
日本での生活が長く、お仕事を通じてキャリアを築いてきた皆さん、そして日本人のパートナーとの出会いを通じて、人生の新たなステージに進むことを決めた皆さん、ご結婚おめでとうございます!
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能など)で日本に滞在している方が、日本人と結婚した場合、多くの方が「日本人の配偶者等」という在留資格(通称:配偶者ビザ)への変更を検討するでしょう。
「結婚すればビザは自動的に変わるの?」 「仕事はどうすればいい?辞めなきゃダメ?」
このように考えている方のために、この記事では、就労ビザから日本人配偶者ビザへ切り替える際の注意点や、スムーズな手続きのためのコツを、行政書士の視点から詳しく解説します。
1. なぜビザを切り替える必要があるの?就労ビザと配偶者ビザの違い
まず、就労ビザから配偶者ビザへ切り替えることの意味と、それぞれのビザの大きな違いを理解しましょう。
- 就労ビザ: 特定の仕事をするために許可されるビザです。学歴や職務内容が厳しくチェックされ、原則として許可された仕事しかできません。会社を辞めたり、仕事内容が変わったりすると、ビザを維持できなくなるリスクがあります。
- 配偶者ビザ: 日本人と結婚し、夫婦として日本で生活することを目的としたビザです。仕事の制限はほぼなくなり、どんな職種の仕事でもできます。また、仕事をしていない期間があっても、日本人配偶者の扶養があればビザを維持できます。
配偶者ビザは、就労ビザと比べて生活の自由度が格段に上がる点が大きなメリットです。そのため、結婚を機に切り替えを考える方が多いのです。
2. 「結婚したからといって自動じゃない!」ビザ切り替え手続きの基本
日本人と結婚しても、就労ビザから配偶者ビザに自動で切り替わることはありません。必ずご自身で「在留資格変更許可申請」を地方出入国在留管理局(入管)に行う必要があります。
手続きのタイミング
- 婚姻成立後、できるだけ早く: 婚姻が成立したら、できるだけ早く申請手続きを始めるのがおすすめです。
- 就労ビザの期限前: 現在の就労ビザの期限が切れる前に、新しい配偶者ビザの申請を終える必要があります。期限が迫っている場合は、特に急いで準備しましょう。
申請に必要な主な書類(一例)
- 在留資格変更許可申請書
- 写真
- パスポート、在留カード
- 日本人配偶者の戸籍謄本
- 婚姻受理証明書または婚姻証明書
- 質問書(夫婦の出会いや交際、結婚の経緯などを詳しく書く書類)
- スナップ写真数枚(夫婦で写っているもの、家族との交流がわかるものなど)
- 日本人配偶者の住民票、課税証明書、納税証明書
- 申請する外国人配偶者の課税証明書、納税証明書(あれば)
- 身元保証書(日本人配偶者が保証人になります)
これらの書類はあくまで一部であり、入管の審査状況によって追加書類を求められることもあります。
3. 就労ビザから切り替える際の「落とし穴」と注意点
就労ビザから配偶者ビザへの切り替えは、結婚という喜ばしい出来事の後にする手続きですが、いくつか注意すべき「落とし穴」があります。
(1) 「夫婦の真実性」を疑われないか?—出会いから結婚までの経緯
- 落とし穴: 結婚したから当然に許可される、と考えてしまい、夫婦の出会いや交際、結婚に至るまでの経緯を軽く考えてしまうこと。
- 注意点: 入管は、偽装結婚を非常に厳しく警戒しています。そのため、夫婦関係が真実であること、そして安定して継続していくことを客観的な証拠で証明する必要があります。また、入籍後も別居が続くような場合では、日本人の配偶者等の活動を行わず、就労目的の擬装婚を疑われやすくなります。例え仕事による別居であっても自分たちの意思に基づく別居生活ではないことの証明をする必要が生じます。
- コツ:
