2025年現在、ウクライナ情勢の長期化に伴い、日本に避難しているウクライナ人の方々の中で、「一時的な支援を受ける段階」から「日本社会の一員としてキャリアを築く段階」へと移行する方が増えています。
その有力な選択肢となっているのが「特定技能ビザ」です。避難民向けの「特定活動」ビザから特定技能へ切り替えて採用する際の、最新の傾向と手続きのポイントをまとめました。
※2022年3月10日現在、避難を目的としてウクライナから日本に「短期滞在」の在留資格で入国したウクライナの方が、本邦滞在を希望される場合、就労可能な「特定活動(1年)」の在留資格への変更許可申請を受けています。⇩
在留資格「特定活動(1年)」への変更許可申請について/3міни статусу проживання на "Особливі види діяльності (1 рік)" | 出入国在留管理庁
1. なぜ今、ウクライナ人を「特定技能」で採用するのか?
多くのウクライナ避難民の方は現在、就労制限のない「特定活動(1年・更新可)」ビザを持っています。そのまま雇用することも可能ですが、あえて「特定技能」に切り替える企業が増えているのには、明確な理由があります。
- 長期的なキャリアパスの提示: 特定活動ビザは情勢次第で更新が止まるリスクがありますが、特定技能は制度に基づいた最長5年(さらに2号へ繋がれば無期限)の就労を保証します。これにより、本人も安心して腰を据えて働けます。
- 技能の証明: 特定技能試験に合格していることは、その分野の基礎知識があることの客観的な証明になります。
- モチベーションの高さ: 日本で自立して生活基盤を築こうという意識が非常に強く、真面目で勤勉な人材が多いのが特徴です。
2. 「特定活動(避難民)」から「特定技能」への切り替え手続き
日本国内にいるウクライナ避難民の方を採用する場合、手続きは「在留資格変更許可申請」となります。
必要なステップ:
- 1.技能試験・日本語試験の合格: 避難民であっても、特定技能へ切り替えるには各分野の「技能測定試験」および「日本語試験(JLPT N4等)」の合格が必須です。※技能実習2号を修了している場合は免除されますが、ウクライナ人の場合は試験受験ルートが一般的です。
- 2.雇用契約の締結: 日本人と同等以上の給与を支払う契約を結びます。
- 3.支援計画の策定: 特定技能1号の義務である10項目の支援(事前ガイダンス、送迎、住宅確保、生活オリエンテーション等)を計画します。
- 4.入管への申請: 現在の特定活動ビザの期限が残っていても申請可能です。
3. ウクライナ人受け入れにおける「特有の配慮」と注意点
他の国籍(東南アジア等)の方と異なり、ウクライナ人の方を受け入れる際には、以下の点に配慮が必要です。
- 言語サポート: 特定技能の義務的支援(生活オリエンテーション等)は「本人が十分に理解できる言語」で行う必要があります。ウクライナ語またはロシア語での通訳・翻訳体制を整える必要があります。
- メンタルケアと家族の状況: 母国に残った家族の安否や情勢に不安を抱えている場合があります。定期的な面談(特定技能の義務でもあります)を通じて、メンタル面のサポートを行うことが離職防止に繋がります。
- コミュニティの活用: 日本国内のウクライナ人コミュニティや、自治体の避難民支援窓口との連携を維持させてあげることが、日本での生活の安定に寄与します。
4. 2026年現在の最新動向:特定技能2号への期待
2026年現在、特定技能2号(家族帯同可・更新回数制限なし)の対象分野が大幅に拡大されています。ウクライナ人の方は、将来的に母国の家族を呼び寄せ、日本で永住したいと願う方も少なくありません。
採用時から「試験に合格して2号を目指そう」という目標を共有することで、非常に優秀な人材が、あなたの会社のコアメンバーとして長く活躍してくれる可能性が高まります。
まとめ:支援の枠を超え、ビジネスパートナーへ
ウクライナ人の方の採用は、当初は「人道支援」の側面が強かったかもしれません。しかし、実際に現場で働く彼らは、非常に高い教育水準と強い学習意欲を持っており、今や欠かせない戦力(ビジネスパートナー)となっています。
特定活動から特定技能への切り替えは、彼らに「日本で生きていく自信」を与える素晴らしいステップです。
手続きや試験の準備など支援体制について不安がある企業様は、ぜひ私たち行政書士にご相談ください。
