継続性」を証明する具体的な証拠を集める
入管は「言葉」だけでなく「証拠」を見ます。別居中も夫婦関係が良好であることを示すための証拠を、できるだけ多く集めましょう。
- 定期的な連絡記録: 電話の発着信履歴、LINEや他のSNSでのメッセージのやり取り(内容も重要)、ビデオ通話の記録など。
- 共同生活の証拠:
- 別居中の家賃や公共料金の支払い履歴(夫婦のどちらかがまとめて支払っているなど)。
- 夫婦名義の銀行口座の明細。
- 相手の住所宛に届いた郵便物や、相手の健康保険証の写しなど。
- 面会・交流の証拠:
- 一緒に写っている写真(場所や日付がわかるもの)。
- 一緒に旅行した際の航空券やホテルの予約票。
- 互いの実家や友人宅を訪問した際の証拠(写真など)。
- 生活費の送金記録: 別居しているパートナーに生活費を送っている場合は、その銀行の明細や送金記録。
対策3:書類の準備と情報共有を夫婦で協力して行う
ビザ申請は、夫婦のどちらか一方だけの責任ではありません。日本人配偶者も、外国人配偶者も、二人で協力して書類を集め、入管への説明を準備することが重要です。
- 外国人配偶者だけが手続きのプレッシャーを抱え込まないよう、日本人配偶者も積極的に協力し、精神的に支えましょう。
- 不明な点や不安なことがあれば、夫婦で隠さず話し合い、必要であれば私たち行政書士のような専門家に相談しましょう。
対策4:早めに行政書士に相談する
「もしかして、うちのケースは不利かも…」と感じたら、早めに専門家である行政書士に相談してください。
- 私たちは、ご夫婦の状況を詳しくお伺いし、別居の理由や期間、これまでの夫婦関係を正確に把握した上で、最適な申請戦略を立てることができます。
- 必要な証拠書類のアドバイスや、理由書の作成サポートなど、入管が納得する説明をするための専門的なサポートを提供します。
まとめ:別居はリスクだが、適切な対策で乗り越えられる
日本人配偶者ビザの更新において、夫婦の別居は確かに厳しい審査対象となります。しかし、それが「夫婦関係の破綻」を意味するわけではありません。仕事や家庭の事情でやむを得ず別居している場合でも、その理由の正当性を明確に説明し、夫婦関係が今も良好であることを具体的な証拠で示すことができれば、ビザの更新は可能です。
大切なのは、入管が「夫婦関係の真実性」を見ているということを理解し、その上で、誠実に、そして戦略的に対応することです。
もし、ご夫婦の別居の状況でビザ更新にご不安がある方、どのような書類を集めたら良いか迷っている方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽に私たち行政書士にご相談ください。お二人の大切な日本での生活が守られるよう、全力でサポートさせていただきます。