
定住者ビザとは?
定住者ビザは、主に日系人や特別永住者といった、日本と深い繋がりを持つ外国人が取得できるビザです。このビザを取得することで、就労の制限なく、日本で自由に生活することができます。日本での生活に魅力を感じ、長期的な滞在を希望する外国人の皆さんにとって、「定住者ビザ」は、日本で根を下ろし、安定した生活を築くための有効な選択肢の一つです。永住権と同様に、定住者ビザも日本で無期限に滞在し、働くことを可能にするビザですが、永住権に比べて取得しやすいという特徴があります。
この記事では、定住者ビザの取得方法、メリット、注意点などを詳しく解説し、日本で新しい生活を始めるお手伝いをします。
なぜ定住者ビザを取得するのか?
定住者ビザを取得する主なメリットは以下の通りです。
- 安定した生活: ビザの更新を心配することなく、日本で安定した生活を送ることができます。
- 就労の自由: 職種や雇用形態に制限なく、自由に働くことができます。
- 社会的な信用: ローンを組んだり、家を借りたりする際に、日本人とほぼ同じように扱われます。
- 家族の帯同: 配偶者や子どもを日本に呼び寄せることができます。
誰が定住者ビザを取得できるのか?
定住者ビザは、主に以下のような方が取得できます。
- 日系人: 日本の血を引く外国人。祖父母や両親が日本人である場合などが該当します。
- 特別永住者: 戦前に日本に居住していた外国人やその子孫。
定住者ビザの取得方法
定住者ビザを取得するには、以下の手順を踏みます。
- 必要な書類を集める: 申請に必要な書類は、 大使館や領事館で確認できます。主な書類は以下のとおりです。
- 申請書
- パスポート
- 写真
- 日系人または特別永住者であることを証明する書類 (戸籍謄本、出生証明書など)
- 収入を証明する書類
- 住民票
- 申請書を提出する: 集めた書類を、日本大使館または領事館に提出します。
- 審査: 提出した書類に基づいて、審査が行われます。
- ビザの発行: 審査に通れば、ビザが発行されます。
審査には、通常数ヶ月かかります。
定住者ビザの有効期限と更新
定住者ビザの有効期限は、法務大臣が個々の外国人の状況を考慮して決定します。5年、3年、1年、6ヶ月、または法務大臣が個別に指定する期間(5年を超えない範囲)のいずれかの期間が与えられます。
通常、初めて定住者ビザを取得する際には、1年または3年の在留期間が与えられることが多いようです。その後、日本での滞在状況や素行に問題がなければ、更新時にさらに長い期間が認められる可能性があります。
定住者ビザは永住権とは異なり、更新が必要です。在留期間が満了する前に、必ず更新手続きを行う必要があります。更新を怠ると、不法滞在となってしまう可能性があるので注意が必要です。
更新手続きは、在留期間満了日の3ヶ月前から可能です。必要な書類を揃え、入国管理局に申請しましょう。
定住者ビザ取得の注意点
- 申請条件: ビザの申請には、いくつかの条件があります。例えば、日本に居住する親族がいること、十分な収入があることなどが求められます。
- 審査期間: 審査には時間がかかるため、時間に余裕を持って申請する必要があります。
- 虚偽の申請: 虚偽の申請は法律で禁止されています。発覚した場合、厳しい罰則が科せられます。
日本での生活をスムーズに
- 日本語を学ぶ: 日本語を学ぶことは、生活のあらゆる面で役立ちます。
- 日本の文化を知る: 日本の文化や習慣を理解することは、生活をより豊かにします。
- 地域社会とつながる: 地域のイベントに参加したり、ボランティア活動をすることで、地域の人々と交流することができます。
参考資料
定住者の在留資格
「定住者」の在留資格は、他のいずれの在留資格にも該当しないものの、わが国において相当期間の在留を認める特別な事情があると法務大臣が判断した者を受け入れるために設けられたものです。入管法の規定では「法務大臣が、特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」としています。
定住者告知
入管法の別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件、とあり上記の特別な事情を法務大臣が判断した者を具体的に定める告知です。
- 一定の類型の地位を定めて置きそのいずれかに該当する場合にその入国・在留を認めるもの
- 個々の活動を判断してその入国・在留を認めるもの
の2つがあります。
入国管理官が上陸許可の際、定住者の在留資格を決定できるのは、①の地位を有するものとしての活動を行おうとする者に限られます。
第1号
タイ国において一時的に庇護されているミャンマー難民であって、次のいずれにも該当するもの。
イ
国連難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要な者と認め、わが国に対してその保護を推奨するもの。
ロ
日本社会への適応能力がある者で、生活を営むに足りる職に就く事が見込まれる者及びその配偶者又は子。
2号は削除されています。
3号
日本人の子として出生した者の子であって素行が善良であるものに係るもの。
(1号タイ国、第8号中国の項に該当する場合を除く)
ア
日本人の孫 3世
イ
元日本人(日本人の子として出生した者に限る)の日本国籍離脱御の実子。日本人の子として出生した者が日本国籍を有する又は有していた場合その有する間に生まれた子は「日本人の配偶者等」に該当する。2世
ウ
元日本人の日本国籍離脱前の時氏実子の実子。3世
審査のポイントは、身分関係の事実の信ぴょう性、素行善良性、経費支弁能力(生活力)
4号
日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがある者の実子の実子(第1、3、8号に該当するものを除く)であって素行が善良なもの。
日系1世が日本国籍を離脱した後に生まれた実子の実子である孫(3世)であって素行が善良な者。
1年以上の在留期間を指定されている定住者(3世)である父又は母を持つ日系4世で当該定住者の扶養を受ける未成年の実子は、6号に該当する。
