大学での学業や、経済的な理由、または一時帰国が必要となり、休学を検討する留学生の方は少なくありません。しかし、日本の在留資格「留学」は、「日本の教育機関で学業を継続すること」を活動の前提としています。
そのため、軽い気持ちや社会見学と称して日本国内旅行のためといった安易な休学手続きを進めてしまうと、留学ビザの活動実態がないと見なされ、在留資格の取り消しや、除籍処分、次の更新申請が不許可になるという重大なリスクを負うことになります。
この記事では、休学を安全に進めるために、留学ビザを持つ方が必ず守るべき3つの重要事項を行政書士が解説します。
1. 最重要:休学が長期に及ぶ場合の「在留資格の取り扱い」
留学ビザを維持するためには、在籍しているだけでなく、活動の実態が必要です。休学期間が長くなる場合、この活動実態が疑われます。
1-1. 在籍機関の「届出義務」
あなたが休学を大学に申し出た場合、大学は入管庁に対し、あなたが「学業を休止した」という情報を届け出ます。入管庁はこの情報に基づき、あなたの在留資格の継続について判断を行います。
- 3ヶ月以上の休学: 正当な理由なく3ヶ月以上学業活動を行わない場合、入管庁はあなたの在留資格を取り消すことができるとされています。
- ビザの目的外活動: 休学中に、学業と関係のない活動(例:フルタイムのアルバイトなど)に主として従事していると判断されれば、ビザの目的外活動となり、在留資格は維持できません。
1-2. 休学期間中の在留資格変更の検討
休学が長期(半年〜1年など)に及ぶことが確定しており、その間に日本に滞在し続ける必要がある場合は、留学ビザを維持するのではなく、他の在留資格への変更を検討しなければなりません。
例えば、病気療養や出産などでやむを得ず長期滞在が必要な場合は、在学する学校と相談の上「特定活動」への変更を検討するなど、休学の理由に応じて入管庁への相談を経て在留資格の変更手続きを行う必要があります。
2. 一時帰国と再入国許可の注意点
休学期間中に母国へ一時帰国し、休学後に再び日本に戻ってくる場合、再入国に関する手続きに注意が必要です。
2-1. 「みなし再入国許可」の期限管理
留学ビザの在留期間が有効な場合、出国から1年以内に再入国する際は「みなし再入国許可」により、入管への申請なしで再入国が可能です。しかし、以下の点に特に注意してください。
- 休学期間との関係: 原則有効な在留資格と在留期間が残っていれば、再入国は可能ですが、休学期間が長く、学籍上のステータスが入管庁に届出られている場合、再入国の審査が厳しくなる可能性があります。
- 在留期限: みなし再入国許可は、出国から1年、または在留期限のいずれか早い方で失効します。休学によって在留期限が間近に迫っている場合は、必ず事前に再入国許可(特別永住者以外は入管庁への申請が必要)を取得してください。
2-2. 休学中にビザが切れる場合の対応
休学期間中に留学ビザの在留期限が切れる場合は、一時帰国前に必ず日本国内で在留期間更新許可申請を行う必要があります。
- 必要書類: 休学期間が正式に認められていることを証明する大学等の書類と、休学後に確実に復学する意思を証明する書類(理由書、復学後の計画書など)を提出しなければなりません。
3. 休学後の「復学意思」の証明と行政書士の役割
休学を許可されたとしても、次のビザ更新時(または再入国時)には、「休学を終えて必ず学業を再開する意思がある」ことを証明しなければなりません。
- 大学からの証明書: 休学期間、復学予定日、復学後の履修計画などを詳細に記した大学発行の文書を用意してください。
- 経費支弁の再確認: 休学中も学費の一部や生活費を負担していた場合、その金銭的な裏付けを提出することで、復学意思の真摯さを補強できます。
結論、自己判断はせず、必ず事前に相談を!
留学ビザの取り扱いは非常に厳格であり、安易な自己判断は、将来の留学生活を断念せざるを得ない結果を招きます。休学を決める前に、必ず大学の担当窓口に相談するとともに、ビザの専門家である行政書士に手続きの相談をしてください。
私どもは、休学期間中のビザ維持の可否判断や、在留資格変更・更新手続きのサポート、復学意思を証明するための書類作成を支援いたします。
留学生活を安定させるため、ぜひご相談ください。
