日本で「技術・人文知識・国際業務(技人国)」などの就労ビザを持って働く外国人の方が増えるにつれ、その配偶者や子どもが取得する「家族滞在ビザ」の管理も非常に重要になっています。
外国人社員を取り巻く環境において、実務上深刻なトラブルになりやすいのが、「会社の倒産や人員整理、あるいは不当解雇など、予期せぬ『会社都合退職』によって主たる扶養者(夫など)が突然無職になってしまった場合の家族のビザの扱い」です。
「自分のせいではない会社都合の失業でも、家族のビザは取り消されてしまうのか?」 「突然無職になったタイミングで、たまたま家族のビザの更新期限が来たらどうすればいい?」
今回は、扶養者が会社都合退職により無職を余儀なくされているブランク期間において、家族滞在ビザが受ける影響や入管の審査基準、在留期間の更新時に不許可を避けるための具体的な対策・必要書類について、事実に基づき分かりやすく解説します。
まず最も重要な結論として、就労ビザを持つ扶養者が会社都合で退職して無職になったからといって、その瞬間に家族の「家族滞在ビザ」が自動的に取り消されたり、無効になったりすることはありません。
家族滞在ビザは、扶養者が日本で適法に在留資格(就労ビザ等)を維持している限り、その効力が存続します。突然の解雇や倒産の場合、主たる扶養者自身が「次の就職先を探すために日本に滞在すること(就労ビザのままの求職活動、または状況によっては特定活動ビザへの変更)」を入管から認められるため、それに伴い家族もそのまま日本に滞在し続けることが可能です。※本体の在留資格が技人国から「特定活動」を挟み特定技能1号に変更した場合は家族の帯同は認められませんので家族滞在での本邦滞在は籍無くなります。
在留を続けること自体は可能ですが、「会社都合により無職である期間中」に、妻や子どもの家族滞在ビザの更新期限(在留期間更新許可申請)が来てしまった場合は、非常に慎重な対応が必要となります。
入管が家族滞在ビザの更新を許可するかどうかを判断するにあたり、最も重視するのが「生計維持要件」です。これは、「日本で生活保護などを受けることなく、扶養者の経済力によって安定して自立した暮らしが送れるか」という基準です。
会社側に原因がある退職(倒産や解雇)であっても、入管の審査基準は変わりません。収入がゼロの状態で、何の説明も追加書類もなしに通常の更新申請を行ってしまうと、入管から「現在の世帯に扶養能力を欠いている」とみなされ、不許可になってしまうリスクが極めて高くなります。
会社都合による求職活動中である場合の更新審査において、入管の審査官は主に以下の3つの事実を厳格に確認します。
突然の失職であっても、次の就職先を見つけるためにハローワーク等を通じて積極的に求職活動を行っている実績があれば、入管も「やむを得ない移行期間」として柔軟に審査します。会社都合退職の場合、自己都合退職よりも入管の心情的配慮(温情措置)は期待できますが、それも「本人が真面目に求職活動をしていること」が大前提です。
収入がない期間、家族が日本でどのようにして生活しているのかという客観的なエビデンスが必要です。会社都合退職の場合、ハローワークで手続きをすれば「7日間の待期期間の後、すぐに雇用保険(失業給付)が支給される」という大きなメリットがあります。この失業給付金や、これまでの蓄え(預貯金)によって、生活困窮に陥っていない根拠が求められます。
「突然のクビで生活が苦しいから」という理由であっても、家族滞在ビザの配偶者がフルタイムで働いて生活費を稼ぐことは法律上絶対に認められません。 資格外活動許可のルールである「週28時間以内」を1分でも超えて働いた実績が課税証明書等から発覚した場合、不法就労となり、家族全員のビザ更新や将来の永住申請がその時点で一発不許可になります。
無職期間中に更新を迎えた場合は、通常の必要書類に加えて、「会社都合による予期せぬ失職であるが、失業保険等で生活は安定しており、現在速やかに再就職へ向けて動いている」ということを自ら客観的に証明するための追加資料一式を添付して申請する必要があります。
ビザの更新時期がまだ先であっても、就労ビザを持つ本体(扶養者)が会社を退職した際には、入管法に基づく手続きを怠ってはなりません。
会社の倒産や突然の解雇による無職期間は、外国人ファミリーにとって非常に不安な時期です。しかし、「会社都合退職」という事実は、入管の審査において考慮される正当な理由となります。一番危険なのは、「無職であることを隠して嘘の申請をする」「失業保険や預貯金の証明を出さずに放置する」といった、不完全な申請を行うことです。
離職票やハローワークの書類をしっかりと揃え、「失業手当をもらいながら、これだけの貯蓄で生活し、現に再就職へ動いている」という事実をありのまま開示すれば、家族滞在ビザの更新は十分に認められます。
突然の会社都合退職による書類の集め方や、入管に提出する説明書の作成に迷った際は、私ども実務実績の豊富な専門の行政書士へのご相談を推奨いたします。お気軽にお問い合わせください。