5号
次のイロハのいずれかに該当する者(第1、2、3、4、8号に該当する者を除く)
イ
日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生した者の配偶者
(日系人について3世まで定住者として受け入れることとしたことに伴い、その配偶者も定住者として入国・在留できることとしたので均衡を図るため日系2世である「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する日本人の子として出生した者の配偶者についても定住者として入国・在留を認めることとしたものである。)
ロ
1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(第3号又は前号に掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者及び、その号に該当する者としての上陸の許可を受けた者で「当該在留期間」中に離婚した者を除く)の配偶者。(「当該在留期間」とは、指定されている在留期間すなわち現に有する在留期間を意味し、在留期間の更新又は変更前の在留期間は含まない。)
ハ
第3号又は前号に掲げる地位を有する者としての上陸の許可、在留資格変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するもの(この号に該当するものとして上陸許可を受けた者で「当該在留期間」中に離婚したものを除く)の配偶者であって素行が善良であるもの。
審査のポイントは、配偶者の身分関係については、法律上の婚姻関係だけではなく、客観的な事実認定を行い、合理的かつ社会通念上に照らしたて妥当な判断が行われます。当事者の一方や近隣の風評のみにより安易に偽装婚であると決めつけることがないよう慎重に判断されます。
6号
次のいずれかに該当する者(第1、2、3、4、8号に該当する者を除く)
イ
日本人、「永住者」の在留資格をもって在留する者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
ロ
1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の在留資格をもって在留する者(3、4号又は5号ハに掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更又は在留資格の取得の許可を受けた者を除く)の扶養をうけて生活する当該者の未成年で未婚の実子
ハ
3、4号又は5号ハに掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更又は在留資格の取得の許可を受けた者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子であって素行が善良であるもの
ニ
日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養をうけて生活するこれらのものの未成年で未婚の実子
該当範囲
「X」
日本人、「永住者」の在留資格をもって在留する者又は特別永住者もしくは1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の在留資格をもって在留する者
「Y」
Xの配偶者
X又はYの実子(現在の配偶者又は離婚もしくは死亡した配偶者との間の子(非嫡出子を含む))についてX又はYの扶養を受けて生活すること、未成年かつ未婚であることを条件に入国・在留を認めることとした規定です。
注釈
日本人の実子のうち日本人の子として出生した者は、「日本人の配偶者等」に該当し、当該実子の親が日本人の子として出生した者の場合は、3号に該当するので現行国籍法の下で本号に該当するのは帰化により日本国籍を取得した者の子となります。
「扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子」が入国後成人に達し又は婚姻した場合や就労する場合でも、これらの事実をもって直ちに在留を否定する趣旨ではありません。
実子は未成年であれば本号に該当するので、扶養を受けない事が何らかの客観的事実の基づき明らかである場合を除いて、単に20歳に近いことを理由として在留資格認定証明書交付申請を不交付とすることは、ありません。
永住者又は特別永住者の実子については、本邦で出生し引き続き本邦に在留する者は「永住者の配偶者等」の在留資格に該当し、本邦外で出生した者又は本邦で出生後引き続き本邦に在留していない者は、本号に該当します。
ハは、いわゆる日系人の子又は配偶者として「定住者」の在留資格で在留する者の実子について素行善良要件の適用を受けることとしたものです。
7号
次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活するこれらの者の6歳未満の養子(1,2,3,4、6、8号に該当する者を除く)に係るもの
イ)日本人
ロ)永住者
ハ)1年以上の在留期間を指定されている定住者
ニ)特別永住者
該当範囲
日本人、「永住者」の在留資格をもって在留する者又は特別永住者もしくは1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の在留資格をもって在留する者の養子については日本人の特別養子以外は、当然には、入国・在留が認められないが、これらの者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子については、「定住者」として入国・在留が認められることとした規定です。
8号
次のいずれかに該当する者に係るもの
イ
中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き挙げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの
ロ
前記イを両親として昭和20年9月3日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者。
