
はじめに
日本での起業や経営を考える外国人にとって、経営管理ビザ取得は重要なステップです。しかし、ビザ申請時に見落とされがちなのがそのビジネスに必要な「許認可」の確認です。業種によっては、事業開始前に法的な許可を取得しておかないと、ビザ申請が不利になる場合があります。
本記事では、どのような業種で「許認可」が必要となるのか、行政書士の視点から一覧形式でわかりやすく解説します。
- 経営管理ビザと許認可の関係
経営管理ビザは、日本で事業を運営するために必要な在留資格ですが、事業の「実体性」「継続性」「安定性」が審査されます。つまり、許認可が必要な業種で許可を取らずにビザを申請すると、「準備不足」と見なされ、ビザが不許可になるケースがあります。
- 許認可・資格が必要な主な業種一覧
業種/必要な許可・届出/申請先(所管機関)/補足
・飲食店: 飲食店営業許可 / 保健所 / 食品衛生責任者が必要
・美容院・理容院: 美容所・理容所開設届出 / 保健所 / 有資格者の常駐が必要
・宿泊施設(民泊・ホテル等): 旅館業許可/住宅宿泊事業届出 / 保健所・都道府県 / 建物要件厳格
・古物商(中古品販売): 古物商許可 / 都道府県公安委員会(警察署) / 欠格事由に注意
・建設業: 建設業許可 / 都道府県・国土交通省 / 500万円以上の請負対象
・人材紹介・派遣業: 職業紹介・派遣業許可 / 厚生労働省 / 厳しい財務要件あり
・マッサージ・整体: 施術所開設届 / 保健所 / 国家資格(あん摩マッサージ指圧師)必須
・医療機関(クリニックなど): 開設許可 / 都道府県 / 医師資格者が必要
・貿易(輸出入): 一部商品に輸出入許可 / 税関・経産省など / 化粧品、食品、医薬品等は注意
・酒類販売: 酒類販売業免許 / 税務署 / 小売・通信販売・飲食提供で要件が異なる
・保育施設・塾: 認可・届出保育事業 / 市町村・都道府県 / 建築要件・人員配置あり
・タクシー・運送業: 運送業許可(一般旅客等) / 国土交通省 / 車両数・運行管理者が必要
- 許認可の必要性をどう調べるか
(1)自力での調査
・厚生労働省、国土交通省、税務署などの公式Webサイト
・JETROの外国人向け創業ガイド
・ビジネスコンシェルジュ東京 https://www.investtokyo.metro.tokyo.lg.jp/jp/oursupports/bdc-tokyo/index.html
(2)行政書士への相談
事前の判断が難しい場合、専門家に相談することで無駄な準備やリスクを回避できます。
- 許認可取得における共通要件
・人的要件:資格者や管理者の配置
・物的要件:面積や構造の基準に合致した施設
・財務要件:資本金や純資産の要件
・手続き要件:必要な書類の整備、定款との整合性
- 経営管理ビザ申請との関係
ビザの審査では、許認可が必要な業種に関しては、許可を取得済みであるか、確実に取得見込みがあることが求められます。事業が「実行可能」であるかを判断されるため、許認可が未取得の場合、審査でマイナスになります。
- よくある誤解と注意点
・誤解:「経営ビザ取得後に許可を取ればいい」
→ 原則、許可が無ければビザが下りない可能性あり。
・誤解:「外国人でも資格が取れる」
→ 国家資格の中には、受験資格や実務要件に制限があるものも(!)
・誤解:「許可はいらないと聞いた」
→ 同じ業種でも細かい業態の違いで許可が必要な場合があります。
- 外国人起業家のためのアドバイス
・事業計画は現実的かつ具体的に
・可能な限り許認可はビザ申請前に取得
・必要に応じて行政書士、税理士、不動産業者と連携
・物件確保は許認可に直結するが、ビザ不許可時のリスクも考慮
- まとめ
経営管理ビザを取得するには、事業内容に合った許認可を適切に取得し、事業が実現可能であることを立証する必要があります。誤った手順で進めると、会社設立やビザ取得が大きく遅れたり、失敗するリスクもあります。
当サイトから最寄りの行政書士を見つけ、許認可取得や経営管理ビザの申請についてを相談してみましょう。各事務所では、円滑な日本でのビジネス展開をサポートしています。お困りの際は、お気軽にご相談ください。