- 「質問書」は具体的に、正直に: 出会いの日時・場所、交際中のエピソード、プロポーズの言葉、互いの家族への紹介など、できるだけ具体的に書きましょう。
- 写真で「歴史」を見せる: 交際中から現在までの夫婦で写った写真(デート、旅行、家族との交流など)を、日付がわかるように厳選して添付しましょう。
- SNSやメッセージも活用: LINEやSNSでのやり取り、国際電話の履歴なども、夫婦の関係性を示す大切な証拠になります。
- 会社からの赴任辞令写しや週末の同居を示すための鉄道旅券の記録や写真などは、日常的に準備してください。
(2) 「安定した生計」を示せるか?—夫婦の収入と納税状況
- 落とし穴: 外国人配偶者が仕事を辞める予定の場合、収入がなくなってしまうことや、日本人配偶者の収入だけで大丈夫かと不安になること。
- 注意点: 配偶者ビザは、夫婦が日本で安定して生活できる経済力があるかが審査されます。基本的には日本人配偶者の収入が審査対象となりますが、外国人配偶者の過去の収入や納税状況も確認されます。
- コツ:
- 日本人配偶者の収入がカギ: 日本人配偶者が、夫婦2人(または扶養家族全員)を養っていけるだけの安定した収入があることが重要です。課税証明書や納税証明書で証明します。
- 納税・社会保険料の確実な支払い: 夫婦共に、所得税、住民税、年金、健康保険料などを期限内にきちんと納めていることが非常に重要です。過去に未納や滞納があると、審査に大きく響きます。
(3) 就労ビザから切り替える「仕事のタイミング」
- 落とし穴: 配偶者ビザの申請中に、現在の仕事を辞めてしまって良いのか、続けるべきなのか迷うこと。
- 注意点: 配偶者ビザの申請中は、まだ就労ビザの活動期間中です。許可が出るまでは、現在の仕事を続けるのが安全です。もし会社を辞めても、次のビザが許可されるまでは現在の在留資格(就労ビザ)が有効ですが、本来の活動(仕事)を停止している状態になります。
- コツ:
- 許可が出てから仕事を辞めるのが最も安全: 配偶者ビザの許可が出た後であれば、安心して転職や退職ができます。
- 「特定活動(就労継続)」への切り替えも検討: 申請中に就労ビザの期限が切れる場合や、やむを得ず退職する場合は、一時的に「特定活動(就労継続)」というビザに切り替える選択肢もあります。これは、私たち行政書士にご相談ください。
4. スムーズな手続きのための「行政書士」活用術
就労ビザから日本人配偶者ビザへの切り替えは、一見シンプルに見えても、入管の審査は非常に細かく、夫婦関係の真実性を証明するための書類準備や説明には専門的な知識と経験が必要です。
- 複雑な書類作成: 特に「質問書」は、夫婦の関係性を説得力ある形で記述する必要があり、書き方一つで審査結果が変わることもあります。
- 追加書類への対応: 入管から追加書類の指示があった場合も、適切かつ迅速に対応しなければなりません。
- 不安やストレスの軽減: 専門家に任せることで、夫婦二人の精神的な負担を大きく減らし、安心して手続きを進められます。
私たち行政書士は、夫婦の状況を丁寧にヒアリングし、偽装結婚と疑われないための書類準備や、入管が納得する理由書の作成をサポートします。また、入管への申請代行や、審査中の問い合わせ対応も行います。
まとめ:夫婦の「愛」と「計画」でビザ切り替えを成功させよう
就労ビザから日本人配偶者ビザへの切り替えは、日本で新たな家族生活を始めるための大切なステップです。この手続きは、夫婦の「愛」の証しであると同時に、日本で安定した生活を築いていくための「計画性」が問われます。
不安なことや、ご自身のケースに合わせた具体的なアドバイスが必要な場合は、どうぞお気軽に私たち行政書士にご相談ください。あなたの日本での幸せな夫婦生活がスタートできるよう、全力でサポートさせていただきます。