ハ
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則平成6年厚生省令第63号)第1条第1号若しくは第2号又は第2条第1号若しくは第2号に該当する者。
ニ
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(平成6年厚生省令第30号)第2条第1項に規定する中国在留邦人等であって同条第4項に規定する永住帰国により本邦に在留する者(以下「永住帰国中国在留邦人等」という)と本邦で生活を共にするために本邦に入国する当該永住帰国中国在留邦人等の親族であって次のいずれかに該当するもの。
・配偶者
・20未満の実子(配偶者のない者に限る)
・日常生活又は社会生活に相当程度の生涯がある実子(配偶者のないものに限る)であって当該永住帰国中国在留邦人等又はその配偶者の扶養を受けているもの。
・実子であって当該永住帰国中国在留邦人等(55歳以上であるのもの又は日常生活若しくは社会生活に相当程度の障害があるものに限る)の永住帰国後の早期の自立の促進及び生活の安定のために必要な扶養を行うため本邦で生活を共にすることが最も適当である者として当該永住帰国中国在留邦人等から申し出にあったもの
・前記の規定する者の配偶者
ホ
6歳に達する前から引き続き前記イからハまでのいずれかに該当する者と同居し(通学その
他の理由により一時的にこれらの者と別居する場合を含む。以下同じ)、かつ、これらの者
の扶養を受けている又は6歳に達する前から婚姻若しくは就職するまでの間、引き続きこれ
らの者と同居し、かつ、これらの者の扶養をうけていた、これらの者の養子又は配偶者の婚
姻前の子。
該当範囲
本号は、3号から7号までに該当する者のうち、中国残留邦人等の配偶者やその子孫及びその配偶者について入国・在留を認めるために規定した者です。
ホは、地位ごく残留邦人等に実子でない場合であっても実施と同様に養育された特別な事情を考慮したものです。尚、8号については定住者告知上の素行善良要件は課されません。
素行善良要件
在留資格に認定証明書交付申請の場合
次のいずれにも該当しないこと。
ア
日本又は日本以外の国の法律に違反して、懲役、禁固若しくは罰金又はこれに相当する刑(道交法による罰金又はこれに相当する刑を除く、以下同じ)に処せられたことがあるもの。
ただし、懲役、若しくは禁固又はこれに相当する刑については、そのすべての刑に失効を終わり若しくは失効の免除を受けた日から10年を経過し、又は刑の執行猶予の言い渡し、若しくは、これに相当する措置を受けた場合で当該失効猶予の期間若しくは、これに相当する期間を経過したとき、また、罰金刑又は、これに相当する刑については、その執行を終わった日又は、その執行の免除を得た日から5年を経過したときは、該当しまいものとして扱われます。
イ
少年法による保護処分が継続中の者。
ウ
日常生活又は社会生活において違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行うなど素行善良とは認められない者。
エ
他人に入管法に定める証明書の交付又は許可を受けさせる目的で不正な行為を行ったもの又は不法就労のあっせんを行った者。
在留資格の変更、更新又は取得申請の場合
原則前記のアからエまでのいずれにも該当しないもの。但し、いずれかに該当する者であっても引き続き在留を認めるに足りる特段の理由がある者については、許可して差し支えないとされています。
尚、直近の在留資格変更許可申請又は更新許可申請の後、再入国許可により出国し3か月を超えて渡航先国に滞在したことがある場合は、当該渡航先国における犯罪歴の有無についても確認がされます。
定住者告知に定めがないもの(告知外定住)
難民認定
法務大臣に難民であると認定されたもの。
特別な事情を考慮して入国・在留を認める事が適当であるものの事例。
日本人、永住者又は特別永住者である配偶者と離婚後引き続き本邦に在留を希望する者。
日本人、永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き本邦に在留を希望する者
日本人の実子を監護・養育する者。
日本人、永住者又は特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き在留を希望する者。
難民の認定をしない処分(以下「難民不認定処分」という)後、特別な事情を考慮して在留資格「特定活動」により、1年の在留期間の決定を受けた者で、在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請と行った者。
離婚(死別を含む)した後、6か月以上継続して配偶者の身分を有する活動(例えば復縁し再婚するなど)を行わない場合には、正当な理由がある場合を除き在留資格取り消し事由に当たります。しかし、そのまま直ぐに取り消してしまうと場合によっては、不利益が大きく外国人に対する配慮に欠ける場合事がありました。そのため在留資格を取り消す場合には、在留資格変更許可申請又は永住許可申請の機会を与えるよう配慮することとされています。「日本人の配偶者等」又は、「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について見ると認められた4事例のうち3事例は現在(当時)職業を持ち離婚後も経済的に自立していける事がわかります。また婚姻期間も3年から6年半と比較的短い期間でも途中別居や一時帰国等で別れて暮らしていた期間がなく実態として夫婦の共同生活があったと認められるケースで許可がされています。
ここでもやはり、偽装結婚だったのではないかという目線が判断基準にも含まれているといえるでしょう。又、不許可になったケースでは素行が善良ではなく犯罪を犯してしまった場合や、約4年の婚姻期間のうち1年半以上海外で別れて暮らしていたり、3年4か月の婚姻期間の中で実際には、1年11か月しか夫婦としての生活がない等、婚姻生活の実態がないと判断されたケースで不許可とされているようです。