
日本で家族滞在ビザを取得し、配偶者の扶養を受けて生活していた外国人の方が、予期せぬ離婚や配偶者の死別という状況に直面した場合、その在留資格はどうなるのでしょうか?そのままでは在留資格の根拠を失ってしまうため、適切な手続きを行う必要があります。
本記事では、離婚または死別後に家族滞在ビザを持つ外国人が取るべき対応と、必要な在留資格変更手続きについて解説します。
家族滞在ビザの原則と離婚・死別の影響
家族滞在ビザは、日本に在留する外国人の扶養を受ける配偶者または子に与えられる在留資格です。そのため、扶養者である配偶者との婚姻関係が解消された場合(離婚)、または扶養者が亡くなった場合(死別)には、家族滞在ビザの根拠を失うことになります。
このまま日本に在留し続けるためには、別の在留資格を取得する必要があります。放置してしまうと、不法滞在となる可能性がありますので、速やかに適切な手続きを行うことが重要です。
離婚後の在留資格変更手続き
配偶者と離婚した場合、家族滞在ビザのまま在留することは原則としてできません。引き続き日本に在留を希望する場合は、ご自身の状況に合わせて別の在留資格への変更を検討する必要があります。
考えられる変更先の在留資格の例:
- 就労ビザ: ご自身が働くことができるスキルや職歴をお持ちの場合、就労ビザへの変更を検討できます。この場合、転職先を見つけ、その職務内容が就労ビザの要件を満たす必要があります。
- 定住者ビザ: 日本人との婚姻期間が長く、日本での定住が認められる可能性がある場合、定住者ビザへの変更を検討できます。ただし、離婚後の定住者ビザの取得は、個別の状況が厳しく審査されます。
- 留学ビザ: 日本の教育機関に在籍し、就学活動を行う場合は、留学ビザへの変更を検討できます。
在留資格変更許可申請の手続き:
- 状況の整理と情報収集: まず、ご自身の学歴、職歴、日本語能力などを考慮し、どのような在留資格への変更が可能かを検討します。入国管理局のウェブサイトや、行政書士などの専門家に相談することも有効です。
- 必要書類の準備: 変更先の在留資格によって必要な書類は異なります。一般的には、以下の書類が必要となることが多いです。
- 在留資格変更許可申請書
- パスポート
- 在留カード
- 離婚の事実を証明する書類(離婚届の受理証明書など)
- 変更後の在留資格に応じた書類(例:就労ビザの場合は雇用契約書、留学ビザの場合は入学許可証など)
- 扶養能力を証明する書類(変更後の在留資格が就労などの場合)
- 理由書(なぜ日本に在留し続ける必要があるのか、今後の生活計画などを記述)
- 入国管理局への申請: 準備した書類を管轄の地方出入国在留管理局に提出します。
- 審査: 提出された書類に基づいて、入国管理局で審査が行われます。追加の書類提出や質問を求められることがあります。
- 結果の通知と新しい在留カードの受け取り: 審査が完了すると、結果が通知され、許可された場合は新しい在留カードを受け取ります。
【重要な注意点】
- 離婚後、速やかに在留資格変更の手続きを開始することが重要です。
- 変更先の在留資格の要件を満たしている必要があります。
- 審査には時間がかかる場合があります。
- 不許可となる可能性もあります。その場合は、再申請や出国準備を検討する必要があります。
死別後の在留資格変更手続き
配偶者が亡くなった場合も、家族滞在ビザの根拠を失います。引き続き日本に在留を希望する場合は、離婚の場合と同様に、ご自身の状況に合わせて別の在留資格への変更を検討する必要があります。
考えられる変更先の在留資格の例:
- 就労ビザ
- 定住者ビザ: 日本人との婚姻期間や、日本での生活状況などによっては、定住者ビザへの変更が認められる可能性があります。
- 留学ビザ
在留資格変更許可申請の手続き:
手続きの流れは離婚の場合とほぼ同様ですが、提出する書類が一部異なります。
- 死別の事実を証明する書類: 死亡診断書、死亡届の記載事項証明書などが必要になります。
- その他の必要書類は、変更先の在留資格によって異なります。
【重要な注意点】
- 死別後、精神的に辛い状況ではありますが、速やかに在留資格について検討し、必要な手続きを開始することが重要です。
- お子さんがいる場合など、特別な事情がある場合は、入国管理局に相談することをおすすめします。
手続きを怠った場合のリスク
離婚や死別後、適切な在留資格変更の手続きを行わずに在留し続けた場合、不法滞在とみなされる可能性があります。不法滞在となった場合、強制退去の対象となるだけでなく、今後の日本への入国が запрещено(禁止)されることもあります。
困ったときは専門家へ相談
離婚や死別という困難な状況の中で、ご自身で在留資格の手続きを行うことは大きな負担となる場合があります。そのような場合は、入国管理局の手続きに詳しい行政書士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。専門家は、個々の状況に合わせたアドバイスや手続きのサポートを提供してくれます。
まとめ
家族滞在ビザで日本に在留している方が、配偶者との離婚や死別を経験した場合、そのままでは在留資格の根拠を失ってしまいます。引き続き日本に在留を希望する場合は、速やかにご自身の状況に合わせて別の在留資格への変更手続きを行う必要があります。
必要な情報を収集し、適切な準備を行い、期限内に申請することが重要です。もし手続きに不安を感じる場合は、専門家のサポートを検討しましょう。
【免責事項】
- 本記事は2025年4月時点の情報に基づいて作成されています。最新の情報は必ず出入国在留管理庁の公式ウェブサイト等でご確認ください。
- 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースに対する法的なアドバイスではありません。具体的な手続きや判断については、専門家にご相談ください。