日本で専門性を活かして活躍したい外国人の方にとって、「高度専門職ビザ」は非常に魅力的な選択肢の一つです。このビザは、学歴、職務経験、年収などの項目をポイント化し、一定の点数を超えることで、通常の就労ビザよりも優遇された条件で日本での在留を可能にするものです。
この記事では、高度専門職ビザのメリットを詳しく解説するとともに、ポイント制を賢く活用してスムーズにビザを取得するためのノウハウを、行政書士の視点から分かりやすくご紹介します。
高度専門職ビザは、通常の就労ビザと比較して、以下のような多くのメリットがあります。これらのメリットを理解することで、日本でのキャリアプランをより具体的に描けるようになるでしょう。
通常の就労ビザでは、日本に10年以上在留していることが永住許可申請の基本的な要件となります。しかし、高度専門職ビザの場合、70点以上で3年、80点以上であればなんと1年という短期間で永住許可を申請する資格が得られます。これは、日本で長期的なキャリア形成を考えている方にとって、大きな魅力となるでしょう。
2.在留期間の優遇
「高度専門職1号」の場合は、在留期間「5年」の付与
「高度専門職2号」の場合は。在留期間が無期限
通常の就労ビザでは、配偶者が就労するためには別途就労資格を取得する必要があります。しかし、(特別)高度専門職ビザを持つ方の配偶者は、「特定活動」(高度専門職外国人の就労する配偶者・特別高度人材外国人の就労する配偶者)という在留資格を取得することで、幅広い分野での就労が原則として認められます。これは、ご家族帯同で日本での生活を考えている方にとって、経済的な安定に繋がる重要なメリットです。
通常の就労ビザは、許可された在留資格の範囲内でのみ就労が認められます。例えば、「技術・人文知識・国際業務」のビザであれば、その分野に関連する業務に従事する必要があります。しかし、高度専門職ビザの場合、原則として就労活動に制限がありません。これは、自身の専門性を活かしつつ、状況に応じて多様な業務に挑戦できる可能性を広げます。
例えば、高度専門職1号の場合、大学で研究活動を行いながら、その成果を活用して起業するといった、複数の活動を組み合わせることも原則として可能です。また、高度専門職2号の場合、「高度専門職1号」で認められる活動のほか、その活動と併せて就労に関する在留資格で認められるほぼ全ての活動を行うことができます。これは、研究者やクリエイターなど、多様な働き方を志向する方にとって大きなメリットとなります。
高度専門職ビザの申請は、通常の就労ビザと比較して、入国・在留手続きが迅速に進められる傾向があります。また、必要書類が一部簡略化される場合もあります。
一定の条件を満たす場合、高度専門職ビザを持つ方の親(扶養を受ける場合に限る)の日本への帯同が認められる可能性があります。これは、日本で働きながらご両親の面倒を見たいと考える方にとって、重要なサポートとなります。
一定の条件を満たす場合、高度専門職ビザを持つ方が雇用する家事使用人の日本への帯同が認められるます。
<以下、1~3 高度専門職1号ロの例>
高度専門職ビザの取得には、学歴、職務経験、年収、研究実績、日本語能力など、様々な項目をポイント化し、合計点が一定以上であることが必要です。ここでは、各項目で効率的にポイントを稼ぐための戦略をご紹介します。
最終学歴が高いほど、多くのポイントを獲得できます。もし複数の学位をお持ちの場合は、最もポイントの高い学位で申請しましょう。海外の大学を卒業した場合でも、日本の大学と同等以上の教育課程を修了していれば、ポイントの対象となります。
自身の専門分野での職務経験年数が長いほど、高得点に繋がります。転職などで職務内容が変わっている場合でも、専門性が認められる経験は合算できます。
年収は、ポイントの中でも特に大きな割合を占めます。現時点での年収が基準に満たない場合でも、将来的な昇給や転職によってポイントアップを目指すことができます。
研究者や技術者の方は、自身の研究実績を積極的にアピールしましょう。特許の取得や、質の高い学術論文の発表は、高評価に繋がります。
高い日本語能力は、日本での生活や仕事において大きなアドバンテージとなります。日本語能力試験の資格取得は、ポイント獲得だけでなく、日本社会への適応をスムーズにする上でも重要です。
上記以外にも、様々な加算項目が存在します。ご自身の状況に合わせて、該当する項目がないか確認し、積極的にアピールしましょう。
ここでは、具体的なケースを想定して、どのようにポイントを積み重ねて高度専門職ビザを取得できるのかを見ていきましょう。
ケース1:ITエンジニア(30歳)
このケースでは、現時点では高度専門職ビザの基準点である70点に達していません。しかし、今後日本語能力試験N1を取得したり、年収アップを目指すことで、70点を超える可能性があります。また、特定のIT関連の資格を取得することも加点に繋がります。
ケース2:研究者(35歳)
このケースでは、合計80点となり、高度専門職ビザの中でも特に優遇される「高度専門職1号イ」の基準を満たします。これにより、最短1年での永住許可申請が可能になります。
高度専門職ビザの申請は、一般的に以下の流れで進みます。
申請における注意点:
高度専門職ビザは、高い専門性を持つ外国人の方にとって、日本での活躍の場を大きく広げる可能性を秘めたビザです。ポイント制を理解し、自身の強みを最大限に活かすことで、スムーズなビザ取得と、その後の充実した日本での生活が期待できます。
この記事が、高度専門職ビザに関心を持つ皆様にとって、一歩を踏み出すためのかけがえのない情報となれば幸いです。もし申請に関して不安なことや疑問点があれば、お気軽に行政書士にご相談ください。私たちは、あなたの日本での夢の実現を全力でサポートいたします。