こんにちは。新規法人と技術者の採用タイミングのズレに関して先日、新規で会社を設立したばかりの外国人経営者の方から、このようなご相談を受けましたので共有いたします。
【事例】 外国人経営者Aさんが、自らの「経営・管理」ビザ(COE)を申請中である自身の日本法人で、本国から呼び寄せたい優秀な外国人エンジニアBさんを「技術・人文知識・国際業務」(技人国)ビザで雇用したいと考えていました。
Aさんの会社は設立されたばかりで、Aさん自身もまだビザの許可待ちの状態です。そこでAさんは、「早く事業をスタートさせるため、Aさんのビザが許可される前に、Bさんの技人国ビザ申請を入管に提出してしまおう」と考えました。
Aさんのように「時間が惜しいから」と、経営管理ビザの許可を待たずに社員の就労ビザを申請することは、理論上は可能ですが、審査の実務上、極めてリスクが高いため、私たちは推奨しません。
この行動が「致命的なミス」となりうる理由は、入国管理局(入管)の審査の順序と論理にあります。
技人国ビザの審査では、申請者(Bさん)の学歴や職務内容だけでなく、雇用する会社(Aさんの法人)が安定的・継続的に事業を運営できる能力を強く求められます。
しかし、Aさんの会社は設立したばかりで、さらに代表者であるAさん自身がまだ「合法的な経営者」として入管から認められていません(経営管理ビザが未許可のため)。
同時期に申請した場合、入管はBさんの技人国ビザを審査する前に、必ずAさんの経営管理ビザの審査を優先します。
Aさんのビザ審査に時間がかかればかかるほど、Bさんの審査は完全に棚上げ(ストップ)されます。このため、Bさんの審査期間はAさんの審査期間に依存してしまい、結果的に「両方のビザの審査が長期化する」という負の連鎖を招きます。
では、事業のスタートを急ぐ外国人経営者は、このような状況でどう戦略を立てるべきでしょうか。成功率を高めるための唯一の道は、「許可の確実性」を最優先にした段階的アプローチです。
外国人経営者にとって、人材確保は時間との勝負ですが、ビザ申請は「急ぐこと」よりも「許可の確実性」を最優先しなければなりません。
この事例のように、経営者のビザが未許可の状態で社員のビザを申請すると、結果として両方のビザが不許可になったり、審査期間が異常に長引いたりするリスクがあります。
経営管理ビザの許可 = 社員のビザ申請のスタートライン
という原則を理解し、最短距離でビザを取得するためにも、私たちは専門家への相談と、計画的な申請スケジュールの立案を強く推奨します。事業の安定的な成長のためにも、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。