日本で経験を積んだ優秀な外国人材に、もう一度自社で活躍してほしい。そう願う企業様は少なくありません。しかし、技能実習2号を終え、特定技能1号として働いた後に帰国した方を、再び「技能実習3号」として呼び戻すことは制度上可能なのでしょうか。特定技能から技能実習へという、一見「逆戻り」に見えるこの手続きには、2026年現在の入管運用における緻密な戦略が求められます。今回は実際の相談事例をもとに、その可能性と注意点を詳しく解説します。
相談事例の概要
- 対象者: ベトナム国籍(建設・土木)
- 経歴: 技能実習2号修了 → 特定技能1号で勤務 → 2号に移行できず帰国
- 相談: この方を「技能実習3号」として再度呼び寄せ、再入国させることは可能か? また、その後「特定技能2号」へ移行できるか?
相談事例への回答:条件付きで「可能」です
ご質問のケースは、制度上可能です。ただし、いくつかの高いハードルと注意点があります。
1. 技能実習3号での受け入れ可否
登録支援機関の方がおっしゃる通り、技能実習2号を良好に修了している実績があるため、特定技能1号を経た後であっても、「技能実習3号」として呼び戻すことは法的に可能です。
ただし、以下の条件をすべてクリアする必要があります。
- 優良な実習実施者(企業)であること: 3号を受け入れるには、受け入れ企業が「優良」と認定されている必要があります。現在申請中とのことですので、この認定が下りることが大前提です。
- 1ヶ月以上の帰国期間: 技能実習2号(または特定技能)から3号へ移行・再入国する場合、原則として1ヶ月以上の「一時帰国」が必要です。今回の方は既に帰国されているとのことですので、この点はクリアしています。
- 母国への技能移転について:帰国した場合には、母国への技能移転を行う必要性がありますので、その点を実績として十分に説明できるのか。
- 職種の一貫性: 技能実習2号の職種と、今回の3号の職種が同一である必要があります。
2. 技能実習3号から「特定技能2号」への移行
こちらも理論上は「可能」です。 技能実習3号を修了、あるいは実習中に特定技能2号の要件(実務経験・試験合格)を満たせば、在留資格変更許可申請を行うことができます。
行政書士からのアドバイス:ここが「罠」になります
制度上可能であっても、実務では以下の3点に厳重な注意が必要です。
① 「制度の趣旨」への説明責任(理由書が肝)
入管や技能実習機構は、「なぜ一度特定技能(労働力)になった人が、また技能実習(学ぶ立場)に戻るのか?」という点に疑義を持ちます。 「2号の要件を満たすための更なる技能習熟が必要である」といった、技能実習制度の趣旨に沿った正当な理由を理由書で論理的に説明しなければ、不許可のリスクがあります。
② 特定技能1号の「通算5年」のカウント
特定技能1号には通算5年の上限がありますが、技能実習3号として滞在する期間は、この5年にはカウントされません。そのため、1号の残り期間が少なかった方にとって、3号を経由することは「日本に滞在できる期間を延ばしつつ、2号への準備をする」という戦略的な選択肢になり得ます。
③ 2027年からの「育成就労制度」への移行を見据えて
2026年現在、技能実習制度は「育成就労制度」への移行準備期間に入っています。2027年以降は制度が大きく変わるため、現在申請中の3号が新しい制度下でどのように扱われるか、最新の経過措置を確認しながら進める必要があります。
まとめ:受け入れに向けたステップ
- 1.「優良認定」の確実な取得: まずは企業(実習実施者)の優良認定を受けているか最優先で確認してください。受けていない場合は3号の実習受け入れが出来ません。
- 2.技能実習計画の作成: 2号時よりも高度な実習内容であることを証明する計画書を作成します。この際、「優良認定」をうけた一般監理団体による外国人技能実習機構への技能実習計画認定を申請してもらう流れが重要です。
- 3.特定技能2号試験のスケジュール管理: 3号での再入国後、スムーズに2号へ移れるよう、試験日程と実務経験(班長等の経験)の証明準備を並行して進めてください。
複雑な「出戻り」申請はプロにご相談を
今回のような「特定技能→技能実習3号」というルートは、一般的な申請ではなく、外国人技能実習制度によるCOE申請となりますので、実習計画が外国人技能実習機構で計画内容が認定されるかに掛かっています。その後の入管のチェックも厳しくなることが予想されます。一般監理団体と共に、個別の事案に合わせた納得性の高い「理由書」の作成が成功の鍵です。
Visa Lawyers Cafeでは、建設分野の特殊な事情や、最新の制度変更を踏まえたリカバリー案件を数多く取り扱っています。
再入国の手続きを確実に進め、将来の2号移行まで見据えたサポートが必要な方は、お気軽にご相談ください。
