日本で働くための就労ビザ。
ビザ申請を考える上で、気になることの1つに「給与水準」があるのではないでしょうか。
「最低賃金でも大丈夫?」
「給与の額は審査に影響するの?」
といった疑問を持つ方もいるかもしれません。
この記事では、就労ビザの申し込みにおける給与の目安、給与の額が審査に与える影響、そして給与以外の待遇についても、行政書士の目線からくわしく説明します。
結論から申し上げますと、就労ビザの申し込みにおいて、法律で明確な「最低給与額」が定められているわけではありません。しかし、申し込みが認められるためには、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける必要があります(入管法第七条第一項第二号の基準を定める省令)。
これは、外国人が日本人労働者の賃金水準を押し下げることを防ぐための決まりです。したがって、日本の最低賃金を下回るような給与の額では、原則として就労ビザの取得は難しいと考えられます。
給与の額は、就労ビザの審査において、次の点で大切な要素となります。
入国管理局は、申し込み者が日本で安定した生活を送ることができるかどうかを審査します。適切な給与水準は、その判断における大切な要素の1つです。とても低い給与の額の場合、「日本での生活が苦しくなるのではないか」「不法な働き方につながるのではないか」といった心配を持たれる可能性があります。
受け入れ企業が、外国人に適切な給与を続けて払うことができる経済的な安定性を持っているかどうかも審査されます。低い給与の額は、企業の経営状況が不安定であると判断される理由の1つとなる可能性があります。
申し込み者の仕事の内容や経験、能力に見合った給与の額であるかどうかも考えられます。高度な専門知識やスキルが必要な仕事であるにもかかわらず、給与の額が低い場合、その雇用の契約の信憑性が疑われることがあります。
同じ企業の中で、同じような仕事をするほかの外国人労働者と比べて、不当に低い給与の額でないかも確認されます。
就労ビザの審査においては、給与の額だけでなく、次の待遇もまとめて考えられます。
日本における給与の水準は、仕事の種類、職種、経験、地域などによって大きく変わります。「〇〇円以上」という明確な基準はありませんが、厚生労働省が出している賃金構造基本統計調査などを参考にして、同じような仕事をする日本人の平均的な給与水準を知っておくことが大切です。
また、求人サイトや転職エージェントの情報も、実際の給与水準を知る上で参考になります。
就労ビザの申し込みにおいて、給与の額は形の上での最低ラインこそありませんが、申請内容の現実性、企業の経済的な安定性、仕事の内容とのバランスなどを判断する上で、とても大切な要素となります。日本の労働市場における同じような仕事の給与水準を参考にして、適切な給与の額が決められていることが、就労ビザの取得のための大切なポイントと言えるでしょう。
もし、自分の給与の額が適切かどうか心配な場合や、就労ビザの申し込みに関してわからないことがあれば、専門家である行政書士にご相談ください。あなたの就労ビザの取得を法律の面からサポートさせていただきます。