外国人経営者や就労者の皆様にとって、キャリアとプライベートのバランスを考える上で「在留資格の選択」は非常に重要なテーマです。
最近では、共働きだったご夫婦の一方が「今の会社を辞めて少し休みたい」「パートタイムで自由に働きたい」と考え、技人国から、配偶者の扶養に入る「家族滞在」ビザへ切り替えるケースが増えています。
この変更には、一見すると「楽になる」メリットが多いように見えますが、実は将来のキャリアや永住申請において見落としがちなデメリットも存在します。2026年現在の最新の審査動向を踏まえ、行政書士の視点でメリット・デメリットを整理しました。
■ 職種(業務内容)の制限がなくなる 「技人国」ビザは、大学の専攻と仕事内容が一致していなければなりません。しかし「家族滞在」に変更し「資格外活動許可」を得れば、職種制限がなくなります。専門外の事務、接客、軽作業など、自分の好きな仕事に挑戦できるようになります。
■ 会社に縛られない自由な生き方 就労ビザは「その会社で働くこと」が条件ですが、家族滞在は「配偶者や親との共同生活」が条件です。会社を辞めても、配偶者や親がしっかり働いていれば日本に居続けることができます。転職活動中にビザの期限を心配して焦る必要もありません。
■ 社会保険・税金の扶養に入れる 配偶者の会社の扶養に入ることで、自分で健康保険料や年金保険料を直接払う負担が減り、世帯全体の支出を抑えられる可能性があります。
■ 労働時間が「週28時間以内」に制限される これが最大のデメリットです。家族滞在ビザはあくまで「扶養を受ける」ための資格です。資格外活動許可を得ても、残業を含めて週28時間を1分でも超えることは許されません。2026年からはマイナンバー連携により、複数箇所での掛け持ち労働も入管に把握されやすくなっています。
■ 将来の「永住申請」が遠のく可能性がある 永住権を申請するには、原則として「引き続き10年以上の在留」かつ「直近5年以上の就労経験(資格外活動は含まず)」が必要です。家族滞在に切り替えてしまうと、この「就労経験」のカウントがストップしてしまいます。将来的に永住権を取りたいと考えている場合、大きなタイムロスになる可能性があります。
■ 配偶者の「扶養能力」が厳しく審査される 変更申請時、あなたの収入がなくなる代わりに、配偶者(扶養者)に「二人を養える十分な収入があるか」が厳しくチェックされます。配偶者の年収が低い場合や、納税・年金に未納や遅延がある場合、変更申請そのものが不許可になるリスクがあります。
2026年現在、入管は「偽装滞在」や「不法就労」を防ぐため、在留資格の変更審査をより厳格化しています。
「家族滞在」への変更は、時間的な自由を手に入れる強力な手段ですが、一方でフルタイムのキャリアや永住へのスピードを犠牲にする側面もあります。
判断に迷う場合や、配偶者の収入で許可が下りるか不安な場合は、ぜひ専門家である私ども行政書士にご相談ください。お客様の数年先を見据えた、最適なアドバイスを提供いたします。